第958話 子供のために考えた結果
「終わっちゃった……」
準備時間を含めてものの2分で片付け終わってしまった。しかも、誰も怪我をせず、肉体で攻撃をすることもなく、お父さんが一人で魔法を唱え続けてそれで終わり。それにお父さん自身も身体に支障があるほどMPを消費したわけじゃなさそう。
そしてその魔法で行ったことといえば、魔物をなんらかの方法で……おそらくお父さんがアナズムに来たばかりの時にやってた念術で相手の重要器官を壊すものだとは思うけど、とりあえず瞬殺して、これまた念術で箱型に小さく凝縮し、その凝縮したものをこの部屋に送ってきた。そして俺に封印するように指示した。
単純だけれど、俺らが今までやってきたことが相当な手間に見えるほどのことをお父さんは一人でやってのけてしまった。
「これなら有夢が作った武器を作動させることも少ないでしょ? 保険のためにあのロボット達はいつでも戦えるようにはした方がいいけど、最低でも人がこの屋敷から誰か出て行って倒す必要はなくなったわけだね」
反論の余地すらない、完璧な解決方法……いや、なんというか解決方法より力技って感じがするけれど、お父さん達のお願いと俺たちの悩みを同時に解決してしまうようなものだ。
「これで、俺たちの言ったことを受け入れてくれるかい?」
「え、えーっと……」
お父さんは俺の方を向いてそう言ったけれど、俺の独断では決めにくい。救いを求めるようにカナタの方に目をそらす。カナタはそのままお父さんに答えてくれた。
「100%全部の欲求を飲むのは無理だよ。例えば国王様から直接頼られたらお兄ちゃんの立場があるから働かなきゃ行けないだろうし。……でもそういう一部特殊な状況をのぞいては、そのお父さんの強力なスキルにほとんど全てを任せていいと思う。お父さんが疲れるとか、なにかリスクがあるとかでなければだけど」
「消費MPはSSランクの攻撃魔法のスキル1、2発分だよ。私たちのとっては大した消費量じゃないでしょ? 1時間も休憩すれば元どおりだ。それにノーリスクだしね」
「それなら問題ないけど」
「じゃあ決まりだね」
正直、状況はきちんとわかっているつもりだけど腑に落ちないというか、飲み込みきれないことがたくさんある。たしかにこれで俺たちは死ぬような思いして毎日戦わなくて良くなったわけだ。お父さんのスキルとロボット達、あとはカナタの瞬間移動と俺の物作りを要所で使用すれば事足りてしまう。でも一体そんな力をどうやって手に入れたかだとか、どう準備してたのだとかが気になって仕方がない。
「あとはあのサムライや、迫り来る神さまってのをどうすればいいかだよね。流石にそれは私一人では無理だけど、みんなこれでたっぷり時間が取れるようになったんだ。相談する暇はいくらでもある」
「そうだね、そうだけどお父さん」
「なんだい叶」
「どうやってそんな強力なスキルを手に入れたの? 瞬間移動も使ってたみたいだし……」
「普通にスキル合成だよ? それぞれ別のスキルだけどね。どんなのか知りたい?」
「うん、教えてほしい」
「じゃあ紙に書いて説明しよう」
そう言ってお父さんは、前に俺が渡したダークマタークリエイトとアイテムマスターの劣化版、アイテムマイスターを駆使して説明書のようなものを用意してくれた。お母さん達はすでに内容を知っているようなので、俺たち六人で額を寄せ合ってその内容を読んだ。
お父さんが今一連の戦いに使用したスキルは、星五つの『ゴッド・アイ』というスキルで、千里眼能力に加え、人間では視認不可能な物を見ることができ、さらに映像や写真からでも透視能力が働く上、視認してる対象へどんな長距離でも自分の魔法を届かせることができることができる半端じゃないもの。例えばお父さんが子供の頃の俺の写真を見ながら回復魔法を唱えると、今の俺が回復するといった感じらしい。
そしてもう一つ星五つのスキルの『念願の神人』。これはショーや俺が所持してる『炎神』などの属性強化系最高峰の念術バージョン。
あとはSSランクスキルの『グラングラビティ』。リロさんのお父さんであるオラフル大臣が同じようなものを持ってたはず。重力を操れるスキルで、魔核を中心に魔物を圧縮したのはこのスキルだね。ちなみにその容れ物だった四角いのは念術で作り出した壁らしい。
とりあえず『ゴッド・アイ』っていうスキルがすごすぎるよね。なんせ離れた写真や映像さえ持ってればいつでもどうにでもできるってことだもんね。そもそも千里眼機能もあるから超遠距離攻撃もできるわけだし。そして念術で瞬殺……恐ろしい。
さらに最後、一番叶が気になってるであろう、四角く圧縮した魔物を瞬間移動させたスキルはSSランクのスキル、そのまま『瞬間移動』というらしい。そんな便利なものがあるならさっさと見つけておけばよかった。きっとデイスって人が持ってるのもこれだね。
とにかくこれら全てをお父さんは考えて作り出し実践に使ったわけだ。研究者で何パターンも試行するようなことを仕事にしてるお父さんだからできたことかもしれないよ。
#####
今日は2018年の11/24です!
この本の書籍化したものを予約して発売日当日(12/10)に届くのは明日までとなっております!
発売日当日に入手したい方は是非、出版社さんのHPから本作の題名を検索して予約してください。ええ、1から書き直したものですからもちろんWeb版とは違った楽しみ方ができますよん☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます