第968話 スーパー女子会! 2

「なるほど、だからあの時、あんなに二人で泣きじゃくってたんだね」


 

 マーゴさんは俺とミカの再会の現場に居たからね。営業泣きでなければ身内じゃない人の前では基本的に俺は泣かないけど、その例外を見たんだった。泣いてる俺はレアだからね。



「そうなんです」

「別世界かー、どんなところ?」

「例えばボクが広めた料理やオモチャがあると思いますが、あれはみんなその世界のものなんですよ。ただ魔法やスキル、魔核もないんです」

「そ、想像できない……」



 みんな似たような反応するね。当たり前っていうのは世界ごとに違うってことだ。そう考えると、なんらかの改変でもともと地球にいたことになってるとはいえ、リルちゃんはよく適応できてると思う。



「そうだアリム、今日はその世界の飯をご馳走したらどうだ?」

「じゃあそうしようかな。……リルちゃんならアナズムの人たちの口に合いそうな料理わかるよね? 何がいいかな」

「んー、天ぷらかな! あといきなりナマモノはきついだろうし、助六を中心としたお寿司とか」

「えっと、リルさんは……」

「わふわふ、私のことはリルでいいよ! お話を聞いてる限り多分同い年だし」

「わかった! リルちゃんはアリムちゃんたちの世界に行ってことあるの?」

「彼氏を追いかけて行ったよ」

「おおっ!?」



 それからリルちゃんの恋話になった。リルちゃんのショー大好きっぷりは凄まじいから何回話しても盛り上がる。彼氏を追いかけるために別の世界に行くなんて普通しないもんね。俺とミカも人のこと言えないけど、本当のことを暴露したら引かれるし男だということがバレる……。



「やっぱり猛アタックが必要なのかぁ。もっとラハンドさんにプッシュしてみようかな」

「我はいざとなると恥ずかしくなってガバイナに誘えないからな……」

「そういえばここに居るほとんどが好きな方やお付き合いされてる方がいらっしゃるのですね! 私にもいつか添い遂げたいと思える方が現れるでしょうか?」

「きっと現れるよカルア姫!」

「だといいのですが。ティールお兄様みたいにあの年齢になっても恋というのを経験したことがないというのだけは嫌です……」

「て、ティール皇子様にもいつかきっと現れますって!」


 

 それ以上はいけない。カルナ王妃と国王様の息子でカルアちゃんとルインさんのお兄さんだから顔も良くて、そもそも王子様なのにそういう浮かれた話がないとか言っちゃいけないと思うの。……知り合いの女性はみんな彼氏持ちか好きな人がいて、誰も紹介できないしな……ま、きっといい人が現れるでしょう。少なくとも結婚できないなんてことだけはないはず。

 恋話に熱が入ってから時間が経つのは早かった。みんな好きだよね。いつのまにかお夕飯を作る時間帯になっていたので、俺はいつも通りお城の台所を借りてこの女子会メンバーと、その他ルインさんなどお夕飯を食べるであろう人の数だけ天ぷらを揚げた。



「いいのかな私、お城でお夕飯ご馳走になって」

「もちろんいいのですよ、マーゴちゃん」

「ひ、姫様にちゃん付けで呼ばれた……!」

「ふふふ、今日は一緒にお風呂も入りますし、一泊もしていただきますからねっ」



 お料理を作り終わったので、配膳はメイドさん達に任せて食堂に入るとそんな会話がされていた。こういうの見るといつも思うんだけど、カルアちゃんってかなりフレンドリーだよね。元冒険である国王様の性格がいくらか遺伝してるのかも。



「みんなできたからね! アナズムの人のお口に合いそうなフルコースが順番に運ばれてくるよ」

「私は以前もアリムちゃんにご馳走してもらったことがありますが、非常に美味でしたね」

「そうだね! 普通は行けない世界のご飯ってどういうものかと思ってたけど」

「その面で考えたら使っている食材も普通でしたし、調味料もおかしなものはありませんでしたね」

「そ、そうなんですかぁ……!」



 え、みんなもしかして宇宙人が作るようなものを想像してたのかな? 正直、アナズムにない料理って日本料理と中華料理ぐらいだったんだけど。それ以外は使ってる材料をのぞいたらほぼ一緒。

 ……たまに思うけど、アナズムの食べ物が地球から見て異常だったら、俺、アナズムに来たばっかりの時どうなってたんだろ。



「これが天ぷら……!」

「唐揚げやカツとはまた違うんだね?」

「はい、とりあえず食べてみればわかりますよ」


 

 次々と運ばれてくるメニューをみんなはあっという間に食べてくれ、メインの天ぷらとなった。今日もうまくできてる。みんな感激しながら食べてくれた。

 夕飯を食べ終わったら次にやることといえば……。



「お風呂入りましょうお風呂! 9人で!」

「我の成長した身体を見てみるが良い!」

「ローズさん、成長してるんですか? 羨ましい……」



 おー、いつ言い出そう。ボクは一緒には入れないって。サクラちゃんとリルちゃんが居たら入れないんだよ。仮にも本来の性別は男だからさ。もちろんミカとなら喜んで入るんだけど。



「ね、ねぇカルアちゃん」

「どうされましたか?」

「ちょっとお腹痛いから、ボク独自で開発したお風呂入るよ。えっと、八人で入って?」

「……? そうですか……」


 

 ごめん、ごめんねカルアちゃん……。そんな悲しそうな顔をしないでね。オトナの事情ってやつだよ。俺たちまだ子供だけど。



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2巻の作業中ですが、十二月末の提出なのにまだ1/4も終わってなくて難儀してます(´›ω‹`)デモ、ガンバルヨ!

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