第137話 戦争の準備-1-
目が覚めた。
俺の間隣で、ミカは腕にしがみついたままスゥスゥと寝息を立てて眠いっている。
寝ている間、ミカはずっと俺の腕にしがみついたままだったのか!
痺れててすごく痛い。痛いけはずなんだけれど、なぜだか顔がニヤけちゃう。
俺の幸せなこの状況の実況はさておき、今日することを考えなければいけない。
国王様にせっかく、自由に行動していい権利をもらったんだ。
できることを最大限にやらないとね。
俺がやるべきことは決まっている。そう、道具作りだ。
思えば、この世界に来た日からずっとなにかしら物を作ってる気がする。
今回も、道具作りに頼ろう。
まず、作るべきものは……そうだな、回復手段かな。兵が減らなきゃ、まずは負けないし。
うん、そうしよう。
回復手段ならば、やっぱりポーションが一番だよ。
『自動回復させる床』とかを作っても面白いかもしれないけれどね。
もはや俺はレジェンドポーションですらダークマターで作ることができる。
レジェンドポーションを一本作るのには100しかMPを使わない。
そして俺のMPは約100万。けれどもアムリタポーションで全回復できるから、実質無限にMPはある。
よし、回復手段については、なんの問題もなさそうだな。
ただ、回復を主に職業をしている人は今回、お役御免になるかもしれない。
ま、仕方ないでしょ。
戦争なんだもん。いちいちそんなの気にしていられないよ。
とりあえずの方針は決まった。すぐに行動しよう。そのためには、まずはこのベットから降りなければ。
俺が上半身を起こすと、それに触発されたのか、ミカの目がゆっくりと開き始めた。
「おはよう、ミカ」
「んぅ…おはよう。………あ、腕…」
そう言ってミカは慌てて俺の腕を抱きしめるのをやめた。すこし頬が赤くなる。
「……もしかして、ずっと抱きしめてた?」
「そうみたい」
「ごめん…腕、痺れてない?」
「まぁ、大丈夫だよ」
俺は放たれた腕を軽く振って見せた。
やっぱり、すごく痺れている。血が流れる感触もはっきりとわかる。
でもここで『痺れた』なんて言うと、今後、ミカはもうさっきまでみたいに寝てくれなくなっちゃうかもしれない。それは困るんだ。
俺たちはベットを降り、マジックルームから出る。
昨日、寝る前に閉めておいたカルアちゃんの部屋のカーテンは、開け放たれていて、カルアちゃん自身もすでに居なかった。
トズマホで時間を確認してみると、朝の9時だ。
人様の家の中で、少し寝すぎちゃったかも。
その分、ゆっくり休めたんだけどね。
カルアちゃんの部屋から出る前に、仮にもここは城内だから、寝巻きでうろちょろするのは良くないと考え、俺とミカは一通り、身をを整える。
俊速で身支度を終え、部屋をでた先に、偶然通りかかったメイドさんが居たので、その人に王様とカルアちゃんがどこにいるか聞いてみた。
すでに二人とも、王座の間に居るみたいなので、俺らもすぐに玉座の間へと行った。
「おぉ、アリムとミカよ、起きたか。ゆっくり休めたか?」
俺らの顔を見るなり、玉座に座りながら忙しそうに人を動かしていた王様は、こちらに駆け寄ってきた。
…カルアちゃんの姿はここにはないみたいだ。
「国王様、おはようございます。十分休めました!」
「よかった。厨房に用意させたから、少し遅いが、朝食を摂りなさい」
「ありがとうございます。お言葉に甘えます。ところで、ボク、朝食を食べ終わった後、昨日言った通り、色々とやらせていただきますね」
「ふむ………まぁ、期待してる…とだけ言っておこう。そろそろワシは仕事に戻るからな」
国王様は玉座へと戻って行った。
俺とミカが食堂へと向かっている最中、大臣さんに出会った。とても忙しそうだなぁ。
でも出会ったついでだ、兵量とか訊いておこう。
戦争に参加する人数を把握しておかないと、物を作りすぎたり、逆に足りなかったりする恐れがある。
「大臣さん、おはようございます!」
「おぉ、アリム殿とミカ殿。おはようございます。よく眠れましたかな?」
「はい! おかげ様で。ところで、お聞きしたいとことがあるのですが」
「ん? なんですかな?」
道具を作ることを考察してることを伝え、それを踏まえて兵量を訊く。
先に目的を話したほうが話がスムーズに進むだろう。
「それなら…我が国の兵の騎士が、約8000人。 それに加え、私の予測では隣国や友好国からの兵や、冒険者らの協力により…1万5500人程になるでしょうな」
そうか、ならば物資は少し多めに2万人分位作ればいいかな。
「ありがとうございます、参考にしますね」
「ええ、ですがくれぐれもアリム殿は無理をしないように。無理をして倒れでもしたら、カルア様が悲しみますからな」
そう言い残して、大臣さんは去っていった。
食堂に着くと、すでにサンドイッチが用意されていた。
すでに顔なじみである料理長さんは、俺に気づくと、親指を突き出してサインを出している。
これは、俺に味を見て欲しい時に、良く彼がやるサインだ。
サンドイッチの味は、中々美味しかったので、良かったという意味で俺はサインを返した。
それを見た料理長。いい大人が、嬉しそうにはにかんでいる。
サンドイッチを食べ終え、カルアちゃんの部屋に戻る。
カルアちゃんは既に部屋に戻ってきていた。
入れ違いになったんだね。
「おはよう! カルアちゃん」
「おはよー!」
「おはようございます、アリムちゃん、ミカちゃん。戻ってきたら居なかったので、驚いちゃいました」
「あはは…ごめーん。入れ違いになっちゃってたみたいでさ」
良かった、カルアちゃんは元気そうだ。
じゃあ、そろそろカルアちゃんの姿を見れたことだし、作業に入ろうかな。
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