閑話 ハロウィン

「ハロウィンだよっ!」

「それはいいんだけど、なんで全員集めたの?」



 いつも集まってる部屋に俺とミカ含めて6人が集まった。そしてさらに俺が用意した大きめのアイテムか一つ。



「決まってるじゃないか。仮装パーティーしようよ、仮装パーティー! ほら、そのためのアイテムもあるしお菓子もたくさん用意してるよ!」

「わふっ、楽しそうだね!」

「リルがやるなら俺もやるか」

「お菓子……」

「わかったよ桜、やりたいんだね」



 お、全員から許可が出た。ちなみにミカからの許可はいらないよ。この部屋の飾り付け手伝ってくれたのミカだし。



「このハロウィン仕様の変身ルームに入ったら、あとはこれが勝手に似合いそうなのを選んで変装させてくれるからね」

「でっかいかぼちゃ型……あの口の中から入るのかい?」

「後ろにドアついてるよ」

「あ、ほんとだ」



 そう、このマッシーンもハロウィン仕様なのさ!

 一応食べられるしね。食べたくないけど。そんなことよりルール説明しなきゃ。



「この部屋に入るとルールあるよ! 全員でいっぺんに入るんだけど、そのあと、いつも一緒にいる人と同じ空間に飛ばされるの! そこでまずは相方にお披露目するんだよ」

「どうせみんなあとで見せ合うのに、なんでそんなことするの?」

「……むふふ、イチャイチャタイムさ……」

「あ、なるほど」



 そいうわけで俺たち6人は一斉にこのアイテムの中に入った。自分の身体とい衣装が変わったのがわかる。

 一応、なんか可愛いのになるかもしれないから『アリム』つまり、女のまま入ったけど…どうなってんだろ? 

 なんかスースーするし、胸元でも空いてるかな?

 それでも別にいいんだけどさ。



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(ショー&リル)



「おう……はははははっ!」

「わふ、ショーはフランケンシュタインなんだね!」

「そういうリルはそのままじゃねーか!」

「違うよ、私はオオカミ男…じゃなくてオオカミ女なんだよ!」



 リルは目の色や手の形が変わったくらいで、ほとんどそのままであった。俺は肌色が変化し、肌はつぎはぎだらけに、頭からネジのようなものも生えている。



「え、今が月を見てる状態なのか」

「そうだと思う……ほらあれ、お月様でしょ?」

「ちょっと人間にならせてみるか。電源………っとあったな」



 忠実なのはいいが、フランケンシュタイン。

 なんの行動するのもすっげー時間かかる。さすがは人造人間だ。動きがぎこちなくなるぜ。

 

 電源を入れると、月がなくなった。

 リルは変化する。……なんと、耳も尻尾も、さっき追加されたのも何もない普通の状態に。

 いわば西洋風の格好をしている地球のリルだ。



「こっちの方がびっくりだな」

「わふっ! ……私は月を見てると落ち着くからこっちの方がいいな! もうみんな待ってるんじゃない? 外に出て見せ合おうよ! ほら、動きにくいなら手を引いてあげるから」

「悪いな」

「あ……イタズラを私にしたいならしても……」

「いや、今はみんな待たせてるから」



 俺とリルはこの部屋から出た。



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(叶&桜)



「調子はどう?」

「まあ、しっくりきてるわね」

「とんがり帽に、なんか怪しげな本に黒いドレス……桜は魔女だね」

「そういうカナタは? なんか肌が白くない? あとその貴族みたいな格好はもしかして……」



 そう聞かれると、カナタはニヤリと笑った。

 そして身につけていたマントを翻す。



「そうだ、我はヴァンパイアだ。……ふははははは!」

「みてこれ、十字架!」

「ぐわああああ!」



 サクラは自分の腕を交差させ、冗談のつもりでカナタに見せたが、カナタは頭を抑えて本気で転げ回ってしまった。



「え、だ、大丈夫?」

「ダメかも……。頭がクラクラする。血を吸わなきゃ…」

「わ、私のはダメよ?」

「じゃあ誰のがいいのさ。ミカ姉とか? 若い女の人の生き血じゃないとダメだよ」

「えっ……ほ、他の女の子もダメ。浮気された気分になる。じ、じゃあ実姉のアリム姉とか……」

「何が楽しくて性別を変化させた兄の血なんて飲まなきゃいけないんだっ」

「たしかに。結局私がいいのね? ……ま、まあ酷いことしたのは私だし……ちょっとくらいは」

「いいの!? ありがとう、いただきます!」



 カナタはサクラに飛びついた。

 サクラは腕を差し出すが、カナタはその手を握り、サクラの首筋にキスをするようにかじりつく。



「あんっ…ちょ……腕にし…て! んぁ……はふぅ」

「……少し頂いたよ、ありがとう」

「首筋は……なんかクラクラすりゅ……」

「ごめんね、血がたくさん通ってそうな場所が良かったから。とりあえずこの部屋を出ようか」



 カナタは逆にちょっとフラフラし出したサクラを抱え、この部屋を出た。



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「……思ったよりやかましいのね、メドゥーサの頭の蛇って」

「そっ…そだねっ」



 俺とミカは中継室で落ち合っていた。

 立派な緑色で綺麗だった髪の毛がすっかり小さな蛇に変わってしまっている。

 ハロウィンだからいいけど、日常生活ならまず、嫌だね。



「……ところで、その変態みたいな格好どうにかならないの? そのまま外に出たら痴女だよ、痴女」

「わっ…わかってるよぉ……」

「そもそもそれ、なんのコスプレなの?」



 俺のアリムの身体は包帯でぐるぐる巻きになっているけど、真っ裸に、顔の半分と、女として大衆に見せちゃいけないところをうまく隠すように包帯が巻かれてるの。

 それ以外はいいバランスでうまく扇情的になるように包帯が巻かれてるっぽい。

 ミカの言う通り、確実に痴女だよ!



「た、たぶん、ミイラ……」

「ずいぶんほっぺも胸やお尻もプニプニで生き生きしてるミイラだね!」

「あまり見ないでよぅ。意図せず脱がされるのって恥ずかしいよ……。おかしいな、エロくならないような衣装にしてたはずなんだけど」



 それぞれ胸元が開いてたりする過激な衣装も考えてたけど、結局は健全な路線で行くように計画してたのに。

 なんで俺だけこんなめに。バグかな。



「仕方ないわね」

「え、あれ。体が動かない……」

「石には流石にできないけど、体を止めることはできるのね、このコスプレ。……さて、さてさて」

「え、なんで手をワキワキさせてんの?」

「もう目の前にマリムがこんな格好して居るんだから、やることは一つでしょ、ね?」



 ミカの目が怖い。そしてやっぱり体が動かない。こんなことなら忠実な機能つけなきゃよかった!

 ちょっと口では言えないところを触られた。



「あ、まって、そんなとこっ! お菓子あげるからイタズラしないでよっ!」

「トリックオアトリック……? ふっふっふっ!」

「ひぃぃぃぃぃ!」



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「おっ、二人が一番最後か」

「ミカ姉はメドゥーサで、にいちゃんは……ゾンビ? 結構リアルなメイクだね」

「えっ…えへへ、そうでしょ」



 もうみんな、外に出ていたみたい。

 俺はミカにあんなことやこんなことされてから、ゾンビの仮装し直した。メイクが主であり、本当に腐ってたり傷ついてる部分はない。



「それじゃあハロウィンのお菓子をみんなで食べようね!」



 なんやかんなあったけど、結局は楽しいハロウィンだったのさ!

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