第795話 めんどくさい転生
レベル上げを始めてから4日が経った。総転生回数は600を超えた。そう、600を超えたんだ。
まさかたった二人で1日だいたい100回は転生できるくらい稼げるとは思わなかった。
ローテーションでやったからこれだけ効率が良かったんだね……さすがレベル上げの鬼であるこの俺の母親。
そう、この俺たちがこんだけ頑張ったんだから…さ。
「休みたい……休みたい……」
「だーめっ」
「もう転生嫌だ……」
「パパ、あと246回よ? がんばろっ」
「ひぃぃぃ!」
お父さんも頑張って欲しいね。
1回1分以上……そうだね、1分半は転生するのに時間かかるから、600回転生は単純計算で900分。
15時間かかるね!
まあ、このくらいの単純作業は普通だよね。
「あゆむぅ! アイテムの力でなんとかするの無理なの!?」
「試したことないなぁ……」
「やってみてよ!」
お父さんにすごい勢いでそう言われた。ねだってる時の表情や声が女の子にしか思えない。さすが俺の父親。
にさても、転生を自動化させる装置ねぇ。
まあステータスに直接干渉してしまうようなアイテムは今まで結構作ってきたし、できなくないかもしれない。
ちなみに、ステータスシステムに影響を及ぼすようなアイテムを作るときは、かならずダークマタークリエイトを使っているよ。なぜなら、素でつくるのはまず無理だから。……いくら器用さが高くてもね。仕組みを1ミリも理解してないからね。
とりあえず作ってみるか。
「うーんと……」
「どう? できそう? というか、そのスキル便利だよね……叶も持ってるんだっけ? あの子最近、自分の進めてる研究が倍々で進んでいってるんだけど、多分これつかって研究材料とか好きに集めてたんだよね」
「へー、そんな使い方してるんだ。まあ俺もだいぶ色々作ってきたしね。うん、今度このスキル配ろうかな」
そう言ってるうちに基盤的なものができたみたいだ。ここから俺が色々なアイテムと組み合わせ、トズマホにアプリとしてインストールし、操作できるようにするんだ。
なんだ、できるのか。
つまんないの。
とまあ、色々工程はすっ飛ばすけど、結果としてはお父さんにそれを渡すことができた。
「はい、これつかってね」
「うわああ、ありがとう!」
他のみんなもヒーヒー言ってたから全員に配ったよ。
仕組みとしては、そのアプリを開いた瞬間に経験値蓄積アプリに溜まっている経験値を一括して転生に変えてくれるってもの。便利でしょー、えへへ。
配ってしばらくしてから全員から終わったという報告があった。
正直、自分のスキルポイントもやばいことになってる。絶対これ一生のうちで消費しきれないって。
「……これで全員ステータスカンストしましたね?」
「ほ、ほほ、本当に僕たちは並のSSSランカーより強くなってるんですよね?」
「はい、デコピンでSSランクの魔物一撃で倒せますの」
「お、おおお……」
地球から来た組の親たちはピンと来ていないようだけど、この世界出身のこの世界の住人であるリルちゃんの両親は呆然としていた。
「じゃあ、帰りましょうか!」
「ダンジョンはクリアしないの?」
「ここはねー……魔物の数的に過去最大に経験値得られるダンジョンだったから残しておこうと思って」
「なるほどね」
ダンジョンといえばそうだ、リルちゃんのお父さんにダンジョン分布の法則性とやらを教えてもらわないと。
「リルちゃんのお父さん、帰ったらダンジョンの見つけ方でしたっけ? 教えてくださいね」
「わふん、約束でしたね」
「改めて帰りましょうか。カナタ、お願い」
俺たちは一瞬で屋敷へと戻ってくる。
そしてそれぞれ、いつものメンバーに分かれて部屋に戻った。もちろん俺はミカと愛の巣へ。
「お疲れ様ー。疲れた?」
「疲れてるように見える?」
「全然。さすがね。最近レベル上げしてないから、そういうことに対する忍耐力とかも下がってると思ってたのに」
まさか、そんなはずがない。忍耐力に関しては逆に磨きがかかったくらいだ。
なぜならほぼ毎晩毎晩ミカが誘って来て、俺はその相手をしているわけだからね。いやでも体力がつくよ。
だから実はミカも相当なものになっているんじゃないかとな思うけれどさ。
「うーん、疲れてないとなると……」
「なにか俺のために考えてくれてるんだね」
「そうよ! 大好きだもん……むむむ」
俺はミカを抱きしめた。一瞬びっくりしたミカだったけど、すぐに可愛い笑顔を浮かべて抱きしめ返して来たの。
「このままベッドに連れてってほしーなー」
「あ、やっぱりそれが狙いか!」
「ふふん! で、どうするの?」
「今夜は寝かさないよ」
「やんっ!」
こんなんでいいのかなぁ……。
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