#9「轆轤首」

 男にとって女という生き物は美しければ美しいほど、無警戒に近づき、騙されてしまう生き物である。この事実は今の世の中にも言える昔から続く変わらぬ事実だ。

 昔の人間はよく妖怪に騙されていた。特に男は美しい姿の女に化けた妖怪には蜘蛛の巣に捕らわれる蝶のように易々と騙されていた。中でも代表的な妖怪は日本中誰もが知っている『轆轤首』がいる。昼間は人間の姿に化け、夜になると首を伸ばして男たちを驚かせていた。しかし、中には悪質な『轆轤首』もおり、名を『飛頭蛮』と言う。その名の通り、首が抜けて飛ぶ妖怪であるが驚かすだけの無害な『轆轤首』とは違い、人を襲う危険な妖怪である。だがどちらであるかを見分けるには騙されるまでは分からない。

 今の世の中にも男を騙す妖艶な女は存在するが全員が全員同じ騙し方をするわけではない。小悪魔のような悪戯な騙しもあれば、取り返しのつかない騙しもある。今の世の中も騙されなければ『轆轤首』か『飛頭蛮』であるかが分からないでいる。

 ならば男は大前提として「この女になら騙されても後悔はしない」という構えで女と付き合うべきである。

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