第65話 武闘大会-1

 おはよー。

 今日は武闘大会当日。集まるのは11時。

 王都はかなり賑わっている。



 10時になった。早めにコロシアムへと向かおう。

 

 コロシアムに着き、俺は地下を目指す。途中、おそらく出場であろう人々が沢山いた。

 その中に、顔馴染の人が一人。



「ガバイナさん! こんにちわ」

「あぁ、アリムか。元気そうだな。大会の観戦に来たのか? でも、今日はまだ一般公開される日じゃないぞ」



 あ、この人、俺が出場するって知らないんだった。



「いえ、Aランクの出場者です。つまり、ボクとガバイナさん、大会中はライバル同士ってことですよ」

「出場してたのか…! じゃあ、あの時グレープ殿と話し合っていたのはこれのことか。優勝を狙ってきていたのだがな、難しそうだな…アレを見せられたあとじゃな…。だが、もし戦うこととなったら、全力で手合わせしようぞ」

「はいっ!」



 やっぱり、ガバイナさんって少し武士みたいだよね。そんなことない?



 地下に到着した。

 ここでも試合ができるようになっている。決勝とかの目玉の試合は上のちゃんとした場所でやるんだろう。

 外の見た目より広いから、やっぱりマジックルームなんだろう。しかも、これと同じような場所がランク別にあるのだとか。


 すると、不意に誰かに肩を叩かれる。

 叩いた当人を見てみたが、黒いローブのフードで顔を隠していて、誰かわからない。

 

 そんなローブの人を不審がっていたが、その人物から知っている声が聞こえてきた。超小声で。



「(アリムちゃん、私よ、私。パラスナよ。ここで姿見せるわけにはいかないの。ひと騒ぎ起きちゃうから。お願い、ついてきて)」



 有名人って大変だなぁ。ウルトさんのところに、深夜に来てたのも、人目につかないようにしてたんだろうし。

 俺はパラスナさんに着いて行った。


 その先にはギルマーズさんと、何か、見慣れぬ人物が一人。

 というか、人間には見えない。


 特撮ヒーローの身体をごつくした感じの見た目なんだ。

 これを俺が地球で見ていたら、オタクか厨二病の、クオリティが高いコスプレだと思ったに違いない。

 その人物は何か喋りだした。



「少女ヨ、私ノ名ハ、ラストマン。"不死身のヒーロー"トモ、呼バレテイル」



 …不死身のヒーローって…まさか…この人



「あの…ウルトさんですか?」

「うん、アリムちゃん。俺だよ、ウルト・ラストマンさ」


  

 やっぱりそうか。

 ギルマーズさんが口を挟む。



「な、アリムちゃん。こいつ、あんまりいい趣味たぁ、言えねぇだろ? しかも変な風に声を変えて、喋ってるしよ」

「ソンナコトハナイ。私ノコノ姿ハカッコイイシ、声モ迫力ガアッテ、凛々シイト、思ッテイル。少女ヨ、オ前モソウダロウ?」

「うーん、見た目は置いておいて、趣味はあまり良くないと思います」

「ごめんね。ウルト。私も、見た目とか関係なしに、趣味は良くないと思うわ。なんだか子供がはしゃいでるみたい」

「そんな…!? パラスナまでっ…。酷い!」



 あーあ、ウルトさん落ち込んじゃった。

 ところで、なんで俺は呼ばれたのだろうか。



「ところで、ボクに何か用ですか?」

「私は可愛いアリムちゃんに、一目、会いたかっただけよ?」

「私ハ、コノ姿ヲ、アリムチャンニ、ミセテオコウト思ッテネ。……本当に用事があるのは、ギルマーズさんだ。剣のことでしょう?」

「あぁ、そうだ。アリムちゃん。あんな素晴らしい剣、本当~~にありがとなっ! あの剣は鑑賞用なんかじゃ勿体ねぇ。俺のサブウェポンになったぜ! また頼むな! 今度は弓がいいかなぁ…」



 よかった。喜んでくれてる。それにしても、余った素材はどうしよう?



「弓ですね? わかりました! ところで、アルティメタルとオルトロスの素材が残ったのですが、どうしましょうか?」

「あぁ、アルティメタルもオルトロスもやるよ。というか、アルティメタルは次の武器を作る時に足しにしてくれ。今回はミスリルと、此奴…バジリスクって言う、Sランクの魔物の素材を渡すぜ。武闘大会が終わったらでいいからな。剣の報酬は弓の報酬と一緒に払うぜ」

「はい! 了解しました」



 オルトロスのつぎはバジリスクか…本当にファンタジックだよね。

 まぁ、弓は初めて作るけど、頑張ってみるか。


 また、四人で話しをした後、ギルマーズさんが思い出したように、俺を急かし始めた。



「アリムちゃん、そろそろ地下闘技場に戻りな。説明がはじまるぜ? ちなみに、俺はアリムちゃんら、Aランクの総合審判長をやってるからな!そこんとこ、よろしくな。ちなみにウルトはSランクで、パラスナはBランクの総合審判長やるんだぜ。頑張れよ

「はい!」

「じゃ、また後でな」



 俺は三人と別れ、闘技場に戻る。


 戻ったみたら、この場所全体、Aランクの冒険者でひしめいていた。俺に声をかけてくる冒険者もかなり居て、大体は、俺を可愛がるか、その強さに嫉妬していた。



 この場所の奥にステージのように壇がある。

 11時、その壇の横からギルマーズさんが出てきた。そして大声で一言。



「おし! 注目!」



 全員黙り、ギルマーズさんの方を見る。



「今回、大会参戦者は80名。 いつも通り、トーナメント制だ! 決勝含めて、全5回戦。ルールは知ってるよな? だが、決まりだから一応説明するぜ。勝利条件は3つ。相手を気絶させる、相手がギブアップする、30分経ち、HPが相手より残っていたら勝ちだ!そして禁止事項だが、相手を殺すことは厳禁! 武器の持ち込み2個まで。 それ以外は自由、自由、自由だぁぁぁぁっ! さぁ、お前達、日頃磨き続けているその強さ! 大会で試してみやがれっ!  今回、1~2回戦までの総合審判長を務めるのは、この俺っ! ≪武神≫ことギルマーズだぁぁぁぁっ!」

『『ワァァァァァァァァァッッ!!』』



 わぁ、すごい歓声。

 本当に有名人なんだね。ギルマーズさん。

 さらに、彼は話しを続ける。


 

「お待ちかね、対戦相手の発表だ! こいつを見てくれ。これが、お前の一回戦の対戦相手だぁぁぁっ! みんな、書いてある番号の場所に移動してくれよ!。11時20分から全試合、一斉に開始するぜ!」



 大きな札付き看板見たいのが上から降りてきた。

 そこにはトーナメントのあの図がある…。

 なるほど、俺は12番ブロックでチェケイって人と戦えばいいのか。


 俺は12番ブロックへと向かう。

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