閑話 また別の異世界へ (レベメカ×元小石)

 リクエストにあったレベメカ×元小石のコラボ話です! 同じ話を元小石とLevelmakerの両方に投稿しています。


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 少し地球に用事があったので、ミカと二人で帰ろうとしたらエラーがでただのなんだのと言われてワープに失敗し、アナズムでもない、地球でもない世界に飛ばされてきてしまった。



「いてて……まさか故障するだけじゃなくて乱暴に放り出されるとは」

「ステータスが使えなかったら落下死してたね」

「ねー」



 地球でもアナズムのステータスは普通に使えるし、この世界でもどうやらそうみたいだ。



「で、どうする? これ帰れるの?」

「アイテムマスターもダークマタークリエイトも健在だから大丈夫だよ。今すぐ帰ってもいいけど、せっかくだしこの世界を見学しない?」

「それならまあ。でもまだ別に世界があるなんて驚きよね……」

「もしかしたら星の数ほどあるのかもね」


 

 とりあえず当てはないから歩き続けるしかないね。ここは森の中みたいだし、一日や二日で現地の人に会えるだなんて考えないほうがよさそう。

 木々には特に変哲はないなぁ。どっちかっていうとアナズムの方が地球より別の場所だってすぐわかった。もしかしたら魔法とかは存在しないのかも。



「あ、みてあれ!」

「ん?」



 ミカが指差した方向で茶色い塊が動いていた。よく目を凝らして見てみると、それは岩石が集まってできた人形に丸い目くぼみをつけて太い手足をつけたものだった。普通なら土人形が自立稼動するはずないのでいわゆる魔物の類いだろう。



「なんか幼いゴーレムって感じ」

「そうなのかも。となるとここもゲームやファンタジー小説みたいなのかな」



 ゴーレムが俺たちに気がついた。襲ってくるかと思いきや、首を傾げてからまた別方向を向き、歩き出した。その様子は歩くのに不慣れな赤ちゃんが頑張っているのに近い。



「ほっておいて大丈夫なのかな?」

「敵対してないし構わないんじゃない? もっと先に進も!」

「うん」



 森の中を進んでいくと、やはり普通じゃない生き物に結構出会った。氷魔法のようなものを飛ばしてくるムカデや、めっちゃでかいテントウムシ、典型的なゴブリン。試しにあからさまに敵対してきたムカデを倒して見たところ、魔核も何も落とさずただ生き絶えただけだった。



「魔法はある、でも魔核はない……と」

「結構違いあって面白いね!」

「ねー! ……およ?」



 なんかドスドスとした足音と金属音が聞こえる。今まで出てきた生き物より明らかに大きい。何がやってくるのかそのまま待ってみると、最初に出くわしたゴーレムと同じような顔立ちをした、2メートルくらいはある銀色ボディ緑ラインの人形が現れた。

 でもなぜか手が腕から離れて浮いてるし、頭に天使の輪っかみたいなのもつけてる。



「な、なんだろうこれ……さっきのやつの進化系かな?」

「ここら辺の主じゃない?」



 銀色の人形も俺たちに気がついたみたいで、こちらをじーっと見つめてきている。なんだかその視線は舐めまわされてるような感覚になる。目玉はないみたいだけど。



「敵対意識はないのかな?」

「もしこの森の主なら町まで抜ける道とか知ってるかもよ?」



 そう言うと、今の話を聞いていたのか銀色の人形はハッとしたような人間くさいリアクションを取ってから慌てたように俺たちに近づいてきた。そして頭の中でメッセージとはまた違う形で言葉が浮かんでくる。というよりなんだか優しそうな女性の声が頭の中で響くんだ。



【あの……お二人は道に迷っているのでしょうか?】



 送り主は明らかにこの銀色の人形。どうやら意思疎通ができるみたいだ。



「うん、なんか気がついたらここにいて」

【そうでしたか。ではひらけた場所まで案内しましょうか?】

「いいの?」

【ええ、あ、ゴーレムの巨体のままだと前が見づらいですよね】



 銀色のゴーレムとやらはなんだかよくわかんない光に包まれ、40センチほど縮み始めた。しばらくして目の前に現れたのは俺らより二つか三つくらい年齢が上っぽい真面目系美人と形容できる女の人だった。



「……え?」

「あ、ごめんなさい。驚かせてしまって。私、半魔半人なんですよ。今仲間と一緒に森で特訓していて……とにかくこちらへ」

「は、はい」



 まさかゴーレムが女の人に変身するとは思わなかったよ。ドラゴンを人間にしたことはあるんだけどな。とにかくこの世界にも独自のルールがありそうだ。

 道案内をしてくれている女の人は俺らの方をチロチロと覗き見でもするかのように振り返って見てくる。俺たちの何かが気になるのだろうか。髪の毛と色とかかな? 赤色と緑色が珍しいとか……でもこの人も銀髪だしそれ以外だと思うな。服装は正直感性的にその人とあまり変わらないし。もしこの女の人がアナズムにいても異端扱いはまずされないだろう。言葉だって通じてるみたいだし。

 何十回目かの振り向きで、女の人はついに話しかけてきた。

 


「そういえば、どちらからおいでに?」

「え、ボク達ですか? えーっと……」

「うーんと……」

「……?」



 二人揃って同時に記憶喪失っていうのも無理あるからな、どうやって言い訳しよう。



続く。

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