幸せを願う樹
@eisukesatoh
プロローグ
意識が少しずつ遠のいていく。濁流に飲みこまれ、このまま川の底へと消えてしまうのだろうか。だけど構わない。むしろこのまま眠ってしまいたかった。
だってもうルネはこの世界のどこにもいない。ルネが存在しない世界に、僕がいる意味なんて無いのだから。
どれくらいの時間かは分からないけど、僕は意識を喪っていた。誰かが僕の事を抱き上げた。ルネ?
逆光で顔は見えない。ここはどこだろう。よく分からないけど、意識が朦朧としてそれ以上考えられなかった。手を影に向かって伸ばそうとしたけど力が入らない。その影は、伸ばそうとした僕の手を温かい手でぎゅっと握った。
そして僕の意識はまた遠のいていった。川底に引き込まれそうになった時の冷たい感覚とは違う。何か、ぽかぽかと温かいものに包まれるような感触に安らぎを覚えながら。そして僕は眠りについた。
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