第496話 二人のSSSランカーの相談

【アリムちゃん、今、大丈夫?】



 そう、頭の中に来たメッセージは言っている。

 …どうやらSSSランカーのあの、ウルトさんから来たみたいだ。

 久しいなぁ。



「ミカ、ウルトさんからメッセージが来た。少し抱きつくのやめてね」

「ウルトさんから? なんだろね。わかった」



 ミカが俺から少しだけ離れる。

 少しずつ温もりが逃げてくけどそれは気にせず、今はウルトさんから要件を聞いてしまおう。



【はい、大丈夫ですよ。なんでしょう?】

【いやね…少し…いや、それなりに大々的に頼みたいことがあってさ】

【ふむふむ】

【その内容を話してからお願いしたいから、明日以降どこかで会えないかなーって】



 なるほど…。

 それにしてもSSSランカーが俺に頼みたいことねぇ…武器かな? まあそれは行ってみればわかるのでしょう。

 ちなみにこのメッセージよやり取りはトズマホを介してミカにも見えるようにしている。

 


「…って。良いかな?」

「良いよ」



 ミカからも了承得たし(最近うまい具合にメディア的活動をしてるため、忙しい日が少なくなって結果的に大抵の予定はミカとイチャラブすることだから、とりあえず何かあったらミカに了承を求めるようにしている)、ウルトさんからの新しい予定を受け入れようかな。



【全然良いですよ! いつにしましょう?】

【や、最近アリムちゃん達のおかげで宿の営業のほうに専念できててさ、時間はそれなりにあるんだ。アリムちゃん達に合わせるよ】

【ではミカと相談するのでしばしお待ちを】



 俺達が今みたいな活動する前はウルトさん達がやってたからね。特にパラスナさんは忙しかったそうな。美人って大変だよねー。

 べ、別に俺とミカがあの人達の仕事を奪ったとかじゃいよ! そもそもあの人達ももうお金いらないくらいの億万長者だし!

 それよりミカと相談しなきゃ。



「ミカ、時間はいつにする?」

「んー、アリムの方が基本的に忙しいんだし、有夢が決めちゃってよ」

「わかった。じゃあ明日の午後2時くらいでいいかな」

「いいと思う」



 よし、じゃあそう提案しよう。



【えっと…明日の昼過ぎ…2時でいいですか?】

【うん。良いよ。相談する場所はうちの宿でいいかな?】

【ええ】

【ごめんね突然にメッセージ送っちゃって。じゃあ明日の午後2時にうちの宿で】



 ウルトさんがそう言ってからメッセージは途切れた。

 ……ウルトさんが俺に頼みたい内容ってなんなんだろうか。



「ミカはウルトさんが頼みたいことってなんだと思う?」

「んー、やっぱりアイテムか…それかあの人のスキルか何かでSSSランクの魔物の出現を察知したから、討伐を手伝って欲しいとかじゃない?」

「まあどっちかかなぁ」



 そうミカと結論に達した時、またウルトさんからメッセージが。



【ごめん、アリムちゃん! もう少し伝えることあるんだ。 えっとまず、明日は俺以外にパラスナも同席するけどいいよね。あとそれと物騒な話題じゃないから安心して】

【は、はぁ…わかりました】

【何度もごめんね! それじゃあね!】



 再びメッセージは途切れる。



「…….なんだろうね?」

「さあ」



 物騒なことではない…ということはやはりなにかのアイテム製作で、武器関係でなく、新しく宿を建て直してほしいとかそういうのだろうか。

 どうにもそれっぽい。

 いやでもそれだったら同じSSSランクであるパラスナさんまで一緒に居る必要はないよね?

 あああ、わからん。明日に委ねよう。



「まあいいや。とりあえず明日になったらわかることだよね」

「うんうん。そうよ。ところで、有夢、チューしてっ」

「はいはい」



_____

___

_



「ウルトさんの宿に来るのも久しぶりだね」

「ここから私と有夢のアナズムでの生活がはじまったんだもん。いわば思い出の場所だよ」

「そんな昔のことでもないけどね」



 俺とミカはウルトさんの経営している宿屋、『光』の戸を開ける。宿内はとくに変わっているところはなく、そのカウンターにはいつも通りにウルトさんが座っていた。



「二人とも来てくれてありがとう」

「いえいえ、ボク達二人共大分お世話になりましたから!」

「そうだね。ほんと、急成長して今でもびっくりしてるんだよ。…と、とにかく上がって上がって。」



 俺とミカは宿の玄関からそのまま宿内に入る。



「こっちだよ」



 ウルトさんはカウンターの仕切りを開いた。

 確かこの先は俺が初めてパラスナさんとギルマーズさんにあった応接室があったはず。

 俺とミカはウルトさんの後ろをついて行き、案の定、あの懐かしい応接室にたどり着いたの。ミカはここ入るの初めてだね。



「あ、アリムちゃん! ミカちゃん! 久しぶりね」

「「お久しぶりです!」」



 もうすでにパラスナさんも居る。

 日頃、外に出るたびにリルちゃんがショーから貰った赤頭巾を大事そうに被ってるように、パラスナさんもフードを身につけてる。

 たまにフード被ってないこともあるんだけどね。



「じゃあとりあえず、座って」



 お茶を俺達に出し終えたウルトさんは俺とミカと対面してなおかつパラスナさんの隣の椅子に座った。

 言葉通りに俺とミカも椅子に座る。



「それで、要件とはなんでしょうか?」

「うん、その前にまずは報告しなきゃいけないことがあるんだ」



 ウルトさんはそう言いながら微笑んだ。

 すると、パラスナさんの頬が少しだけ赤く染まる。

 あれ? なにこれ?

 まさか__________



「俺達、結婚します」

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