第11話 覚醒 10

(……情けない)


 思わず溜め息をつくクロード。

 状況が状況だけに、格好良く眼を見開いて、叫んでやりたかった。


 生き残ってやる、と。


 それができなかったなど、死ぬに死に切れない。

 実際、現世に留まっているかのような感覚に陥っていた。

 目の前は真っ暗だったが、聴覚は先程からパラパラという音を拾っており、何やら細かい破片のようなものが顔に降り注いできているような触覚を受けていた。


「ああ、死後ってこうなのか……」


 そう感慨深く呟いた所で、


「……あれ?」


 ようやくクロードは気が付いた。


「生き残って……いる?」


 クロードの瞼が上がる。


「………………」


 目の前の光景に、クロードは言葉を失う。



 彼の眼前にあったのは――『』。



 彼自身は地面に座り込んでいるのだから、二〇メートルも距離があった頭部がすぐそこにあるのは、明らかにおかしい。

 おかしいのはそこだけではない。

 周囲には鈍色の欠片が積もっており、彼が頭を軽く振るだけでさらに追加されていく。

 その物体に触れてみる。

 彼の指圧のみであっさりと潰れてしまった、その欠片。

「間違いない……」

 指を擦り、唖然としながら言葉を落とす。


「これ全部……だ……」

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