第691話 終業式
帰ってから俺は叶にテストの結果を訊いた。
俺の予想通り叶、そして桜ちゃんも全教科満点、学年一位をとったそうだ。
「1クラスから学年一位が二人も出たって、こっちはすごい騒ぎになったんだけど……兄ちゃんたちはならなかったの?」
「うーん、俺自身テレビに映っちゃった方を気にしたからなぁ。もしかしたら思ったより騒がれてたかも。でも翔の全国優勝だとかもあったし」
ふぅん、と叶は言うと桜ちゃんを部屋に呼んだりせずにそのままパソコンと向かい合い始めた。
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そして一晩たち。
次の日、終業式。
俺と美花、そして約束通りリルちゃんと翔の4人で登校をした。電車とかで周囲に全力で気を張っていた翔はなんだかカッコよかった。
翔がいたお陰かもしれないが特に何事もなく学校に着く。
「お、張り出されてるな」
「わふ? あれはなんだい?」
学校の玄関先のロビーに大きな紙が貼られている。
これは、俺たちにとってはすでに見慣れているもの。
「リルちゃん、あれは順位表よ。私たちのテストの結果を順位にして貼りだしてるの」
「この高校は勉強に力をすごく入れてるからね、順位付けもやっちゃうの」
今の時代、そんなことしない学校の方が多いらしいけどね。でもこれはこれで緊張感があっていいと思う。
まあどっちみちいつもは圏外だから関係ないんだけどね。いや、関係がなかったんだ前までは。
今回からは学年一位。
それも________
「はぁ!? 二学年一位が5人!?」
「って、あのメンツといつもの人じゃねーか!」
いつもの人っていうのは俺たちみたいにチートを使わずに純粋にずっと1位をとってた化け物だよ。
全国模試とかでも常に1位の人なの。まあそんな人も世の中にはいるよね。
「留学生のフエンさんは噂を聞いてるし、いつも高順位の曲木さんはわかるわ……。でもこの二人は…」
「あれじゃね? この4人よく一緒にいるし勉強も教えてもらったんじゃないか」
「いやいやでも、うちの学校のテストで満点って…」
まあ昨日に続きこう評価されるのは仕方ない。本当に俺と翔は平均中の平均だったわけだから。
ちなみに順位表を見ていた人達は『フエンさんが異常なほど頭がいい、教え方も上手いから学年一位が増えた』という結論にそれぞれが至ったようで、ジロリとこちらを……リルちゃんを見てくる。
「も、もう教室行くか?」
「わふ、そうだね」
そそくさと逃げるようにして俺たちは教室へと向かった。入るなり一人こちらに我先へと駆けてくる。
「おはよう! あ、今日はハーレム状態なんだね!」
佐奈田だ。
噂のエキスパートの佐奈田。
昨日はどうやらこれ風邪で休んでたみたいだけど、今日はピンピンして目の前にいる。
「で……学年一位4人組さんたち、いったいどんな勉強をしたか……教えてくださいっ。いえ、それだけじゃないわ。学校新聞を作るため、全国優勝した、今やこの学校の大スターの一人である火野君にはインタビューしなきゃいけないし……そこのお二人がテレビに出てしまったことについても確認したいことがある」
「忙しそうだねさなちゃん……」
「全部貴方達4人のことだけどね」
ホームルームが始まるまでの時間、アナズムに関係するようなことはひたすらにボカして説明をした。
簡潔なインタビューも翔はされたし、俺と美花も感想を述べさせられた。
短時間なのにこれだけの内容を捌くだなんて……恐ろしい子。
しばらくして始まったホームルームも割とすぐに終わり、終業式へ。この時間では冬休みの注意と部活の結果報告などがされる。
そうして校長先生の時間効率を考えた、とてもためになって時間もとらないいいお話を聞いた後、各部員から大会の結果報告会が始まった。
野球部とサッカー部は地方大会落ち。
バスケ部は全国行ってベスト8にはいってきたらしい。山上君が頑張ったんだね。
そして他にも弓道部、写真部、美術部、カバディ部が全国へと進んだ。結果もベスト8位内にはいってるのがいくつかある。
そして最後に柔道部が呼ばれる。
なんと翔の名前が直々に呼ばれ、ステージの上に立たされたんだ。
校長先生は翔へと贈られた賞状2つをよみ、すさまじく激励をすると物品を大量に渡してきた。
全校生徒が拍手をする。
なんてたって快挙だもんね、ここまでされて当たり前か。
さらに校長先生は部活のことがひと段落すると、テストの結果のことも話し始める。
学年一位が増えたことがめちゃくちゃ嬉しいそうだ。
そんでもって翔のことをべた褒めした。
全国W優勝に加え、学年一位の成績までまとってしまうだなんて大変誇らしいだなんて言われてる。
夏あたりに比べると(彼女もできたし)すごい躍進だよ。
翔自身は照れてるけど。
……と、用事はここまで。
あとは自分の教室の掃除をしたあと、帰れるんだ。
帰ったら冬休み!
そんなに長いわけじゃないけれど……楽しもうと思う。宿題も早々に終わらせてね。
ちなみに冬季講習とかは受けないよ。
自由だからね受けるか受けないかは。
というか俺たち三人は一度も受けたことないし、リルちゃんも合わせてくれた。これだけはいつもどおりだよ。ふふ。
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