第49話 復讐 14
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「……ッ!」
回想から戻った瞬間に、ジェラスは息を呑んだ。
「ちょっと待ってくれ……そういう、ことなのか?」
クロードの言葉と過去のその医者とのやり取りから、ジェラスは真実に辿り着いた。
――完全に繋がった。
ジャスティスを壊したが、パイロットは殺していない。
つまり、その間にあることは、ただ一つ。
ジャスティスを壊したら、パイロットは死ぬ。
絶対に死ぬ。
言い換えれば、ジャスティスがパイロットを殺す。
それはすなわち――
「……まさか、ジャスティスの原動力っていうのは……」
あまりの恐ろしさに身体が震える。
クロードにではない。
自軍の――ジャスティスに対して。
全ての情報を統合した結果、ジェラスはある結論に至った。
ずっと疑問に思っていた。
どうしてジャスティスは、静かなのか。
そして――どうして部下が易々とジャスティスを動かせたのか。
パイロット候補生でもない彼が、一朝一夜で操作できるとは思えない。ましてや有事でもないのに、ジャスティスを持ち出せるとは思えない。アリエッタの命令があったから、と想像できそうだが、彼女は実際には命令を出していない上にジャスティスの整備班に手を廻すように言った訳でもない。しかも、その後の復讐のために三機も持ち出したのもあまりにも早かった。アドアニアが鬼要塞と畏怖されていて、ずっと平和だったこの国で、燃料を詰めていつでも出撃可能であったとは思えない。長い間放置していても劣化しない燃料など聞いたことがない。
しかし、知ってしまえば簡単なことだった。
ガソリンでも電気でもない。
ジャスティスの原動力は、誰しもが持っている――
「人間の――」
――命。
しかし。
そのたった三文字の言葉を、ジェラスは口にすることはできなかった。
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