#24「ハイエナさん、御免なさい」
『ハイエナ』という言葉を聞いて私がイメージすることは「悪者」や「卑怯者」という言葉を連想する。他の動物の餌を横取りし、残飯を食べる。特に『ライオンキング』に登場する三匹のハイエナは「悪」のイメージを私に植え付けさせた。しかしながら本来のハイエナの習性を知った私は今までのイメージを覆された。
まず、群れについてだがクランと呼ばれるメスを中心に群れを形成していてオスはメスよりも順位が低くなっている。群れのリーダーはオスという『亭主関白』だと思っていたのだがハイエナの群れ構成は『かかあ天下』だったのだ。だが、オス同士の中で順位はなく、無駄な争いを避けるためだと考えられている。メスに尻を敷かれ、肩身の狭いオスたちが互いに慰めあっているようで不憫でならない。
狩りにおいてハイエナは時速65キロと並外れたスタミナを持っている。この二つの特性があるハイエナの狩りの成功率はライオンよりもはるかに高い。そして一番驚かされた事実なのだがライオンの方がハイエナの餌を横取りしているということだ。しかもライオンは群れを形成して奪いにくるので圧倒的な力で餌を盗られているのだ。群れをなさないネコ科の中で唯一群れを形成するのはハイエナに勝つためだったのだ。今までハイエナに対して嫌悪感を抱いていた私だったが急に申し訳ない気持ちになってしまった。更に次なる事実はハイエナの『悪』のイメージを『善』のイメージへと反転させた。
ハイエナの特性のひとつに骨を噛み砕く程の顎の強さを持っている。これは骨のカルシウムや髄に含まれる豊かな栄養を無駄なく食べ、厳しいサバンナを生き抜くためである。対して他の肉食動物は骨まで食べずに餌の30%を残している。テレビでよく見るハイエナが他の肉食動物の残した餌に集っているシーンを見かけるがこの残りをハイエナが100%消化しているのである。故にハイエナは掃除屋とも呼ばれている。つまり他人の残したゴミを処理してくれる善い動物なのである。
上記のハイエナの本来の習性を知った私はハイエナに対して謝罪の意を示したい。
「ハイエナさん、御免なさい」
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