水鉄砲

 榊原side



初めまして。榊原一です。

今日は、部活同士の、水鉄砲大会。

勝ったら、学食の豪華なお弁当券をもらえます。

ルールは、水鉄砲の水がヒットしたら失格です。

部員の代表五人が全員失格になったら負け。

そして、最下位だった部活には、罰ゲームがあります。

その罰ゲームは、毎年変わります。

これは、裏ルールですが、水を噴射するものなら何でもいいらしいです。

日常生活部は、部長、和泉君、風間君、霧島君、戸田さんが出ます。

全員、水鉄砲を持つ。

スタートしました。

すると、いきなりすごい勢いで水が噴射された。

 

「なんだ!」

「高圧洗浄器です!あれは……園芸部です」

「仕掛けてきたな……普段、庭の雑用ばかりやらせていたからな……」

「流石に、ひどいです。それ、誰が最初に言ったんですか?」

「ボケてしまったうちの教頭だ」

「あー……あの人が……」

「あれ……?これ、まだ弱だよ」


風間君が何かのスイッチを押す。

すると、園芸部が持っていた高圧洗浄機の勢いが最大になる。

あまりの強さに、園芸部は、全員吹っ飛んで、伸びてしまった。

その間に、ほかの部活の人が当てた。

園芸部は、一気に失格になってしまった。

罰ゲーム決定だ。

そのころ、日常生活部でたった一人の女性出場者の戸田は、どんどんほかのチームを仕留めていた。


「戸田、女子とは思えない強さ……」

「というか、どこの部活も男しかいませんよ」

「有利だしな……」

「なんで一は出なかったんだ?」

「……極度の水恐怖症だからです。もちろん、飲むのはできるそうですが……」

「この間、水道の水をいたずらでかけてみたら、気絶して……」

「それ、かなり致命的だろ」

「はい、昔、プールでおぼれてしまったそうです」

「それだけでか?」

「いいえ。たまたまいたクラスのいじめっ子が強力な水鉄砲を使って、かなりボロボロにしたそうです」

「それで、おぼれたのか・・・・・・」

「流石に、いじめっ子も逆に驚いて泣き出してしまったそうです」

「なんか、どっちもかわいそうだな」


すごく恥ずかしいです……

戸田さんは、身軽に動いていた。

そして、戸田さんの近くで風間君と霧島君が援護していた。


「なんか、完全に戸田のペースに乗せられているな……」


霧島君は、珍しく眼鏡を外している。


「久しぶりに眼鏡を外している所を見たな」

「あの、さっき洋君が眼鏡を敵に向かって放り投げている所を見ました」

「洋……よくセーフだったな……」

「この大会、審査員が適当過ぎるんですよ」

「なんか、今も寝ているやつがいるぞ!」


審査員の一人がグーグーと寝ていた。

しかし、誰も気にする様子はなかった。

すると、霧島君と風間君は、何かフォーメーションをとる。

風間君が水鉄砲を霧島君に投げる。

それを、霧島君は、キャッチした。

二刀流だ。

大会に、自分の水鉄砲を渡してはいけないというルールはない。

そもそも、丸腰になってしまうからだ。

風間君は、綺麗な投げ技で、敵の動きを止めていた。

その動きは、とても滑らかで無駄がなかった。

そして、動きが止まった敵に、霧島君が正確に当てる。

しかも、霧島君は、余裕があるのか、必ず敵の顔面に水を当てていた。

そして、終了の笛が鳴った。

日常生活部の圧勝だった。


「俺だけ失格か……」


部長が言う。


「阿久津さん、相変わらず鈍いですね」

「俺は、とにかく運動が苦手なんだ」

「見た目的にそうですね」

「洋……!どういうことだ?」


部長から、あまりよくないオーラが出ていた。

霧島君が、残っていた水を部長に当てる。

部長も、霧島君に当てようとした。

しかし、その水は、和泉君に当たってしまった。

そして、罰ゲームの時間になった。

園芸部は、かなりおびえていた。


「今年の罰ゲームは……『全力でリアクション芸をして、会場の人を笑わせる』です!」


園芸部が相談をする。

そして、リアクション芸が始まった。

水鉄砲を副部長が持つ。

中には、なにか赤い液体が入っている。

そして、それを園芸部の部長にかけた。

すると、部長が苦しんでせき込んだ。


「タバスコじゃねーか!」


シーンとあたりが静まり返る。

すべってしまったようだった。


「はい……これで、水鉄砲大会は、終了です……」


司会の人が、フォローしようとしてくれた。

冷たい空気のまま、大会は、終わった。

そして、園芸部の人は、この後さんざんいじられた。

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