第972話 強さを求めての合成
まあなんにせよスキル合成をしないことには始まらない。とりあえず適当にスキルをチョイスしてみた。まず目からビームを出すスキル……正式名称は『ビーム・アイ』、Sランクのスキルだ。次に選んだのは『透視』。
この二つを掛け合わせたら透視しながら目からビーム出せるんじゃないかと思った。なんかミカのそんな変なことしてるところ想像したくないけど。ついでに幻術と念術のスキルも加えればいい感じのができるんじゃないかしらん。
「とりあえずこの組み合わせでやってみてくれる?」
「わかった!」
ミカはスキル合成を始めた。魔核もスキルポイントと有り余ってるから合成自体はやりたい放題だ。
「できた!」
「どんなの?」
「私の視力の範囲内で、障害物関係なしにビームを当てられるんだって。しかも撃ったあとは方向転自由。ランクはSのままだよ。名前は『曲性透化光線』……前のスキルはカタカナでかっこいい雰囲気出してたのになんかダサくなった」
目からビームを出す時点でどうかと思うけど、なるほど、その目からビームが透視で視認できる範囲まで貫通するようになったと。これだけならまだ強力なスキルとはいえないな。かっこ悪いしね。ミカをネタキャラにはしたくないんだ
「ふむむ……」
「試し撃ちしてみていいかな?」
「ミカが目からビームしてるとこ見たくないよ」
「じゃあなんでこれ渡したのよ」
「目が関係するスキル同士だから、とりあえず組み合わせてみようと思って……撃つことまでは考えてないよ」
「一回くらいいいじゃない」
そういうとミカはこの家が壊れないようにできてるからって、ビームを放った。そのビームは台所に置いてある空き瓶一つをここから破壊してみせた。
……可愛い可愛い彼女の目から赤いレーザービームが出てくるのはトラウマになりそうだよ。
「そ、そんな嫌そうな顔しなくても」
「ぷくー!」
「あ、そのほっぺ撃ってみようかな」
「やめてね!!」
「冗談だよ。とりあえずこういう、属性と威力重視じゃないSランクのスキルを大量生産してSSランク目指したらいいんじゃない?」
それは昔もやってた手法だね。でも闇雲にただ作るだけじゃ、広範囲高威力が取り柄の魔法がいくつかできて終わりだ。なにかコンセプトを……そうだね、このまま『目』を主にしてスキルを合成していこうか。いや、でも『目』でなにができるかだよね。別の考えたほうがいいかなぁ。
「目の動きまでピッタリ止まってるよ。……やっぱり叶君かおじさん頼る?」
「……やだ、俺がミカのをやる! アイテムマスターを作れたんだ、ミカのだって強力なの作ってみせる!」
「ありがとっ!」
しかしなんか目が乾くと思ったら、目の動きも瞬きも止まってたか。それほど真剣に考えてるってことなんだけど。
そうだよ、ぶっちゃけアイテムマスターに気がつけたのって偶然だからあれをもう一度必然的に起こせだなんて難しすぎるよ 前々から思ってたけどお父さんは一体なんなんだ。
……ん、止動きがまる? 止まる……あ、そうだ。
「ミカ、スキルってさ」
「うん」
「瞬間移動できるんだから、時間停止もできるかな?」
「漫画とかでベタなやつね……できなくはないんじゃない?」
よぅし、コンセプトは決まった。あとはなにをどう合成すればいいか考えるんだ。時間に関係するといえば幻術は幻を見せるだけじゃなくて、その幻で時間の感覚を狂わせることもできたはずだ。何かの動きを止めるといえば念術だし。そういえば石化なんてスキルもあったな。
「よし……イメージができてきたよ!」
「ほんと?」
「うん、まずはさっき作ったビームのやつと、物に触れたら石化させられるようになるスキルを自分に入れて合成してみて!」
「わかった!」
____________
________
____
『タイムデザイア』というスキルができた。SSランク、もちろん数値上のランクも最大。何か物を自由自在に止めるとかっていうのを俺は想定してたんだけど、どうやらこのスキルは魔力などを使用して時間そのものをミカ以外止めるらしい。無論、止まった時間から出られないとかそういうことがないような効果もついてる。
なんなら『タイムマスター』みたいにマスター系が良かったし、もしかしたらあるのかもしれないけど、とりあえず良いのができたからこれで良しとしよう。
……アイテム一つ作るより断然疲れたよ。
「なんかすごいのできたね」
「闇雲に作ってたもんね。ただみんなにこれからスキル強化を促す際に見せる見本としてはこれ以上ないんじゃない?」
「だね! じゃあ早速時間を止めてみてね!」
「はーい!」
さて、ミカは時間を止めたはずだ。となると何か変化が起こって……あれ、今ほっぺたを両頬とも突っつかれなかったか? 俺は普通に動いてる感覚があるし、ミカは楽しそうな顔してるから多分止めて解除したんだろう、すでに。
「いま時間停止したんだよね? してる間に俺のほっぺたムニムニした?」
「うん、やっぱりわかる?」
「両頬ともに感覚がきたからね」
「え? 私、たしかにどっちも触ったけど別々につついたよ?」
「あれ?」
何か面白い効果が別にありそうだな。もっとちゃんと説明文読んでみようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます