第560話 久々に作るよ!
「そういえばまだみんなの分作ってなかったのね」
光夫さんを密かに送り返してから、俺はミカにみんなの武器を作り直す相談をしたの。
「いやぁ、いろいろ忙しかったからつい忘れちゃってたよ」
「途中まで暇だって言ってたじゃない。でもそうね、いいんじゃないかな」
ミカも賛成してくれたことだし、早速やり始めようと思う。まずは弟達を呼び出すかな。
【カナタ、サクラちゃん、ちょっといい?】
【ん? どうしたのにいちゃん】
【なんか今取り込んだりしてる?】
【ううん。してないよ、あゆにぃ】
【今ちょうど、映画を観終わったとこ】
あの二人は今日は映画を観て暇つぶししてたか。
シアタールームで観てるのかな。
【なら良かった! 二人とも俺とミカの部屋に来てくれる?】
【うん? わかった。今着いたよ】
メッセージが終わり目の前を向くとすでにカナタとサクラちゃんが目の前に居た。
こいつ、瞬間移動で来やがったな!
まあだからと言ってどうもしないんだけれど。
「用事って何?」
「いやぁ、みんなの武器とかがまだ神具級じゃないことに気がついてさ、気がついたからには作くりなおさちゃおうと思って」
「そういうこと」
カナタは納得してくれたようだ。
サクラちゃんも。
「だからよく使うアイテム出してね。神具級に作り変えるから」
「ん、わかった」
「あ、あのあゆにぃ、一ついい?」
おずおずとサクラちゃんはそう言ってくる。
少しなんだか恥ずかしいみたいだ。
「いいよ」
「あ…えっと。これなんだけど」
そう言って取り出したのは、普段からサクラちゃんがちょくちょくつけているすごく綺麗な首輪。
ブリージンガメンだっけ、そんな名前だったはず。
「これをどうしたいの?」
「な、なるべくこのままがいいの。えっと…そのね」
サクラちゃんは小さく手招きして俺を近づけさせる。
耳打ちをしてきた。
「(これね、かにゃたと付き合うことになれたきっかけの一つだから大切にしたいの。できればこのままにして欲しいんだけど…)」
サクラちゃんったらツンデレさん。
やっぱりカナタのことがすごく好きなんだね。
「(なら、俺がそれを手入れだけして、あとはエンチャントカードつけて強くするってのがあるよ。それだけでも神具級になるから)」
「(ほ、ほんと? そうして!)」
「(おっけー!)」
まあこんな耳打ちしてもカナタってば耳いいから全部聞こえてると思うんだよね。…実際、いますごく嬉しそうにしてるし。
「じゃあ二人のアイテム出してよ」
「じゃああと、これ」
サクラちゃんは俺に剣を渡してくる。たしか自動で攻撃してくれる便利な剣だっけ。
「俺はこれと…あと…」
眼帯と黒っぽい槍、そして金の腕輪を渡してきた。
そして俺の耳元まで近づいてきて、サクラちゃんと同じように耳打ちをしてくるの。
「(まず槍なんだけど)」
「(うん、どうしたいの?)」
「(もうグングニルとか使う気にならないから、単純に強くてかっこよくしてほしい。既にそのや槍はかっこいいでしょ? そんな感じで)」
「(にいちゃんのセンスを信用しなさい)」
カナタはコクリと頷いた。
こいつは彼女ができても中二病が治らないのか。
天性の中二病だし仕方ないね。
「(で、槍の名前を決められるなら『ゲイボルグニル』みたいな感じにしてほしい)」
「(グングニルとゲイボルグを合わせた感じか)」
どっちも神話上の武器だ。
この世界では現実の武器なんだろうけれど。
「(さすが兄ちゃん、わかってる)」
「(俺も一時期そんな感じだったしね。……で、眼帯の方は?)」
カナタはそれを大切そうに握りしめていた。
どう考えてもサクラちゃんからもらったものだ。
「(これはね、桜が俺のために作ってくれたんだ。だから大切にしたい。桜がさっきにいちゃんに注文してたことと同じことしてよ)」
「(全然良いよ!)」
「(じゃ、頼んだよ)」
やっぱり聞こえてたのか。俺も同じような幸せそうな顔しやがって。ところどころ顔で似てるところあ流からそれだけカナタがどれだけ幸せ表情でわかる。
「それじゃあ今日の夜まで作っておくからね! …効果はこっちのおまかせでいいよね? だいたい、今ついてる効果を俺が強めただけになるんだけど」
「それで構わないよ。じゃ、お願いね」
「夜に取りにくるね、あゆにぃ」
二人は瞬間移動で自分たちの部屋に帰っていった。
さて、次はショーとリルちゃんか。
どっちかにもサクラちゃんみたいに思い出の品とかがありそうだな。赤ずきんとか。
でも呼んで大丈夫かな?
なんか裸の付き合いしたりしてないよね?
……まあこんな真昼間からしてるわけないさ。俺とミカじゃないんだし、流石にね。
そんなわけで俺はあの二人を呼びだした。
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