第609話 お部屋に集まる
幸せな日曜日を経てアナズムへと戻ってきた。また新たな2週間が始まる。
とりあえずショーの報告を聞くために、いつもの場所に集まっているの。
「どうだった?」
「ああ、個人戦の方か」
団体戦は余裕でどの試合においても中堅まで行くことなく優勝し、県大会出場確定らしいからね。すごいよね。
これから日曜日に行われた個人戦の結果を聞くわけだけど。
「とりあえず俺は県大会出場だ。あと副部長もな」
「ぶっちゃけ言うと、大会に参加した部員はみんな県大会に出場したよ」
「……なんというか、相変わらずね…」
ゴリセンの指導が相当なものなんだろうね。個人個人の強さもあるのかもだけど。あれだけ休みあるのにこれだけ強い部員がたくさん作れるのは手腕がいいからなんだよ。
ちなみにゴリセン、学校の高等部の柔道の授業はほとんど全部受け持ってるからね。そもそも保健体育の先生でもあるわけで。
なかなかいい先生だよ。顔がゴリラだけど。
「わっふーん、それにしてもすごいんだよ! ショーね、ほぼ一瞬で全試合終わらせたの!」
「んなことねーよ……」
「え、でもゴリセンも『全試合、掴んで投げて終わってるって感じだな』って言ってたよ! こうなったのもたくさん練習してるからだよ!」
彼氏の武勇伝がそんなに嬉しいのかリルちゃんは耳をピンと立たせ、尻尾をフリフリさせながら嬉しそうにそう言った。
「じゃ、今日は皆で食堂でドラゴンのお肉のステーキでも食べようか。お祝いにケーキもつけてさ」
「おっ、いいのか?」
「うん、だから県大会も頑張ってよ? 今度は俺たちも応援しに行くよ」
「わりぃな」
ショーも嬉しそうに頭を掻いた。照れてる照れてる。
でも前に俺達四人で応援しに行った時は、ショーったらハーレムを組んでる扱いされたんだよね。あながち間違ってないけどね。
「お、あとブドウ、サンキュー。わるいなデート中だったろうにわざわざ届けてくれて」
「いいんだよー」
ショーがニコニコしていると、リルちゃんが腕に抱きついたの。
「ショー頑張ったもんねっ」
「ああ、まあな」
「じゃ、イイコトしてあげるね……。えへへ」
「うっ…おっ、おう!」
声を小さくして言ったつもりだろうけど、間近にいた俺には聞こえている。イイコトだなんて、どうせエッチするんでしょ、わかってるって。
俺とミカも昨日__________ふへへ。
「あー、ちょっと、みんなに話さなきゃいけないことあるんだけど」
カナタが申し訳なさそうに相互切り出してきた。
サクラちゃんは不安そうな顔をしながらカナタの腕に抱きついている。
「どしたの?」
「ショーさんとにいちゃんはもう知ってるよね。リルさんもか。ミカ姉だけかな、知らないのはわ……あの、ストーカーの話なんだけど」
「ストーカー? 誰かストーキングされたの?」
「まあ、それも含めて説明するよ」
カナタが真面目な表情をする。
ふむ、なかなか大切な情報とみた。
_______
____
__
「_____というわけなんだ。昨日、そんなことがあってさ」
衝撃だ。いや、俺が実際に経験したわけじゃないから実感わかないけれど、まーたまたアナズムのことを知ってる人が出て来ちゃいましたか。
一体どうなってるのだか。
「だから敵が味方かはわからない……とりあえず細心の注意だけはしておいてほしい。全員」
「うん、わかったぜ。しかしまさか叶くんが接触しちまうとはな」
「ぷくーっ、私だけ何も知らなかった! みんなずるい!」
「ご、ごめんね、ミカ姉」
それにしてもねぇ…最初から叶の名前を知ってるのか。ますますわけがわからないね。
かと言ってめんどくさいことに首を突っ込みたくないのはみんな同じだろうし、しばらくは様子を見ているだけになっちゃいそうかな。
「ま、何か向こうがしてこない限り気にしなくていいね」
「んだよねー、関わって変なことに巻き込まれるより、いまみたいに普通に暮らした方がいいよね」
「……だな、俺もそう思う」
意見は満場一致だ。めんどくさいことには関わらない、これが一番!
「じゃあ解散で! 夜ごはん、みんなを呼ぶからね」
「おう!」
俺はちょうどいい雰囲気だったから話を占めた。
みんなはそれぞれの愛の巣に相方とラブラブしながら部屋に戻って行くの。
「じゃ、私たちも戻りましょ?」
「うん、戻ろうね」
……さーてと、嫌なことは忘れてミカとイチャイチャしますか。やっぱりそれが一番だよね!
「あ、もうちゃんと何かあったら今後は全部話すのよ? 私だけ知らないとかプクーなんだからねっ!」
「あ、うん。ごめんね」
「謝ったから許す!」
「許された」
部屋に入る前にこのやり取り。
確かに言わなかったことは悪いと思ってるから、今度はちゃんと報告しようね。
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