第77話 友の気分転換のためなら……

「ならば、余もついていこう」


 かみさまが、胸を張って言う。


「行ってくれるのか?」


 バルドさんが、そう言うとかみさまが答える。


「亜金もあの調子だ。

 それに、昴と亜金のふたりというのも心配だしな」


「そうだな。

 出来るだけ早めに出てくれ。

 カイには、俺から話をしておこう」


「わかった」


 俺は、小さくうなずいた。

 そして、かみさまと共にすぐにマスターの店を出た。

 すると亜金君の後ろ姿が見える。


「亜金君!」


 俺は、亜金君の名前を呼んだ。


「あ、昴くん」


「亜金、仕事が入ったぞ」


「仕事?」


 かみさまの言葉に、亜金君が首を傾げた。


「ああ。

 アンゲロスにいるプレゲトンを迎えに行く仕事だ。

 とりあえず、レテとタナトス。

 そして、その所有者の説得だ」


「そっか……」


「まぁ、アンゲロスまでそう遠くはない。

 いい気分転換になると思うのだが……どうだ?」


 かみさまが、そう言うと亜金は小さくうなずいた。


「ありがとう」


「いや。

 気にするな。

 友の気分転換になるのなら余はいくらでも協力するぞ」


 俺の気分転換か……

 そういう意味も入っていたのか。


「ありがとうな」


 俺は自然と言葉が出た。


「昴も気にするな」


 かみさまは、そう言ってニッコリと笑う。


「ああ」


 俺は、小さくうなずいた。


「なら、行くぞ」


 かみさまが、先頭を歩く。


「うん」

 亜金君がうなずいた。







 そして、俺たちはギルド・アンゲロスに向かった。

 アンゲロスは、パンドラがある村から少し離れた場所にある。

 少し歩けばすぐアンゲロスだった。

 プレゲトンの名前を出すとすぐにギルド内に入れてもらえた。

 俺たちは、プレゲトンがいる部屋へと招かれた。

 

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