第527話 ラーマ国王

「おおっ! アリム、ミカ、来ておってくれたか」



 その開かれたとからは、少々上機嫌な国王様が。

 そんな国王様の隣には、美男子と呼べるほどの容姿で尚且つ王者としての風格がある人が。



「おお…あの二人を生で見れる日が来るとは…」



 おそらく、昨日国王様が言っていた他国の国王ってこの人のことなんだろうね。

 それにしてもやっぱり俺達のファンか。なんか嬉しい。



「アリムとミカよ、とりあえずこっちまで来い。それ以外の者はそれぞれ仕事に戻るなり普段通りにすごくなりするように」



 王様は命令すると共に玉座の間へと消えてゆく、

 俺とミカは言われた通りに階段を駆け上がって玉座の間へと入ったんだ。

 そこには国王様と他国の国王様、そして騎士団長さんと……おそらく他国の国王様の護衛人だと思われる人が居る。



「来たな。えー、まずは紹介しよう。彼はブフーラ国の国王リシュナ・ラーマだ」



 やっぱりどっかの国王だったか。

 ……ラーマ国王でいいかなここは。



「ご紹介にあがったよ。初めましてだね。余はリシュナ・ラーマ、ブフーラ国国王を務めている」

「初めまして! アリム・ナリウェイです!」

「初めまして! ミカ・マガリギです!」



 完璧な紳士的態度でお辞儀をしたラーマ国王に、俺とミカも頑張ってお辞儀を返す。

 この人はなかなか好印象もてるな。



「うん、君達二人のことは余もよーく知っている。なにせ二人が出ている雑誌類は全て購読させてもらっているからね」

「それは…ありがとうございます!」



 結構な出版社から雑誌は出てたと思うんだけどなぁ。

 でも俺らの記事を全てチェックしてるって人は少なくなかったりする。



「実はアリム………」



 ラーマ国王は話を続けようとするも、どこか話にくそう。特に俺とミカの名前を呼ぶときだね。

 きっとファン共通の『ちゃん』づけ呼びしたいんじゃないかなーなんて勝手に思ってみる。



「あ、好きに呼んでいただいて結構ですよ!」

「そうかい? …じゃあアリムちゃん、ミカちゃんでいかな」

「どうぞ」



 やっぱりそうだった。

 俺たちはちゃん付けで呼ばれるのがデフォルトだよ。

 うんうん。



「横道にそれたけど続けるよ。本当なら余はアリムちゃんの勇者宣言の時に来たかったんだ。その時に初めて会えたはずなんだけど…いかんせん、メフィラド王国とブフーラ王国は手軽に行ける距離じゃない」



 へえ…でもあの時に来てたらこんなにじっくりとお話できる雰囲気じゃなかったからね。多分、今の方が話をしたいなら正解だと思うの。



「ちなみに我が国もブフーラ王国、エグドラシル神樹国はそれぞれで離れてる距離が一緒なんだぞ」

 


 へぇ、てことはその3国で三角形ができてるわけだ。

 面白いねなんか。



「…それで今回は用事ごとがいくつか重なり…いい機会であるから、余はこの国に訪ねたわけだ。主にSSSランカーのラストマンとパラスナの結婚式だな」



 …一国の国王が…言い方は悪いかもしれないけど、単にSSSランカーであるってだけの二人の結婚式に来るんだ。

 もしかしたら想像以上にSSSランカーという肩書きは重要なのかもね。



「ラーマ国王様とラストマンさん達って知り合いなんですか?」



 俺と同じような疑問を持っていたのか、ミカがそう質問する。



「その通りだミカちゃん。なにせあの二人は奴隷制を撤廃したSSSランカーだからね…余の国でもカースト制という奴隷制に近いものがあるんだが、それを無くすにはどうしたらいいか意見を聞かせてもらったりしてる。歳も近いしね。そもそもSSSランカー同士の結婚ってだけで駆けつける理由はあるよ。…なにせ余もSSSランカーだし」



 なるほど、SSSランカーの結婚が珍しい上にそもそも知り合いなのね。

 …いや、それだけじゃなくこの人、最後になんて言った? 自分もSSSランカー?

 うーん…すごいなぁ。



「私は王として勉強するために冒険者を辞めたが、彼は現役のSSSランカーだ」

「そうなんだ。まあ運良く『グレートマスター』というスキルを手に入れられたからね」



 しかもマスターのスキル持ってるんだ!

 セインフォースとカルアちゃん達でレベル上げして、この世界の人たちのレベルに関する概念を理解してる今だから言えるけど、国王とSSSランカーを両立するってすごいよ。



「ラーマ国王、貴方がアリムちゃん達に会いたいというからこの二人を呼んだが、実際会えてどうだ?」

「……正直な感想を述べるなら、素晴らしく可愛いということだろうか。写実と生とでは全く違う」



 そう言われると照れるな。

 今は女の子だからね、容姿について褒められるとつい嬉しくなっちゃう。



「しかし、わざわざ呼び出してすまなかったな、アリムちゃんとミカちゃん」

「いえ、家がすぐそこなので大丈夫ですよ。ほぼお隣さんなんです」

「ああ、お城の近くに家を建てちゃったのか…なかなか面白いね! これはなかなか…はははは!」



 なんとなく事実を言っただけなのに、笑われてしまった。やっぱりお城の隣に家があるのは変わってるのかな、こっちでも。

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