第299話 ダンジョン-4- (叶・桜)
「ふぅ、ご馳走様」
「お粗末様! 少し休んだらダンジョンいくんでしょ?」
「ん」
昼食を食べ終えた二人は、紅茶を一杯飲んでから瞬間移動でダンジョンへと向かった。
「じゃあ…また周ってくるね」
「いってらっしゃい」
サクラの目の前からカナタは消えた。カナタは一人でダンジョンの中へと潜っていったのだ。
「どうせすぐに戻ってくるし、独り言はできないわね…」
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「ただいまー」
尋常じゃない速さで、カナタはサクラのもとに戻ってきた。手にはまた、箱が握られている。
「おかえり。ちっとも待ってないよ。…ところで、それが何かわかった?」
「うん。これさ、いわゆる隠しステージに行ける鍵みたいなんだよね。ダンジョンに入って、ミッションの部屋で伝説級をとれば何回でも手に入るみたいだけど」
「なるほどね。あ、カナタ、このダンジョンをいよいよクリアするときは、私も連れてってね?」
「うん、了解した」
そのあと、カナタは今回得たものについてサクラに説明をした。
まずは1周あたりの経験値が把握できたこと。
1周、121万1500、獲得できるのであった。
次に今回の鍵箱から出てきたお宝。
それは、SSランクの魔核であった。カナタにとってはこれは当たりであり、なるべくSSランクの魔核が出てくれると嬉しいと言っている。
「いつまでやり続けるの?」
「そうだね…今日を入れて3日くらい? レベルの限界も知りたいし。また何回か周ってくるけど…桜、ここに居てくれるかな?」
「うんうん、あんまり離れると経験値入らないもんね。ここで待ってるから」
「悪いね」
カナタはまた、ダンジョンの中へと潜っていった。
ダンジョンを初期化する以外はしばらく戻ってこないという。
「行った…のね」
サクラはその場にシートを敷き、座り込む。
「(叶…優しいよぉ! どうしよ、本当に好き! なんであんなに優しいの? なんであんなにカッコいいの? 本当に叶は私の幼馴染なのかな? そもそも____)」
サクラがそうしてしゃべり続けて約4分。
突然、肩をたたく者が現れた。
「……叶でしょ?」
「あったりー!」
「私に構わなくていいから周回してきたら?」
「……いや、もう終わった。ちょっとステータス開いてみて」
「えっ……は?」
カナタに言われるまま、サクラはステータスを開く。
するとレベルの横に(MAX)と書かれ、経験値が920万でストップしている画面が表示された。
そしてすぐに、頭の中にメッセージが入ってくる。
【レベルが上限に達しました。称号[頂点]を取得しました。レベルが上限に達したことにより、コマンド[転生]が解放されます】
【転生をすると、レベルが1になります。しかし、STP・SKP、スキルにより上がったステータスは残ります。その他、様々な特典があります。過度してしまった分の経験値は、転生後は反映されませんので、ご注意ください】
ステータスを閉じ、カナタの方を見る。
「転生だって…なにこれ…ちょっとなにこれ…」
「そう、つまりレベル上げは終わらないの」
「で、これからどうするの? 転生するの?」
「するよ転生。ていうかしない手は無いね。SKPを割り振ってるおかげで、そこまでステータス変わらないし」
この世界では普通の人は絶対に辿り着けない境地に達した二人だったが、特に驚くことはなかった。
特にカナタの中ではレベル上げの延長でしか無いという結論が出ている。
「確かにそうね……じゃあ転生しよっか?」
「うん」
二人はステータスから転生を選び、転生をした。
レベルの横に数字がつくようになり、[頂点]という称号を得た以外、特に変わったことは無い。
「案外…あっさりね。もう驚き疲れたのかも」
「そうだね。でさ、このダンジョンを8周するだけでどうやらレベルを限界にできるんだよね」
「8周で!?」
「うん。普通の人でも40周で…」
「そんなに簡単に強くなれるのに…みんな、やっぱりやり方を知らないだけなのね」
ゲームに詳しく無いサクラも、さすがにそう思った。
「そうみたい…なんの影響かは知らないけどさ。……8周したら、ステータスを割り振りに戻ってくるよ。ちょっと疲れたし、今日はそこまでにしよう」
「そうね」
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「ただいまー」
「おかえり! じゃあ家に戻って、今日二回目のステータス管理したら夕飯に……」
「まだそんな時間じゃ無いよね」
「確かにそうね。……じゃあ空いた時間…あそびたいなー?」
「良いよ、終わったらね」
二人は瞬間移動で宿まで戻り、2回目の転生をした。
「桜…それぞれのポイントってどうやら、レベル到達のボーナスとかも含めて1~255レベルでだいたい1万9000もらえるみたいなんだよね。俺らはその5倍だけど」
「じゃあ9万5000貰えてるの? いよいよSKPが何に使うかわかんないね」
「確かに…問題は魔核だけだね」
そんな雑談兼考察をしながら、カナタとサクラはステータスを割り振り始めた。
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