第448話 王子達のレベル上げ 2日目

 ダンジョン探索鍛錬2日目になった。

 昨日の夜に、ルインさん達から魔物の素材を買い取って、リトルメタルドラゴンとかを中心に使用した武器などを作成して売った。

 全部、宝級ぐらいに調節しておいたし、バランスが崩壊するなんてことはないだろうね。


 無論、そのあとはお風呂に入って胸の話をして(ミュリさんがそこまで気にしてない様子なのは気になったけど)、ベッドに潜って両手に花状態で眠ったんだ。


 夜寝る前にショーから連絡があったんだけど、どうやらリルちゃんは昨日だけで転生回数20回の経験値を貯め込んだらしい。


 俺が渡した経験値を貯める装置と、どこにも所属してないカナタとサクラちゃんを一時的にショー達のレッドイヤーとかいうセンスが感じられない名前のパーティに入れた結果なんだけれど、カナタの瞬間移動とサクラちゃんの補助魔法によって周回がグッと楽になったんだって。


 経験値も通常の10倍だし、俺のステータスアップアイテムもいくつも渡してるし、そもそもダンジョン周回が苦にならなくなるアイテムまで渡したから、ま、すぐに十分なほど転生回数は貯まるでしょう。



「えっと…とりあえず85レベル近くになるまでリトルメタルドラゴンが出てきたところの周回を繰り返しますよ」



 俺は作戦会議でそう言った。


 ちなみにあのダンジョン、リトルメタルドラゴンあたりまでだったら36000の経験値を手に入れられる。

 200~300回周回するだけでレベルが転生できるまでに行くよ。優しいね。

 


「あ…あの、私達が85レベルに行くまでにあと何回位あそこを周回すれば良いのですか?」

「えっと…15回くらいですかね?」

「じ…15っ…!? そ、それでも普通に魔物を倒すだけより早く済むんだもんね……」



 それぞれなんか大変な事でも話されたかのような顔してる。なんだみんな、だらしない。

 だったの15周じゃないか。簡単でしょ?



「えっと……今、リロちゃんが撃てる上級魔法が7発ほどで…途中でレベルが上がることも考えて8発。Cランク亜種とBランク亜種に4発使うとなると…休まなかったら2周かな」

「魔法だけに頼るんだったらそうですね。だが…剣もある。アリム、俺たち剣士だけでCランク亜種を倒せるようになるのはいつ頃だ?」

「そうですね、あと数レベルでいけるのではないでしょうか。無傷で倒せるまで。Bランク亜種に対してだったらあと15レベルくらいですかね」

「……そうか」



 そう、そうやって考えてくのも楽しいんだよ。

 これだからレベル上げはやめられないよねっ!



「ならこうしよう。まず最初の2周はリロに頼る。4発お願いするよ。そして1度休んでから僕達剣士だけでBランク亜種の場所まで進んで、リロには2発だけ魔法を。トドメまでは僕達がやる……これでどうかな? もちろん、ミュリは補助魔法をお願いね」

「は…はい! 強化術・極が最大になってるので持続時間が伸びました! 期待しててください!」

「ふふふー、今日も私が要かー! 悪い気はしないわね」



 よし、それぞれみんなやる気だね。

 いいことだ、いいことだ。

 ならば。



「早速、行きましょう!」

「「「うん」」」



______

____

__




「よし、あとはBランク亜種を倒すだけか」



 本日1回目の周回。リロさんが魔法でアイアンゴーレム亜種を爆ぜ飛ばし、ルインさん達は来た道を戻ってゆく。

 ふと、俺は立ち止まった。



「アリム、どしたの?」



 ミカが俺に寄ってきて、そう訊いてくる。



「いや…隠し部屋がまだ見つかってないじゃん? ここにあるような気がするんだけど」

「そう? まだ行ってない場所もあるし仕方ないんじゃない? でもそうね、私もここにある気がする」



 そう言いながら、ミカも俺と一緒になってこの行き止まりをキョロキョロと見始めた。

 うーん、2人で探しちゃうとルインさん達の様子を見る人が居なくなる。



「ミカ、ボクがここを探してるから、ルインさん達の様子見に行ってきてくれない?」

「ん、いいよっ!」



 ミカは元気に頷くと、俺の唇にキスをしてからルインさん達の後を追いかけた。

 さて。


 まずはどこをどう調べるか。

 壁かな?

 俺は壁を思いっきり殴ってみた。

 ゴン と、大きな音がして亀裂が入るも、それは時間とともに修復されてゆく。

 じゃあ……床?

 でも床も同じだった。

 

 手当たり次第に壁を殴ってみたけれど、どれもこれもハズレっぽい。

 ……となると…宝箱?

 宝箱をどうしようか。

 壊してみる?

 それとも押してみるか引いてみるか。ズラしてみるか。

 とりあえず、俺は宝箱を大きなボタンであると仮定して、力一杯押してみた。


 ベコッという音とともに、宝箱は床に沈む。

 と同時にカチリと何かが作動するような音がした。

 数秒後、天井が二つに割れ、上からふんわりと、螺旋階段が降りてくる。


 ……ダンジョンってやっぱり不思議だなあ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る