第812話 透明監視カメラの映像
俺と美花は、いつも通り学校から自宅に帰っている。
今日の翔といえば、新聞でさらに人気がついたみたいで、まだあれから1日しか経っていないのにもかかわらず、取材の依頼がドカドカと入ってきたからヘトヘトしていた。
精神的なヘトヘトはアムリタじゃ回復しにくいからね、そこのところはリルちゃんにしっかりと癒してもらってほしい。
佐奈田の言っていた通り、そろそろ翔をテレビ越しに見る日も近いのかもしれないね!
「さてと。様子見なきゃね」
「様子…? ああ、お地蔵様の!」
美花がお地蔵様が視界に入るであろう近辺でそう言った。そうそう、今朝、また首が落ちていたから監視カメラをつけておいたんだった。
俺と美花は少し駆け足でお地蔵様の前まで来る。案の定、昨日と同じ様になっていた。
「ぷっくーっ!」
「ほら、怒る前に監視カメラ見ようよ」
「犯人がいるなら、絶対に暴いてやる!」
木の上に括り付けておいた、普通の人にとっては透明な監視カメラを念術で操って手元まで持って来る。
俺はそれを一旦持ち帰り、普段着に着替えたりしてから美花が俺の部屋に来たらそれを見始める。
「どうかなぁ」
「まず、私達が戻してからすぐの時間はどうなの?」
「じゃあこれを設置してから10分後を見て見ようか」
ちょうど時間を指定して、その場面を見た。
ちゃんと首は付いている。
「ふむふむ……」
「じゃあ、次にお昼時……正午がいいかな」
「うん……うん、あっ!」
正午には既に首は取れてしまっていた。俺たちが帰ってきて、見たときと同じ感じに既になってる。
「そっか……もう」
「でもここって人通り少ないわけじゃないじゃない? 私たちが学校に行ってる間に誰も直さなかったのかな?」
「色々噂のあるお地蔵様だからね、怖がって直さない人が多くても仕方ないよ。 俺達は中に入ってたモノを知ってるし、謎はかなり多いけど一応幻転地蔵本人にアナズムに送ってもらったんだしさ」
「それもそうね……。じゃあ次は取れちゃった瞬間を見るべきかな。1時間ずつ詰めていけばいいよね」
そんなわけで1時間前、つまり11時ちょうどを見てみた。この時には既に首は外れてしまっていた。
次に10時をみてみた。まだ首は繋がっていた。
つまり、10時から11時の間に何かあったってことだよね。
「よーし、じゃあ5倍速くらいでみてこうか」
午前10時から11時の間を早送り。
30分までの間に4人くらい人は通って、そのうち1人のおじいさんはお地蔵様に手を合わせてたけど、それでも誰も首は弄ってない。
そして40分くらいに、ついにことは起こった。
「あっ……」
風も大して強くないのに、首が自分からポーンって吹っ飛んでったんだよね。いや、まさにその様は怪奇現象そのものだよ。っていうか怖い。
「やっぱり私の予想が当たってたかー」
「さすがー」
「どうするこれ?」
「わかんないや」
とりあえず40分丁度から首が5分間をスロー再生で見てみる。なにか魔法とかの干渉があるようにも見えない。
一応、このカメラは俺のダークマタークリエイトで作った監視カメラだから、伝説級の効果を持っている。関係者以外が見たら透明である上に、スロー再生、早送り再生はもちろん、魔法やスキルの干渉があったらわかるようにもしてる。
でも特に何かあるようには見えないんだよね。
「あー、誰が悪いってわけでもなさそうだね」
「なんなのかなー、これ。四日後の日曜明けにはアナズムに戻るし、その時シヴァに聞いてみよっか」
「そうね。それが一番いいと思う」
でも結構、シヴァって話を隠したがり屋さんだから、教えてくれないかもしれない。悪魔に使った超強力な自白剤をバーチャル立体映像に使っても流石に効果はないし、そもそも魔神は全員が人に憑依するタイプなんだから薬物関係は効かないかも。
「それまでどうしようか」
「日曜日に10時30分から45分の間、お地蔵様の周りをうろちょろしてみましょうよ。それが済めば普通にデートいけばいいし」
「それがいいかもね! あー、でも今回たまたま時間が10時40分付近だっただけで日によって違うかもしれないから一応毎日お地蔵様の様子は見て、監視カメラも仕掛けよう」
話は決まりだね。……でも何気なくデートに行くってことになったけど、行く場所はどこも決めてないんだよねぇ。どうしようかな。
「話変わるけどさ、デートどこ行きたい?」
「んー、普通に水族館あたりがいいと思うよ」
「じゃあそうしようか」
なんだ、あっという間に決まったじゃないか。
なにも決まらなかったら叶の瞬間移動つかって、国内の有名地に日帰り旅行しようと思ったけどさ。
「さて」
「さて?」
気がついたら美花が俺の後ろに回り込んできた。そこからぎゅっと抱きついてくる。
「難しい話は終わったから甘えていいよね?」
「んもー、仕方ないなー」
「えへへー!」
このあと、めちゃくちゃイチャイチャした。
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