かつら
阿久津side
俺は、阿久津要。
生徒会長と、日常生活部の部長をやっている。
趣味は、写真・動画の撮影。
よく、コンテストに応募する。
結果はどうかって?
あー……
いつも最下位だ。
まあ、そのことは、置いておく。
「出席とるぞ。今日は……戸田がまだ来ていないな。どうした?」
すると、書記の和泉が手を上げ、立ち上がる。
「部長、真実ちゃんは……現在、校長のかつらを持って、逃走中です!」
「なんで、そんなことをしているんだ……?」
すると、洋が眼鏡を指で押し上げながら言う。
「俺が、戸田に校長のかつらを持って来れば、報酬に百万円をやると言って騙した」
「「「えーっ!」」」
「洋君酷い!マコちゃん、かわいそうだよ」
ユイラは、洋を非難の目で見ていた。
洋は、まったく気が付いていないようだ。
「真実ちゃんも、なんでそんな嘘くさいことに騙されるの?」
「さあ……それより、はやく見つけて、謝らせないと……」
全員で、戸田を探すことになった。
早く見つけないと、後が怖い……
「こっちはいない。和泉たちの方はどうだ?」
「いません……あ!あそこの壁をよじ登っています」
東野、どうしてそんなに落ち着いて言えるんだ。
「なんで登れるんだよ!あの壁、反り返っているだろ。ヤモリか?」
俺は、思わず突っ込む。
相変わらず、戸田の運動神経には、驚かされる。
「命綱無し……すごい……」
「リョウ、なんで関心しているんだ」
リョウの鈍感さにも驚く。
すると、洋が、人間とは思えない発言をした。
「リョウ、そこにある壊れたブラウン管テレビをあの害虫にぶつけてくれ。いいか、思い切りだ」
害虫とは、戸田のことだろう。
「洋、ふざけるな」
「ふざけてなどいない。これは、れっきとした遊びだ」
「「「とんでもない遊びだな!」」」
「サラッと真顔で言う所がある意味すごいね……」
和泉は、もう驚きを通り越して、あきれ顔になっている。
リョウがテレビを持ち上げた。
「「「本当に投げた!」」」
リョウは、小柄で、女子と間違えるくらい細身だ。
それなのに、あんなに重いものを片手で投げるなんて……
本当に、人間か?
洋以外の部員は、みんな口をあんぐりあけていた。
洋は、真っ黒な笑みを浮かべている。
流石、この学園一のドS王子。容赦ない。
テレビは、戸田の頭に掠る。
戸田は、突然の衝撃に驚いたのか、壁から手を離してしまった。
テレビと一緒に落ちていく。
「真実ちゃん!」
和泉が全力で走ってキャッチした。
和泉は、衝撃でつぶれた。
すると……
戸田が持っていたかつらが俺の頭に、綺麗に収まった。
「阿久津!お前が犯人か!」
お怒りの校長が来た。
「いや、俺はやっていない……「問答無用!」ギャーッ!」
校長は、空手で全国大会に行った経験があるらしい。
胴回し回転蹴りが、俺の顔面にヒットした。
今日は、とんだとばっちりを受けたものだ……
そう思いながら、地面に倒れた。
その後、俺は、保健室のベッドの上で目が覚めた。
すぐに、校長に呼び出された。
そして、校長室に行くと、とんでもない光景が広がっていた。
それは、校長が笑顔で、戸田の頭を撫でている所だった。
「どういうことですか……?」
流石に、俺もひいてしまった。
「真実ちゃんは、うちの孫によく似ていてね。歳も同じなんだ。真実ちゃんが犯人なら、今回は許すよ」
甘い。さっきの俺への態度とは、あきらかに違う。
校長は、ロリコンだった。
そう結論をつけ、部室に戻った。
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