第610.75話 部屋に集まった後 (翔) 2
「わぁ…ふぅ…はい、オムライス…召し上がれ」
「……おう」
オムライスにはケチャップでハートが書いてある。結局俺はリルのその許容範囲内だとかいうことまではやっちまった。なんで我慢できなかったんだろーな。
……いや、我慢したら逆にリルが悲しむはずだ。これで良かったんだ。
「どうだっかな、ショー。新婚ホヤホヤの夫婦みたいだった? なんとかオムライスはできたけど」
「さあ…新婚ホヤホヤでもああいうことするかどうか…そもそも男の妄想の話だしな」
「わふっ」
顔を真っ赤にしながらリルはスプーンを握って固まった。かわいい。
「こ、このあとはどうしたい?」
「どうしたいって言われてもな」
「お、お夜ごはんまで時間あるよっ」
どうするもこうするもないんだがな……一緒に昼寝でもしてみるか。そうしようか。
「昼飯食ったらだな…」
「うんうん」
「とりあえず昼寝するわ」
「……そっか。一緒に寝ていい?」
「ああ」
普通の人より鈍感らしい俺でもわかる、今のリルはなにやっても受け入れるし、何を言ってもその通りにするだろーな。しかしそこはあえて普通のことをする。
昼飯を食い終わった俺とリルは早速ダブルベッドへ。
軽く寝巻きに着替えて横になった。
リルも隣に潜り込んでくる。
「これじゃあいつもと変わらないじゃないか」
「このいつもですらかなり贅沢なんだぞ?」
「わふん? たしかに人の温もりはいいよね。ショーと一緒に居ると落ち着くよ」
何がいいかをリルは理解してないようだ。この光景をクラスの男子が見たら間違いなく俺は殺されかけることだろう。リルも人気者になっちまったことだしな。
「す、好きにしていいからねっ」
リルは念を押すようにそう言った。
俺はただ抱きしめる。
「なあ、リル。もしかしてこれ、インターハイが終わるまでやるつもりか? その、俺らが優勝するたびによ」
「そのつもりだよ。丸一日ずつね! もしかして私じゃご褒美にならなかったかい? ……昔よりはなんとかいけると思うんだけど…」
「いや、そういうわけじゃねーよ」
県大会、地方大会、全国大会を勝ち進めばその度にリルはアナズムの初日でこんな行動をとるのか。
楽しみにしておくと言うべきか、それとも無理するなと言うべきか。
「リルは……なんでこんなに俺に尽くしてくれるんだろうな」
「……わふ、ショーは人生の恩人だし…大好きな彼氏だからだよ?」
「そっか」
俺はリルの頭を腕で包み込みながら撫でた。
俺も理由はわかってるんだが、リルはほら、すこし行き過ぎというか、献身的というか。
「ショー……大好きだよ」
「おう、俺もだ」
「わっふー」
リルは俺の胸元に顔を埋め、擦り付けて来る。
俺はそんなリルを撫で続けながら寝てしまった。
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「さあ、みんな! たんとお食べ!」
アリムがでっかい食堂に俺たちを呼び出した。
寝て起きて10分後のことだ。6時間近く眠っちまってたらしい。ものすごいサイズのステーキ肉が目の前に広がっている。
見ているだけだよだれが出て来そうだ。
いただきますをして食う。
意識が弾け飛びそうになるほどのうまさだ。
「ど、ショー。おいし?」
「ああ、うまいぞ」
「そっかそっかぁ。ふふーん」
シェフの格好をした有夢が俺の顔を覗き込んできた。やっぱり女だよなこいつ。
「次の試合も頑張ってね。次は見に行くからね」
「おう」
ミカがそう言ってきた。
幼馴染達が応援に来てくれるのは普通に嬉しいぞ。できれば全国大会まで見て欲しいが、それはまず無理だからな、場所的な問題で。
「あー、俺たちも行きますからね。ね、桜」
「うん」
みんな来てくれるんだな……嬉しいぜ。
しかしまたハーレムだとか言われそうだな。
俺はステーキを食った。やっぱおかしいってこれ美味すぎだってば。
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「美味しかったね」
「……だな」
しかし、俺の頭の中ではちょっと別のこと考えてるというか、見ているというか。当たり前だよな、一緒に風呂入ってんだもん。
「あー、ショー……その、ずっと気になってたと思うイイコトの正体だけどね」
「ああ」
ついに話してくれるのか。まあ、裸エプロンをしてくれた時点でその正体が何かはわかっているが…。
「い、いつもと同じだよ。その、ベッドで…ね? ショーにとっては別にそんなことないかな。…私にとってはイイコトなんだけど」
そう、リルはつまり夜伽をしたいと。またそう言ってるわけだ。それのことだったんだな。なら普通に言えばいいのにな。なんて、俺ですらちょっと遠回しに言うのにリルを咎めてはいけない。
「んー、いいぜ」
「わふ、ほんと!? じ、じゃあ私のこと好きにしてよ!」
これが再来週以降も続くのか。
……まあ、俺もなんやかんやいって我慢できないからいいんだけどよ。
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リルちゃんは脱ぎキャラ(´・ω・`)(2回目)
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