第438話 鍛錬準備!
当日。
俺達は国王様方に見送られた後、すぐにトリアエリアル山の『楽しみ』のダンジョンへと向かった。
まあ、もちろん、俺のアイテムを駆使してあっという間に到着。
そして、ダンジョンの目の前にマジックルームを設置して部屋割を決め始めたんだ。
「どうすればいいかな? 全員、個別の部屋にできますけど」
「私はアリムちゃんとミカちゃんと同じ部屋が良いのですが…よろしいですか?」
俺とミカの関係を知ってるカルアちゃんは俺とミカを交互に見比べながらおずおずと、そう訊いてきた。
カルアちゃんったら、俺らが本当は16歳だって言っても、まったく態度を変えず、『それがどうした』みたいな感じだからね。
そうとう、俺たちと友達なのが嬉しいんだろうけれど。
「うん、勿論!」
「いいよーっ」
「ありがとうございます!」
そう言うと、にっこりと笑うカルアちゃん。
「じゃあ、僕は一人部屋でいいかな。ルイン達はどうするんだい?」
「僕達は…そうだな。どうする、オルゴ?」
ティールさんは一人部屋でいいようだ。
書をしたためてもらう仕事があるからね。
普段から関わりがないとか、陰が薄いとか、だから一人になるんだとか、そういうわけじゃないことなのはたしか。
一方、話を振られたルインさんはオルゴさんと顔を見合わせる。
「そうだな、俺達も一人部屋で……む」
オルゴさんが、後ろを振り向く。
どうやら、ミュリさんの異常な視線を感じ取ってしまったようだ。
なんであの人はあんなにオルゴさんを目で訴えるように、しかし、可憐に見つめているんだろうか。
やっぱり、いつの間にか幼馴染以上の関係ができたのかな…?
「やっぱり二人部屋にしてくれ、アリム」
「ルインさんとオルゴさん、リロさんとミュリさんの二人部屋ですか? 別にいくらでもマジックルームの中身は増やすことができるので、一人ずつでも良いんですよ?」
俺の無邪気を装った問いに、オルゴさんとミュリさん、ましてやリロさんまで言葉を詰まらせる。
そんな中で、ルインさんだけが答えてきた。
「勿論、俺とオルゴでなんだけどね。今日から始める鍛錬の思い返しを剣士である者同士で、魔法使いである者同士で話し合う為に二人部屋の方がいいんじゃないかと思ったんだよ」
「なぁるぅほど、そうでしたか」
ミュリさん、リロさん、オルゴさんがホッとした顔をした。
ここは…何か一言言ってやるべきだろうか?
『本当は付き合ってるんじゃないスカ~?』とか。
いや、やっぱりやめよう。
昔から俺とミカの間柄をいじられて、あれほど変な思いしたじゃないか。
同じことしたらかわいそうだ。
「じゃあわかりました。お部屋は後で用意しておきます。次にパーティのことなんですけど、ティールさんとカルアちゃんが、セインフォースに加わると言う形でいいですか?」
間柄を詮索するのをやめ、真面目な話をした。
だけれども、カルアちゃんが首をかしげる。
「えっと…アリムちゃん達は?」
おうおう、この質問を待ってたんだ。
「ボク達は、手伝いません! 強くなる方法を教えるだけです!」
そう宣言した。
俺が手伝えば終わっちゃうからね。
1日もかからずレベルがカンストするだろうね。
と、オルゴさんが片手を挙げ、ぼそりと。
「…こちらからそれは頼もうと思っていた。やはり、自分達で強くならねば意味がないからな」
それに全員が賛同する。
ならいいんだ、なんも問題ない。
「ふふふー、じゃあ問題ないです! まずは皆さん、パーティ登録しましょー」
俺はマジックバックから、あらかじめ作っておいた冒険者になるための装置を取り出した。
ちなみに、これは普通なら最高級の代物らしい。
人と人のステータスを繋げられるこの装置が最高級で、減らないトイレットペーパーが伝説級だなんて、よくわからない世界だ。改めて。
あっという間に、カルアちゃんとティールさんの冒険者登録が終わり、二人はセインフォースに加わったよ。
とりあえず、仮の冒険者カードも発行しておいたし。
あとは装備品かな。
「あと…ティールさんとカルアちゃんの武器と防具についてなんですけど、これはルインさん達が装備している剣と同等なものにしました! どうぞ」
最高級レベルのミスリルを含んだ鉄の剣をティールさんとカルアちゃんに渡した。
そんでもって、防具もそれらと同等のもの。
…….まあ、万が一のことがあるかもしれないから、もし本当に危なくなった時は防御と回復力が半端じゃなく上がる細工をしてあるから、心配ない。
セインフォースの4人の装備は昨日のうちに新品同様にしておいたし。
「装備し終わりました!」
「僕もだよ」
「僕達も準備いいよ」
メフィラド家兄妹がそう言う。
「よし…ならまずは、あのダンジョンの中に潜りますよ!」
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