第85話 海戦 10
◆
「地上のジャスティスを奪ったか。まあ考えられる方法はそうか」
「どうして……?」
コズエは絶句する。
『
にも関わらず、ジャスティスを奪って操縦する人などいるはずがない。
それにジャスティスを憎んでいるのに、ジャスティスを操縦するなんていう行動は、クロードの理念にも反する。粛清対象になっても仕方がない。
「あれはあなたの味方じゃないのですか?」
「味方陸軍には海岸に姿を見せるなと伝えてある。それにあるのは一騎だけだ。どうせ味方だと思わせておいて奇襲するつもりだろう。魔王も浅はかな奴だな」
「……っ」
ブラッドがそう言うのであれば、あれは確実に味方の誰かなのだろう。
だが、絶対にあの中にクロードはいないだろう。
では誰が?
こんな愚かな真似をする人が誰なのか。
知っている人間以外も多くなった今、その人物を特定するのは難しい。
(……ここは下の人間を統率しているお兄ちゃんに訊いた方が早い)
コズエはそう判断した。
カズマに依頼して誰がいないのかを上から探ってもらおう。
(おに――)
(コズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよコズエ今行くよ)
(お兄ちゃん!?)
あまりにも頭の中に入ってくる自分の名前の嵐に驚愕の言葉を返す。
(……コズエ? コズエなのか?)
(そうです。私は無事です)
(良かった……本当に良かった……)
本当に安心したような声。
(今どこだ?)
(海軍元帥のブラッドのジャスティスの中です)
(分かった。今助けに行く)
(……助けに行く?)
その言葉に引っ掛かりを感じながら、コズエは兄に呼びかける。
(お兄ちゃんちょっと聞いてください。今、海岸沿いにジャスティスに乗っている人が――)
(コズエ)
静か。
先程までとは打って変わっての落ち着いた言葉に、コズエは動揺する。
(……まさか)
(お兄――)
(コズエ。僕が君を助けに行くからね)
この言葉で確信を持った。
嫌な予感は当たった。
コズエの予想は間違っていなかった。
あのジャスティスに乗っているのは――カズマだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます