第41話 軍鶏爺の本気

「試してみるか?

 小娘……!」


「私は、あれから何百……

 うんん、何千の男たちに犯された!

 その間、誰にも汚されていない女よりかは遥かに強いわよ?」


 カイが、魔力を手に籠めて水の魔法を軍鶏爺に放つ。

 軍鶏爺は、その魔法を片手ではじき返した。


「所詮小娘……

 戦歴の数が違うわ!」


 軍鶏爺が、カイに重力魔法を放つ。

 カイが地面に膝をついた。


「その人、私の双子のお姉ちゃんなんです!」


 ソラがそう言うと軍鶏爺が笑う。


「大丈夫じゃ。

 ワシは女は殺さない主義でな……」


 軍鶏爺は、そう言って指を鳴らした。


「くわ……」


 カイが、悲鳴をあげる。


「昴よ、この娘のおっぱいを揉んでも怒られんかいのう?」


 軍鶏爺がそう言ってカイの方を指さす。


「怒られると思いますよ」


 俺は、小さくため息をついた。


「なにを余裕を見せている?

 犯したければ好きにすればいいだろう?」


 カイが、軍鶏爺を睨む。


「無理矢理はせん主義でな」


 軍鶏爺が、そう言うとニッコリと笑った。


「なに余裕ぶっこいているんだ!

 爺!」


 ジルが、そう言ってカイの前に立つ。


「余裕じゃよ。

 ヌシらふたりで何が出来る?」


「お前を殺すことくらいなら出来る!」


 ジルが、剣を振り下ろす。

 しかし、それを亜金がプレゲトンで受け止める。


「さっさとくたばれや亜金!」


 ジルが、そう言って亜金を足で蹴る。

 亜金の体が大きく後退する。

 そして、その体に追い打ちを掛けるように亜金君の体を剣で突き刺そうとした。

 俺は、それを片手で防いだ。


「防御力最強を舐めるな!」


 俺は、大きな声でそう言うとジルの視線がゆっくりと俺の方に来た。


「この壁男が!」


「褒め言葉として受け取るよ!」


 俺がそう言ってジルに攻撃を仕掛ける。

 ジルは、その攻撃を避けた。


「殴りにも命中率とかあるのかよ?」


 俺は、そう言いつつも攻撃を仕掛けた。

 しかし、やっぱり俺の攻撃は当たらない。


「当たるかよ!バーカ!」


 ジルは、そう言って俺の体を蹴り上げる。

 そして、地面に足で蹴り落とす。


「痛い……」


「俺をその辺にいる剣士と一緒にするなよ!

 お前にダメージを与えるすべを俺は持っている!」


「そうじゃな、だからワシがこうやって来た。

 ジルとカイを捕獲するためにのぅ」


「捕まってやるかよ!」


 ジルは、素早く動く。


「さぁ、ワシも本気を出させてもらおうかのう……」








 そして、ここからの勝負は一瞬だった。

 結果は軍鶏爺の圧勝だった。

 ジルの攻撃をすべて避け軍鶏爺が攻撃を仕掛け、確実にジルにダメージを与えた。

 これが、軍鶏爺の本気なのだろうか?

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