第548話 披露宴 -3-
5/7、投稿を忘れてしまっていました!
申し訳ございません。
本日は2話投稿となります!
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「ではこれからボクが、新郎新婦であるウルト・ラストマンさんとパラスナ・ネルヴァン…じゃなくてぇ、パラスナ・ラストマンさんを祝いたいと思います!」
この世界に来てから培ってきたぶりっ子を全開にしてる。
人差し指で自分の頬に軽く触れながら、ウインクしつつ体を少し前にのめらせたり…片足をぴょこんと上げたりね。カナタがなんか白い目で見てる気がするけど気にしない。
ちなみに、パラスナさんの苗字の言い間違えはわざわざそうしたんだよ。
2人、とくにパラスナさんは恥ずかしそうに微笑んだの。
「おおお!」
「アリムちゃん可愛いいいい!!」
「見てるだけでも十分ですぞー!」
「結婚してくれないかー!」
祭りで騒ぐタイプの貴族達や冒険者らからそんな声が聞こえてくる。
アイドルになったつもりで会場全体に手を振りながらさっきの『結婚してくれ』とか『抱かせろ!』とか聞こえたら両人差し指で顔の前に小さくバッテンを作り『だめー』って可愛く言うの。
そしたらまたみんな俺…いやボクの虜になるから。
「ではそろそろ始めますから、お静かにお願いしますねっ」
「「「はーい!」」」
そんな一言だけでこうも簡単に静かにしてくれる。
ふむ…やっぱり大衆の前じゃあ、一言一言気をつけなきゃいけないかな。発言力が大きいや。
この場合はみんな萌えてるだけかもしれないけど。
「それでは……!」
とっておきもとっておき!
この日のために1ヶ月かけて考えた出し物だよ。
ウルトさんとパラスナさんはもちろん、みんな喜んでほしいなぁ。
パチリ、と俺は指を鳴らす。
その瞬間この教会は、この会場の床以外が全て粒子となって消えた。
普通なら教会の屋根やら壁やらが外れたら、その外はこの街の外観になるはず。
しかしそうはならない。
「ふぇあ!?」
「えっ、えっ!?」
冒険者の人達も驚いてるけど、普段は戦ったりしないような貴族の人たちの反応がとても面白い。
教会と外を遮断するものが崩れたその先は、全くの道の世界……いや、それは言い過ぎかな。どっかの原っぱだよ、原っぱ。
みんなが戸惑ってるところ悪いけれど、俺はそのまま無言で進めることにする。
人差し指と親指で輪っかを作り、それを唇に当てて吹く。それがトリガーとなって原っぱから現れるのは無数の花火!
もちろん、砲台とかは全く見えないよ。
このスキル主義の世界でそんなもの不必要だからね。
「すごい…ははっ! すごいぞこれは!」
誰かがそう言ってくれた。
無数に連続で、青空に上がり続ける花火。
地面から湧き上がる粒子のようなものがより幻想的にこの教会(だったもの)全体を囲んでいる。
「幻術ではないのか?」
「……どうだ? いや、幻術ではないようだ!」
「……!! SSSランカーのお前がいうならそうなんだろうな」
どっかのSSSランカーさんがこの俺の出し物を幻術じゃないと証明してくれたみたいだ。
大方、外の方に行って花火に触れたりでもしたんだろう。ダメージ判定あるからね、この花火。
Cランクくらいの魔物だったら即死だよ。
「場所ごと変化させてこの演出をするとは…」
「いったいどんなスキルだ! それとも多大な魔力を使い、複数の魔法を放っているのか!?」
考察班の方々お疲れ様です。
ネタバレすると全部アイテムマスターのせいだよ。
この教会内に、この教会自体が俺の作り出した原っぱ型のマジックルームに移動するように細工しておいたの!
俺の用意したマジックルーム内に移動するんだから、この先は何でもかんでも俺の自由。
つまりどんな演習も可能ってこと。
「よ、夜になった!」
こんな感じで昼夜を変えることもできる。
「み、見ろ! 流星群だと…!? あ、あれは隕石か!?」
「ぶ…ぶつか…」
「ここは絶対に安全になるようちできてるので安心して下さいねっ」
観客の皆さんの感想が危険なものになり始めたから、俺の一言で安全なことを言う。作った本人が安全だと言ったんだから信じてもらえるはずだ。
「すごい……流星群に加えて無数の花火…!」
「月も綺麗!」
「すごい、すごいぞ!」
いやぁ、どうやら喜んでもらえてるみたいで俺は嬉しいよ。…あと2分くらいでフィニッシュだな。
どんどんと豪華絢爛になってくはずだ。
「ど…ドラゴン!」
「いやよく見ろ、ドラゴン型の花火だ!」
「舞っているように見えるぞ! …三匹にふえたっ!」
生き物のように動く花火なんてのも導入するよ。
そろそろ終わりだからね。もっともっと豪華に…!
ちょっとCGじみてるけどね。
「花火の鳥型の魔物の群れ!?」
「もう何がなんやら……幻想的だ…美しすぎる」
よし、ここでそろそろフィニッシュとしよう!
俺はまたパチリ、と指を鳴らした。
その瞬間、少しずつ豪華に跳ね回っていた花火の魔物や花火達が消えて行き、粒子も抑えれるようになる。
「…………これで終わりか?」
ほとんどのものが治った時、誰かがそう呟いた…と同時に俺はまた指笛を吹く。
そしてこの夜空に大きく現れる『結婚おめでとうございます』の文字。
「結婚、おめでとうございます!」
俺がそう言いながら、ウルトさんとパラスナさんにお辞儀をすると、この教会は粒子のようなものに囲まれ、どんどんと治っていった。これで終わりだ。
顔を上げる。拍手喝采!
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