第301話 カルアちゃんの訪問 6日目 後半

「さて、アリムちゃん。みんなで話し合ったのですが…」



 カルアちゃんはお昼ご飯を、食べ終わるなり、午後の遊ぶ計画を言い始めた。



「アリムちゃんを着せ替えて遊びます! いいですか?」

「……カルアちゃん、アリムは良いって言ってるよ」

「本当ですか! では!」



 良いって言ってない…言ってないってば!

 着せ替えて遊ぶといっても、2日前に使用した例の着せ替え装置を使うらしい。

 

 嫌でもないから良いんだけど、風邪ひくような格好だけはやめてほしい。

 前は部屋を結構、暖めないと寒かったし…。

 

 それだけを伝えると、了承してくれた。



「それでは_________」



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「楽しかったです、ね!」



 ああ、今日もいろんな格好をさせられた…。

 首から下が雪だるまの着ぐるみとか、本の中の人物の衣装を着させる……いわゆるコスプレとかも。

 まえに50着以上、色々と着せたくせに、よくもまあこれまでネタがあるもんだ。



「はぁ…たくさん遊んだなぁ」

「私達、明日には帰らないといけないんですよね…」



 リロさんとミュリさんが名残りおしそうにそう言ってる。帰るったってほとんどお隣さんみたいなもんじゃん。

 会おうと思えばいつでも会えるし。



「ルインさんとオルゴさん、今頃、寂しがってるんじゃないですか?」



 俺がそう問うと、二人はそうでもない感じで答える。



「さあね…どうだか」

「剣の練習でもしてるんじゃないですかね?」



 そうかな? かなり寂しがってると思うな……これが、女の子にはわからない、男心というやつか。

 ……違うね、多分。


 気がつくと時計は既に午後6時を指している。

 夕飯だな。

 


「じゃあそろそろ夕飯にしましょうか。……ゴールディローズクイーンドラゴンのステーキだよ!」



 というわけで、なんかみんなの中では極上のご馳走と化したローズの肉のステーキ……。いや、ゴールディローズクイーンドラゴンのステーキ。

 ローズは食べられないよ。人だからね。


 まあ、美味しいのはわかる。

 でもさ、ローズを人間にしてから、これを食べるのはちょっと抵抗が居るんだよね…ミカは平気らしいけど。


 できた料理をみんなのまえに置く。



「いただきます!」



 そう言って、みんなはステーキから手をつけるんだ。

 えーっと、これが多分、俺の家に泊まる上で最後の食事…あ、明日の朝ごはんと昼ごはんもあるか。


 その二つも豪華にしないとね。


 夕飯を食べ終わったらお風呂。

 お風呂は確実に最後だよね。ほぼ毎日、何かしらあったお風呂…。

 実際、今回もミカがアイテム噴出風呂に入ったら俺のミニ人形がでてきたとか、カルアちゃんが滑って転びそうになって、何故かバク転しちゃったとか…結構面白い…おもしろい? …おもしろい事件があったりした。


 そしてお風呂から上がって、スイカとかメロンとか…それっぽいもの何か食べて眠る。


 今日はいつも通り、俺を真ん中に、隣にミカとカルアちゃんというタイプの寝方だった。

 それについてミュリさんとリロさん曰く、次に泊まりに来た時は私達と寝よう…とのこと。

 ほっぺたを弄られるのが目に見えてるよね。

 


「今日も楽しかったです!」



 カルアちゃんは布団に潜りながらそう言った。



「良かった。…明日はもう帰るんだもんね」

「はい…そうです。お城に帰ります。今度はまた、アリムちゃんとミカちゃんが遊びに来てください……。あ、そうだ! およそ1週間後に星がたくさん降る日があるらしいんです、一緒に見ましょう!」



 星がたくさん降る日…流星群かな?

 アナズムにもそういうのあるんだね…ていうか、宇宙、あるんだね。



「じゃあ…その日、用事がなかったら行こうよ」

「そうだね、ミカ」

「ですね、忙しくなかったら来てください」



 アナズムに来てだいぶ経つけど…まだ知らないことかなりあるな…。そうか、流星群ねぇ…。

 よく考えたらそんなの見たことないや。



「その星が降る日っていうのは…何百年に1回とかなの?」

「…? いいえ、3~4年に一回…。半年の間に2度あった年もあるとか…だいぶ不定期なんですよ」

「へぇ」



 なんだその頻度。宇宙の法則が乱れてる感じがする。

 なるほど、この世界ではそれほど珍しくもないものなのか。祭り好きの人達がまだあんまり騒がないわけだ。



「アリムちゃん、ミカちゃん、約1週間、とても楽しかったです! ありがとうございました」

「いやいや、いいんだよ。エルドラシル神樹国とのいざこざが終わったら、訓練に出かけようね」

「はいっ!」



 俺達はしばらくして眠った。 

 無論、この組み合わせなのだから、ミカは俺の腕にコアラのように抱きついている。

 

 

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