第813話 シヴァに問う!

「てな訳なんだけど」

「ほう」



 お父さんとお母さん達が、アナズムに行き地球に帰ってきてから、またアナズムに一週間後行くという行為を初めてやった今日この日。

 顔には出してないけど、ショーは疲れた様子でリルちゃんと部屋にこもった。

 叶と桜ちゃんはどうせ部屋でイチャイチャしてるんでしょう。

 お母さんとお父さんはこの世界を見てくると言って二週間旅行しに行ってくると言ってどこか行った。

 美花の両親、おじさんとおばさんは普段会社の社長という立場で疲れ切っている(とても楽しんで仕事しているようにしか見えないけど、本人達曰く)のでゆっくり羽を伸ばすのだとな。

 ショーの親父さんとおばさんは今なにしてるかよくわからない。

 リルちゃんの両親は、奴隷制がなくなってのびのびと過ごせるこの国を満喫するために、街を見て回ってくるらしい。

 そして俺と美花は予定通り、シヴァに質問をしていた。

 とりあえず向こうでなにがあったかを教えたところ。



「あの地蔵の首が勝手にはね飛ぶのか」

「うん。不思議でしょ? シヴァはずっとあの中に居たんだから、なにが知らないの? それともまた、教えられない内容だったりする?」



 シヴァ(犬型)は首を傾げる。

 そして犬らしくその場でくるくると小回りを始めると、おすわりしながらこう答えた。



「別に教えられないようなものではないが……一つ、前提としてほしいことがある。もうすでに二人はわかってることかもしれないが」

「えー、なになに?」

「我はあの地蔵に封印されており、外の世界は自由に見れていたというだけで、崇拝されている対象とはまた別だぞ」

「ああ、うん、まあ確かに」

「故に答えられないことの方が多いと思ってくれ」



 それなら確かに仕方ないね。自分の家に住んでいるけど、大工さんほどその家の仕組みや設計自体を理解してないのと一緒だもんね。



「とりあえずそのようなことは本当に昔からよく起こるのだ。なにせ、あの地蔵自体が元賢者が置いたものだしな、アナズムの生き物が出現したり、魔法が発現してしまったりよくあった」

「シヴァがやったわけじゃなかったの?」

「関与したものもないわけじゃないが、基本的に無理だ。年月で解けるタイプの封印ではあったが、やはり硬いと言えば硬いからな」

「ふーん」


 

 やっぱりシヴァからの干渉は難しいんだね。

 シヴァは俺たちの様子を見ながら話を続けてくれた。



「だから今回も、その類ではないか? 少々不気味が過ぎるが。地蔵をアナズムのアイテムと見立てた場合の、不調か何かだろう」

「アイテムの不調かぁ……じゃあ俺が直せるかな?」

「一応、今まで地蔵として崇拝され、人々の念が篭ってるものだ。下手なことはしない方がいいと思うぞ」

「そう言われれれば確かにそうかも」



 信仰とかがそうやって具現されるのかどうかはわからないけど、実際、一応神様であるシヴァがそう言うのならきっとバチとかって本当にあるのだろうし、やめておいた方が良いのかな。



「まあ……毎日直すのは大変かもしれないが、見つけたら治してやってくれ。そのまま監視を続けているのも悪くないだろう」

「そっか、じゃあそうすることにするよ! ありがとうシヴァ」

「いや、こちらとしてもそのように神仏を大切に扱ってもらえるのは同業者として気分がいいからな。我があゆちゃんを気に入ってる理由の一つだ」



 シヴァはかなり機嫌が良さそうにそう言った。ロボットだけど俺が作った機械ものだから一応わかるの。

 もっかいありがとうって言ってから部屋に戻り、ミカと相談会議を始めた。



「シヴァはああ言ってたけど、まだなにか隠してる気がするのよね」

「結構隠し事多いよね、まあ、隠したいことなんて人それぞれあるからさ、仕方ないんじゃないかな。俺たちもどうしても知りたいわけじゃないし」

「そうよね、有夢ですら私にも隠し事あったもんね? よくベッドの下にあるようなものがタンスの奥深くにあったって……」

「も、もういいじゃないかそれは! 全部処分したんだしさ!」

「うんうん、エッチな気分になったら私を呼んでくれればいいからね、これからも……」



 それに関しては、まだパソコンの中のものは消してないからね、頑張ってバレないようにしないと。

 いくらミカが頼んだらすぐにムニャムニャなことしてくれると言って、親しい仲にも礼儀あり。いつもいつも呼ぶわけにはいかないし、地球じゃ色々と無理があるからね。周囲の目とか。



「はぁ……と、とにかく後は自分たちで調べてゆこうね」

「あ、首を元に戻すとかに関してはそれ専用の機械作ればいいんじゃないかな? あるいはもう、あの監視カメラにそういう機能つけちゃうか」



 たしかに毎度毎度直しているのではキリがない。いつまで続くかもわからないしね。

 ミカの言った通り、それ専用の機能をあの監視カメラにつけちゃおう。もうそれってカメラって言えるかどうかわからないけどね。



「さて、今日のこの話題は終わりっ! 甘えていい?」

「ほら、来なよ」

「えへへー」

 


 今日はこの後、めちゃくちゃイチャイチャ以上の非健全なことをした。

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