二十五章 情報社会
第808話 新聞?
「有夢、おーはよ! チュッ」
「えへへ、おはよっ」
今日も美花と一緒に登校!
出会い頭に軽いキス。それが済んだら先ずは即座に探知で周囲を確認。どうやら今日はストーカーはいないみたいだ。よかったよかった。
と、言うわけで登校をしようね。
「最近変わったことないね」
「そうかな? まあでも平和な証だしいいんじゃない? ……あ、見てあれ」
「んー……あっ!?」
幻転地蔵の近くまで来た時、俺と美花はまたお地蔵様の頭が外れていることに気がついた。
よく外れる頭だなぁ。
「戻さなきゃ」
「だね」
もういっそのこと、アイテムか何かで完璧にくっつけてあげようかな。元々はアナズムのものらしいしねこれ。
「そういえば今更だけど、私たちがずっと、このお地蔵様に向かってお祈りしたりしてたのって、つまりシヴァ相手にやってたのよね?」
「うん。でも俺たちにあの世界での生き方を教えてくれた別の存在もいるし……複雑なことはよくわかんないや」
「そだね。あんまり教えてくれなかったし」
ひとまず幻転地蔵の頭を戻した俺と美花はそのまま手を繋いでまま学校へ。
「やあやあ!」
「おはよう佐奈ちゃん!」
佐奈田に早速捕まった。今日はどんなネタを提供してくれるのだろう。
「ね、昨日お父さんから聞いたんだけどさ、明日の新聞に火野が載るって!」
「まじ?」
「まじまじ! お父さんはやっとか……って言ってたけどね」
そういや最近、翔がインタビュー受けたって言ってたっけ。まあ、柔道であれだけ活躍してたら当たり前か。
「わふー! おはよー!」
「あ、リルちゃんだ。てことは火野もいるわね…」
「おは……お、なんだ佐奈田」
「明日新聞に載るんでしょ、知ってるんだからね」
「相変わらず情報はえーな。今日言おうと思ってたのに」
たしかに佐奈田の情報の速さは相変わらずだ。親が親なんだろうけどさ。なにかあったら、情報に関してだったら彼女に聞けばなんとかなる節がある。
「わふぇ、それはいいけど私はちょっと複雑な気分なんだ」
「なんで?」
「かっこいいショーがみんなに見られちゃう」
「まあ……そうね」
「なんの心配だよ、そりゃ」
ショーにはわからないみたいだけど、リルちゃんはショーを独り占めしたいみたいだからね。その気持ちはわかるよ。にしても新聞に載るってどんな感覚なんだろう。
テレビに出るのと感覚にてるのかな?
「インタビューってどんな感じだったの?」
「あん、そりゃー普通に」
「普通じゃわかんないよー」
「記者が3人くらい来て、学校の応接室で話しただけだ」
「へー」
どんな記事になってるんだろ、楽しみだな。普段はあまり新聞なんか読まないけど、明日は読む!
イケメン、イケメンって騒がれてるくらいなんだから、相当写真映りもイケメンに撮ってもらったんでしょうね。
「なんて事聞かれたの?」
「いやー、向こうは俺が五輪世界大会の選手候補練習生として選ばれたことまで掴んでてな……」
「んん!? 選ばれたの!?」
「あれ、言ってなかったか?」
すごい、すごいよ!
まさか親友があの世界的大会の候補選手になるなんて! 思っても見なかった! 今のうちにサインでももらっておこうかな?
「ってことはこれからドシドシ取材が来そうね」
「うん、来ると思う」
「マジで?」
「この学校一の情報通であるこの私が言うんだから間違いないわよ。予想からして……次来るのは夕日新聞、その後にテレビ夕日ね」
「うわぁ……」
お、ショーがあからさまに嫌そうぬ顔をした。
……あれ、美花がリルちゃんの方をジーッと見続けてるな? どうしたんだろ。
「ねぇリルちゃん」
「わふぇ?」
「だいぶ翔との時間減ると思うんだけど……」
「ああ、そうじゃない! どうするの火野。寂しい思いさせちゃダメよ。だからと言ってマスコミから逃げられるとは思わない方がいいけど」
「じ、時間はなんとか合わせるぜ。ああ」
「私もそんなに気にしなくても大丈夫だよ、ショー……時間なら取れる時あるの知ってるもんね」
まあ確かにアナズムがありゃなんとでもなるけどさ。こっちの世界で遊園地行くとかは大変になりそうだね。
「そうなの? ならいいんだけど」
「それにしても大変だねー」
「ああ、まさか大会に優勝しただけでここまでになるとは思わなかったぜ。普通だったら新聞の片隅なんかに乗ってよ、ちょちょっと話を聞かされるだけで終わりなんだろ?」
「うん、まあだいたいね。でもほら、火野は変な人気出ちゃったし」
翔はもう一度大きなため息をついた。
うーむ、下手に取材陣に囲まれてこうはなりたくないものだね。俺と美花も用心しなくっちゃ。
もちろんリルちゃんも。
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