第354話 真実 15

「――デメテル」


 彼女の言葉の途中で、私は口を挟んだ。

 どうしても言わなくてはいけなかった。


「私はあなたに求めたのは『真実』よ。それは分かっているわよね?」

「うん。だからこうして本当のことを話しているじゃない」

「ええ。あなたがさっき口にしたことは、全て本当のことだわ。それは私が、自分の異能であなたの嘘を色として見分けることが出来るようにしているから、間違いないことは確認できている」

「……そんなことまで出来るようになったのねー」


 呆れたようにデメテルは肩を竦める。


「で、何が言いたいのよー?」

「全部言いなさい。隠そうとしないで」

「何も隠してなんかいないわよー。それに嘘じゃないってさっき――」


「村に害為す対象となったのは、?」


「……っ」


 デメテルの表情が固まった。

 それが正解であることを何より証明していた。


「そうなのね。、あなたは村のみんなを殺そうと考えたのね」

「……参ったねえ」


 あはは、とデメテルは乾いた笑い声を放つ。


「それも能力で?」

「違うわ」


 私の能力は真実を知ることが出来ない。

 何が起こったのかも知らなかった。

 だからこれは推察でしかない。


「ただの私の勘よ。それ以上の根拠なんかないわ」

「……二度目になるけど、参ったね、ホント」


 デメテルは頬を掻く。

 その表情は少し嬉しそうだったのは、私の見間違いではなかったはずだ。


「……分かったわ。全部話す。――だけど一つだけ約束してね」

「約束?」

「そう。あたしは結構口下手だから、変な風に捉えられる表現があるけど、それでも決して――」


 ぐっ、と一つ息を呑み、彼女は人差し指を突きつけてきた。


。いいわね?」


 ……その条件を提示してきた時点で、ある程度悟ったわ。

 先に考えたこと以上に、彼女の行動には、私のことが理由として深くかかわっているのだ、と。


「……分かったわ。話して、デメテル」


 だけど、それが彼女の優しさであることは十二分に理解していたから、私は首を縦に振った。

 その私の返答に対して、彼女も頷きを一つ返す。

 そして。


「……あの時」


 彼女は言葉を紡ぎ始めた。

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