第436話 ダンジョン管理
「おかえり。どうだった?」
みんなの元に帰って来て早々、ミカがそう尋ねてきた。
「うーん、周回には向かないかな。リルちゃんが周回するのは他のダンジョンがいいと思う」
「わふ、わかった」
続いて、これは近いうちにクリアしてしまうおうという計画も伝えた。
ダンジョンはクリアした時にその場に居た人全員に称号が与えられるから、どうせだから、ローズとかカルアちゃんとかも誘ってクリアしようと考えてる。
だから、ここをクリアするのはもうちょっと時間を空けるということも述べた。
「ダンジョンとかについては俺はなんもいうことねーから、アリムの考えてる通りにすればいいと思うぜ」
「俺もそう思う。まあ、なんか困ったことあったら言ってくれればいいから」
男二人はそう言った。
うむ、なら今後もそうさせてもらおうかな。
あとは…そう、予定を話さなきゃ。
「じゃあ、今後の予定ね? ボクとミカは王子達のレベル上げの手伝い…もとい鍛錬を今日から5日後にするから、リルちゃんのレベル上げには付き合えないよ。その間にみんなはレベル上げすればいいと思う」
「わふん」
リルちゃんとショーは頷く。
「でね、ボク思うんだけど、リルちゃんがレベル上げするなら、ショーとカナタとサクラちゃんも一緒にレベル上げすればいいんじゃない? ボク達みたいにHPとMP以外のステータスカンストさせようよ」
「それは俺も考えてた。リルさん、そうさせてもらってもいいかな?」
俺の提案し便乗するカナタは、リルちゃんの方を見た。
リルちゃんはコクコクと、大きめに首を頷かせる。
「よし…なら、みんなにはお地蔵さんを預けよう」
「え? なんで?」
「いやー、実はね」
俺がこの間、試しに買い物して見た時に偶然手に入れた経験値倍加。
これをみんなに使ってもらおうという考えとその説明を をした。
もう、全員に使えるように転生ポイントは注ぎ込んであるからね。全員、転生ポイントが2あれば使える。
「へえ…そんなのが。じゃあそれも使っていくよ。管理するのは翔さんでいいかな」
「おう」
ショーは俺からお地蔵さんを丁寧に受け取り、すぐにマジックバックの中にしまい込んだ。
「それとダンジョンのことなんだけど、クリアしなきゃ好きなの使っていいからね。……ああー、やっぱりトリアエリアル山の『楽しみ』のダンジョンはこっちで使うからそれ以外で」
やっぱりあの形式が一番簡単だと思う。
なんにせよ、トリアエリアル山にダンジョンがあるなんて思ってもみなかったよ。だいぶ前に鉱石は掘り尽くして、山の中も隈なく探索したはずなのに。
「じゃあ…今日から5日後にこっちはレベル上げ、そっちは王子様達と鍛錬だっけな」
「そうそう。じゃあもう、もうやることないし帰ろっか」
ダンジョンの管理をするために、5つのダンジョン全部に、他人から見えなくなるアイテムと、出入りの認証許可装置、魔物を自動迎撃するマシーンを備え付けておいた。
この3つで大丈夫でしょう。
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屋敷にて。
この5日間何をしようかと、悩んで居たところにミカがやって来た。
ちなみに、今ここにいるのは俺とミカだけで他の4人は自室に籠もっている。
「ね、ね、鍛錬の内容ってどうするの? 私、まだ詳しく聞いてないんだけど」
「ああー、それね。じゃあ説明するよ、俺のプラン」
プランは、やっぱりダンジョンを繰り返し繰り返し出入りしてもらうということに重点を置いてる。
と、同時にこの世界なにないレベル上げ方法を話すわけだから、記録もしてもらおうと思ってるんだ。
そして今回の鍛錬はカルアちゃん、ルインさん、オルゴさん、リロさん、ミュリさん、ティールさんが参加するわけだけど、俺はやり方だけ教えて危機的状況以外は傍観するに止めようと考えてる。
「へぇ…じゃあ有夢は魔物を倒さないんだ」
「うん。だって鍛錬だし。俺が手伝っても楽なだけだからダメでしょ? ステータス的だけじゃなく、精神的にも強くならなきゃ」
「うんうん、確かに。でも私の時はほとんど有夢がやったじゃない?」
うん、それはそうだ。
だけど。
「あれは俺のレベル上げも兼ねてるし、第一、レベル上げを手伝わない意味があるのはこっちの世界の人に対してだけだからね。リルちゃんみたいに、ショーと一緒にしばらく戦ってたとかならいいんだけど」
「セインフォースの4人は?」
「そりゃ、セインフォースの4人は戦い慣れてるさ。でも一回戦ってるところ見たことあるけれど、まだまだ…なんて偉そうに言ってみるよ。それにカルアちゃんも居るし。カルアちゃん、まだ1レベルらしいから」
まあ、15歳以下だったらそれが普通なんだけどね。
俺がすごい…もとい、おかしいだけ。
「そっかぁー。ちゃんと考えてるんだね」
「もちろん」
「……この様子なら、お父さんになってもちゃんとやってけそうねぇ…」
ミカがニヤニヤしながらそう言った。
そういうこと言われると…照れるな。
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