第88話 俺が小石を投げればメテオ級

 俺は、ゴミ。

 そう俺はゴミだ。

 俺は自分にそう暗示をかけ戦った。

 俺が小石を投げればメテオ級。

 小石を蹴ってもメテオ級。

 俺の拳もメテオ級。

 今の俺の力なら、スライム程度の敵なら余裕で倒せる。

 俺は押し寄せるスライムを余裕で倒して行った。


「アンタ……あのときの」


 シズカが、呟く。


「あの時は、世話になったな」


 俺は、そう言ってメイプルスライムの最後の一匹をあっという間に倒した。


「ありがとう」


 シズカが、涙を流してお礼を言った。

 なんか心がもやもやするけれど俺は首を横に振った。


「気にしなくていい。

 だけど約束は護ってもらうぞ?」


「約束?」


 ピトスが、そう言って体を起こす。


「もう奴隷商人に人を売らないって約束だ」


「それ私たちの本業だから……」


「本業は勇者じゃないのか?」


「今どき、勇者って肩書だけで食べていけないわよ」


 ビリーブが答える。


「そうか……」


 俺が、うなずくとかみさまが即答する。


「ならば、ウチのギルドに来い。

 今は、人手が足りてないんだ。

 一応、お前らの警護はつけてやろう」


「警護?」


 俺が、そう言うとカイが静かに答える。


「奴隷商人を裏切れば恐らく報復を喰らうだろう。

 犯され嬲られ手足を切り落とされ死ぬまで性奴隷になるだろう」


「グロいな……」


 カイの言葉に俺は少し驚いた。


「知らないで提案したのか?」


 かみさまが、俺に尋ねる。


「ああ。

 なーんも知らない。

 でも、売られた方はたまったもんじゃないからな」


 俺がそう言うとかみさまがため息をつく。


「飽きれるな」


「でも、昴らしい」


 カイが、そう言って静かに笑う。


「んでだ、どうするお前らウチのギルドに来るか?」


「ああ、世話になるよ」


 かみさまの提案にビリーブが、答える他の3人もうなずいた。

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