第624.5話 県大会後のリルからのご褒美 (翔)

「わふん、わふん」



 リルがずっと後ろから抱きつきながら唸っている。

 地球でも大会が終わって家に帰ってからずっとこんな感じだ。抱きつかれている、あるいは身体を触らせようとしてくるんだぜ。

 ……だから俺の一番好きな部位を掴みまくってやったら満足げな表情しながら幼馴染達に報告しようとするなんておもっても見なかったが。



「ショー、すきぃー」

「おうおう」



 こんな調子だもんな。

 そうだ、今回はなにかご褒美みたいなのやってくんねーのかな。前回はマッサージから始まって、裸エプロン、それからいつも通り夜伽だったか。

 裸エプロンなぁ……ぶっちゃけ言うとめちゃくちゃ良かったなぁ…頼めばいつでもやってくれそうだが、それはさすがにやめておこう。



「リル」

「わふわふぅん、はうはう」

「リル…」


 

 抱きつかれたままでも別にいいんだがな、どうしようかなこれ。

 それにしても、有夢と美花から注意されたが、俺の試合を観ている時のリルがものすんごく色っぽくて危なっかしいらしい。その時のリルを邪な心を持つ男が見ると、即襲ってしまいそうだと、男性を見る目に関して様々な経験をしてきたあの二人が言うんだから間違いない。

 リルは俺が一生守るが、それ以前に俺を観ただけでリルがそんな風になるのは本末転倒だぜ。

 かと言って距離を置いたりなんてできないからな。なんとかするしかねーか。



「はぁ…はぁ……わふ?」

「ん、どうしたんだリル」

「あっ…そういえば部屋に戻ってきていたね。ショーに夢中で忘れてたよ」



 なんか唐突に正気に戻ったらリルは時間を確認し始めた。そして俺から離れる。……背中から柔らかい感覚が離れちまった。



「さてショー。どうしよっか。昨日みたいに私の胸のマッサージを続けるかい?」

「いや……今は遠慮しとく」

「わふ? 私、ショーになら何されてもいいんだよ? 何がしたいか言ってよ! 今日は前よりたくさんいいことするって決めてるから、要望をくれたらそれ以上のことするよ!」

「張り切ってるな……」

「わふっ。ショーに喜んでほしいから!」



 とびっきりの笑顔でそう言ってきた。だめだ、萌え死んでしまいそうだ。これでもう十二分にご褒美なんだがな。

 んだな…せっかくだしなぁ…。



「とりあえずマッサージしてくれ」

「わふん、整体かな? それとも…」

「整体の方だ」

「任せてよ!」



 整体じゃない方のマッサージって今のリルだったらどう考えてもエッチなことだしな。最後まで言わせないようにしなくちゃな。うんうん。



「で、衣装はどうしようか」

「え? 衣装?」

「そうだよ! 前の裸エプロンみたいたノリで格好を変えるよ! ……何がいい? それともランダムにする?」

「ぇぇ…」



 やっぱりなにかやるのか。ただじゃ終わらないんだな。

 


「それってやっぱり扇情的な格好か?」

「うん。ショーその方が嬉しい……よね? 違うなら違うと言ってくれよ」



 この際だしふだんから思ってること聞いちまおうか。特にリルの俺に対する露出癖というかなんと言うか、それらのことについて。



「リルってよ、なんかことあるごとに脱いだり下着見せてくれたり、色々するだろ?」

「するよ。迷惑だったかい?」

「いや、俺だけにならいい。むしろウエルカムだ」



 これは本音だ。ぶっちゃけ言っちまえばリルがなにか扇情的な格好をしたり、そもそも裸だったり、体を触らせてくれたり……これらはリルの考えている通り、大当たりだ。自分でも自分がここまで助平だとは思っても見なかったが。



「しかしな、逆にリルは頑張りすぎてないか? 俺のために、俺のためにと」

「だって、これくらいしかできないし…大好きなんだもん! ショー大好きだから恥ずかしさより貢献したいって気持ちの方が勝るの! 喜んでくれてるよ…ね?」



 目をキラキラさせがらだが、どこか期待を含んでそう言ってくるリル。めちゃくちゃ可愛い。どうしよう幸せだわ。



「そうか、そうだなぁ……」



 二人っきりなのに俺はなにを恥ずかしがってるんだ、はっきり言ってしまえ。



「無論、嬉しいぜ。……そ、それはそうとしてリル、とりあえず来いよ」

「わふん!」


 

 誤魔化すために両手を広げればリルは俺の胸元に飛び込んでくる。そこを優しく抱きしめる。ああ、本当に初めて密着した時から色々変わってるな。

 そう実感できるぜ。



「リル、愛してるぞ」

「わふぅ…だいすきぃ…」



 これがご褒美だと言っちまえば俺はそれで納得するぞ。

 


「わふん、じゃあマッサージするよ!」

「おっ、そうか。頼むわ」



 処方してくれるに連れて腕が上がってる。リルのことだからアナズムで毎日練習したりしてるんだろう。



「衣装はどうする?」

「普通でいい、その代わり、全身しっかりほぐしてくれよ」

「わふん、りょーかいだよ!」



 衣装を頼んだらどんな扇情的な格好をしてくる予定だったのか少しきになるが、ま、これでいいだろ。

 この流れならどうせ後でまた、リルを長時間見ることになるだろうしな。



####


 カクヨム公式にて今度は『私は元小石です!』が公式レビュー・紹介されました!

 前回は4月にこのレベルメーカーが紹介されましたが、まさかまた紹介されるなどとは(´ω`)

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