第611話 生活考察
「はい、できたよ! ラストスパートかけるんだっけ?」
「おお、悪いな。……その通り、次は県大会だからな。こっから本気でやらねーと」
俺はショーに新しく柔道の練習相手になるマシーンを作ってあげた。
過去の柔道選手の名鑑を作り、そこから男子柔道オリンピックで金メダルを取った人や、女子柔道オリンピックで金メダル取った人のビデオも作り、そこから色々とデータを抽出して作り上げるの。
最初は半分冗談のつもりでオリンピック金メダル選手の練習相手を作ってあげたんだけど、なんか勝率5割とか、もはやショー自身がオリンピック金メダル選手並みの動きをし始めたんだよね。
それも、体撃奥義を一切使わないで。
だから今回はより強力なデータの掛け合わせをしたキマイラを練習相手や、体格差がすっごくある練習相手をあてがってあげるの。
ま、ショーもつまりは武道の面で天才だったってことだね、カナタが頭の方で天才のように。
そのうちオリンピックとか出ちゃってあっという間に金メダルだなんてことになりそう。
……体撃奥義を一切使わずにオリンピックトップレベルなんだから、体撃奥義の効果を軽くのこっちゃう地球ではショーはどんなレベルなんだろ。……ま、それは県大会を見に行った時にわかることだよね。
「リルちゃんも練習付き合ってくれてるんでしょ?」
「ああ。そうだぞ」
「ところでリルちゃん、この間、『ショーが優勝するたびに私はショーにご褒美あげたいよ!』なんて言ってたけど何貰ってるの?」
イジワルのつもりでそう訊いた。
ショーは恥ずかしそうにしかめっ面をしだす。おっと、これは…?
「その、なんつーか…今誰もいねーから言えるけどよ」
「ウンウン」
「あーその、寝てる」
「一緒に? 添い寝って意味じゃない方?」
「そ、そうだ」
そりゃ、えっちなショーにとってはリルちゃんができる一番のご褒美になりそうなもんよ。
そういえばショーはエロ本捨てたのかな? ま、そんなことは今はどうでもいいね。
「もー、抜け目ないなー」
「ま、まぁな。……リル待たせてるから戻るわ」
「ん、じゃあね!」
ショーは練習人形をマジックバッグにしまうと自室に戻っていった。
ふーむ、このまま全国優勝しちゃいそうだな、本当に。
前年度は惜しくも全国まで行ったけれど優勝チームと準決勝であたっちゃってベスト4だったからね。団体戦は全国ベスト8だったっけ。
今年こそは優勝できるといいね。
「有夢、翔とのお話終わった?」
「んー、終わったよ」
お部屋に戻ると、妻が迎えてくれる。
ぶどう狩りから10日たち、ここまで特に何もなかった。イチャイチャしてるところでラーマ国王に邪魔されることもなかったし。
「そういえば翔の大会が終わる頃には、クリスマスじゃない」
「おお、そういえばそうだね!」
クリスマスが近づいてるのかぁ…。ふふふ、今年はもうそれこそ例年とは全く違うものになりそうだよね。
楽しみだなぁ。そしたらすぐにお正月だってあるわけだしさ。
「クリスマスデート、するよね?」
「するねぇ、おしゃれなレストランでも行こうか」
「……お金あるの? 私は少し厳しいから普通のことろにしましょうよ」
「んー、そういう特別な日くらいは俺が出すよ」
最近はカナタに株のやり方を教わって、ミカといない時間はゲームをするかお金儲けをするかのどっちかになってる。クリスマスの日に1~2万円くらいの遊びをしても全然大丈夫なくらいにはなんとかなってるの。
「いいのに…でも甘えちゃう!」
「えへへー」
「えへへー」
俺らがこうやって過ごすってことは、ショーやカナタ達も何かしらしそうだね。こうやって改めて考えてみると去年とは何もかもが違うや。
「そういえばクリスマスの一週間弱前には定期試験があるわけで」
「……どう思う?」
「ぶっちゃける?」
「うん、率直な意見をどうぞ」
「……今からノー勉でも学年一位とれる気がする」
「それね」
まぁ素直にいうとアナズムで勉強しすぎたんだよね。まだアナズム勉強を始めてから誰も模試や定期テストを受けてないわけだけど。
最近は世界で一番難しい大学の試験問題を解いても合格できてるようになっちゃったから(カナタはそれでも満点らしい、こわいね)、定期試験の前日にアナズムで猛勉強すればなんとかなるような気がするんだよ。
こういうの傲慢だとか余裕だとか…とにかく悪いことだし、世間一般からしたらズルなんだけどね。
ま、そのぶん死ぬ間際までいったりしたから…。
「それはそうと有夢……これから寝るわけだけど」
「ん? 今日もする?」
「うん!」
テストに対する緩慢に性の乱れ……ううむ、高校生としては行ってはいけない方向に行ってる気がするぅ…。
ま、でも仕方ないよね!
「じゃ、ベッドに……」
「えへへ…あーゆむぅ」
俺はミカをお姫様ダッコした。
そのとたんに__________
【アリムちゃん、ミカちゃん! ラーマ国王だ! 一番最後の導者が誰かわかったぞ!】
ミカが俺の顔を見た。
「なんとなくそんな気がしてた」
「だよね」
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