閑話 有夢抜きの脱衣所にて (美花)

「アリムちゃんが入れなくて残念です……」

「仕方ないよー。ね?」

「わふわふ」



 城内で一番大きなお風呂場の脱衣所。有夢を抜いた私達八人で来ていた。アリムはたしかに女の子。もともと男だと知ってても概念も認知も女の子ってことになる。本人も女風呂や女子トイレにスイッと入れるような凄さ。

 これはスキルの力が恐れるべきなんだけど、『今女の子である』ことと『親友や自分の弟の彼女と女の子の状態で一緒にお風呂に入る』というのは別物であり、認知的に女の子だと理解してても有夢は一緒に入っちゃダメなの。サクラとリルちゃんが一緒でなければまだ良かったんだけど。

 ちなみに私は、有夢がアリムの状態で私付きなら他の女の子とはいっても許す。そもそも私と二人ならかなりの頻度で入ってるし。

 それにしても、これはセクハラし放題じゃないかしら。



「んー、久しぶりに見たけどもう元の私の大きさとほぼ一緒ね、本当に。高校に上がる頃にはリルちゃんと同じ大きさね」

「ひゃああ! や、やめてお姉ちゃん!」

「はい、前に約束した通りもうやめてあげる。いい加減叶君にも揉ませたら?」

「う、うん……そ、そだね……」


 

 なにかな今の反応は。最近何かあったのかな。よし、次は誰にしよう……といってもかなり親しい間柄の人にしかできないけど。とりあえずでリルちゃんのを握った。もしかしたらこの中で一番触れた回数が多いかもしれない。学校でもこうだから。



「わふんっ」

「リルちゃんのも久しぶりだけど、相変わらずだね」

「わーふー、まあね」

「やっぱりショーには毎日?」

「わふふ、毎日」

「そっかそっか」


 

 さて次は……ここはローズにしようかな。目があったし。ちょっと逃げようとしてるけど。身構えてるローズのこう、隙をついて一瞬で後ろから。



「やんっ」

「ふふふ、ほほう」

「こ、こんなのおかしいんじゃないか! 女が女の胸を揉んでなにが楽しいのだ!」

「私は楽しい」

「くぅ……なんと人間は不合理……」

「ふふふふふ、なかなかよ、ローズも」



 もしかしたらローズは人に揉まれたの初めてかもしれない。そこはガバイナさんに譲るべきだったかな。ま、いいか。次にできるのは難易度的にカルアちゃんかマーゴさん……うーん、カルアちゃんにするかな。私のこの一連の行動を見てたみたいだし。いや、堂々とやってるから全員見てるけど。

 私がカルアちゃんの方を向いたらなにをされるか察したみたいで、お姫様なのに隠そうともしなかった。つまりオーケーね!



「こ、これが触られる感触……! どうですかミカちゃん!」

「なんだか上品な感じがする」

「そ、そうですか?」

「うん」


 

 なんか背徳感が凄まじかった。やっぱりお姫様の胸は揉むものじゃないと思う。ちなみに初めてあった時よりはちゃんと成長してるみたい。

 じゃあ次はマーゴさんで。狙いを定めた瞬間、マーゴさんは諦めたような顔をした。



「あふっ」

「おお……」

「お、おおってなにかな?」

「いえ、想像以上だったので……」

「な、なにが!?」



 大きさは年齢から考えるとこの中じゃ下から二番目かもしれない。でも可能性はあった。まだ十六歳だったはずだからリルちゃんみたいにこの年齢になって成長するとかも有り得る。

 よし、ここからは二十歳に一番近いお二人のを。……ミュリさんとリロさんて両極端すぎるのよね。とりあえず小さい方から行こうかな。



「わ、私にも来るのですか! 小さいからこないと思いました!」

「この中では割と希少なので」

「うっ……ひうっ……ど、努力はしてるんですぅ!」



 ……うーん、これはもしかしたら十二歳のアリムでもミュリさんに勝ってるかもしれない。今の私でも圧倒的だし。なんて声をかけたらいいかわかんないや。メインいこう、メイン。



「いいよ来て! ……ふふっ」

「……………」

「どしたの?」

「いやぁ、すごいなぁって思ったんです」

「え、なにが?」



 なにがって、そのついてるものに決まってる。ただでさえリルちゃんはでかいのに、それよりさらにデカイのはやばい。それなのに形も綺麗だし、リルちゃんみたいに努力してる感じはないし、すごいと思う。本当にすごいと思う。

 とりあえず一通り終わったし、そろそろお風呂に入ろうかな。



「ミカ。ちょっと待つのだ」

「ん、なぁに? もう全員触らせてもらって……」

「まだ一人、なにもされていない者がいるのではないか?」



 ………あ、私だ。

 ローズは私を後ろから肩を持ち上げ、動きを封じてきた。完全に油断していたわ。でも、やる者はやられる覚悟もしなきゃならない。なに、私は有夢とイチャイチャしまくってるから耐えられるはず。



「では私が」

「良いと思うぞ」



 まさかのカルアちゃんが名乗りを上げた。興味津々の眼差しで私をみてくる。そしてそのまま手を伸ばしてきた。まあ友だちだしこのくらいは。



「んぅー……」

「なんだかいけないことした気分です」

「それで正しいんだぞカルア姫」

「でも念のためもう一回」


 

 2回は予想してなかった。

 そのあと、桜の冷静な「裸のままなにやってるんだろう私達」という一言でみんな我に返り、さっさと浴室へはいった。



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久々のこういう回ですな。やっぱりたまには書かないといけませんな、ふふふふふ。なにせ書籍版には書けませんからな。

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