第591話 本の修復
昨日は投稿し忘れ、申し訳ありませんでした。前話が未読の方は是非お読みください。
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「ふぅ…全部直りましたかね!」
大量の本の山。
これを全部、俺の道具で済ませたんだと思うとすごい。司書さんや手伝いに来た兵隊さんたちも、直るのが見てて楽しいのか、どんどんペースアップして持ってくるもんだから、すごい量になっちゃったよ。
「……直してもらうつもりだった本の冊数を思いっきり超えてるぞ…」
「す、すいません。この際ですし直せるものは全てアリムちゃんに直してもらおうと思いまして。あんまり手間もかかってないように見えたので」
「阿呆。手間がかかってないように見えてるのではない。手間がかからないように前もってあの液体を準備して来てくれたのだアリムちゃんは。な?」
「え、ええ、そうですね」
無限に作れることはこの人も知ってるだろうに。アリムちゃんファンだからって俺の前でいい顔しようとしてないか? まあいいけど。
「いやしかし、実際助かった。どれもこれも新品同様ではないか」
「入手当初からボロボロだった本まですっかり綺麗ですからね」
「えっへへぃ」
なんとも歴史作業を助けるというのは、そのサイクルの一環にしっかりと参加できてるみたいでいい気分になる。
「ではこれから私達はすぐに研究を再開したいと思います!」
「あ、そうだ!」
お節介かも知れないけれど、とりあえず提案をしておこう。研究にはうってつけのアイテムがあるからね。
俺も今の強さになる前はこれにお世話になったし。
いや、今も勉強するときはお世話になってる。
「どうした、アリムちゃん」
「速読できるアイテム要りますか? 貸しますよ!」
「それなら10倍速読できるものが7つほどある。大丈夫だぞ」
「でもボクのはですね_____」
あれから改良を重ねた速読できるメガネ。
まず、1倍から1000倍の速度を自由に選択できるようにし、さらに本の内容を自動で解釈・理解して、同じメガネで別の本を読んだ時に共通する部分や大切に思う部分があれば使用者に教えてくれる優れもの。
これだけできて伝説級だからすごい。
「はぁ…よくそんなもの作ったな。アリムちゃん。……ならばいくつか貸してもらおうか。何個でも作れるんだろう?」
「ええ!」
「なんならアリムちゃん使用済みのでも……やめて、そんな顔しないでくれ! これは余のジョークだ!」
そういうわけで速読メガネ/アリムちゃんバージョン改を5個くらい貸したの。
「これは研究が捗るな。……では皆、頼んだぞ」
「はい!」
「兵、そして司書たちもご苦労だったな。持ち場に戻ってくれ。……戻っていいのだぞ? ……戻れ」
研究をするためにすぐにいなくなった人たちに比べ、司書さんや兵隊さん達は名残惜しそうに俺を見つめている。
俺とミカは協力しあってこの人たちを仕事に戻すことにした。
「みなさん!」
「お仕事に!」
「「戻りましょうねっ!」」
俺とミカで手を握りあってウインク。
ああ、ミカが可愛くてこっちが倒れそう。
「はぁぅい、もどりまぁふ…」
「もふ、ひんでもいい、ふへへ…」
骨抜きになった彼らは満足そうな顔をしてお仕事に戻って行くよ! やったね!
「それでラーマ国王、ボク達が他に何かできることは…」
「ふへへへへへへへ」
おっと、ここに一番のファンが居るのをすっかり忘れてたぜ。口をだらしなく開き、鼻から血を垂らしながら満足そうな顔をしてる。
イケメンなのに、せっかくのイケメンなのに残念すぎる! ……この感覚は地球同じような感覚に…そうか、これがデジャブを感じるというやつか。
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「すまぬ、二人が可愛すぎて取り乱した」
「ははは」
取り乱したってレベルじゃないよ!
10分も元に戻らなかったんだから。俺らの悩殺も困ったもんだね。
「それで…とりあえずは用事が終わったわけだが」
「明日も仕事入っているので、ボク達は帰りますよ」
「もし次来るときはしっかりと時間を空けて、アリムと私でデートします」
「そうか、そうしてくれ」
ぽん…いや違う、ドスンとラーマ国王はこの応接室の机に大金貨の塊を置いた。
支払いだろう。
「また宜しく頼む」
「はい! ではボク達はこれで」
「研究結果がわかったら呼ぼう。こう立て続けに魔神の封印が解かれてる現在だ。二人には研究結果を知らせたほうがいいだろう」
「そういうことならお願いしますね」
さて、じゃあ叶を呼んで帰ろうかな!
…いや、まてよ。まだ何か忘れてる…ああ、そうだ、路地裏の件について忘れてたや。
いっけなーい、ボクったらドジっ。
「すいません、ボク達の方からお話ししたい事があるのですが」
「む、なんだ?」
「この国の治安についてなんですけど…」
「ああ、治安か。悪いだろ、治安」
ああ、ラーマ国王もそれは認識してるのね。
「はい。ボクとミカも暴漢数人に狙われましたよ…変装してたんですけど」
「なに? そいつらの顔はわかるか? 今すぐ捉えて死刑にする」
「そ、そんな物騒な。また冗談ですか?」
「……本気だが。……カースト制度といい治安の悪さといい、それがこの国の一番の悩みなのだ。どうにかできないものか?」
さて、俺はこれにどこまで協力すべきなんだろう。
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