第305話 決戦 16
◆カーヴァンクル中心街 ――『ガーディアン』
――味気ない。
獣型ジャスティスを操る者――『ガーディアン』の一人であるアリエッタは、小さく溜め息を吐きながら、また一機、相手のジャスティスの首を刈った。
途中から相手が動かなくなった。
こちらは何も影響はない。
きっとそれはセイレンが何かしたのだろう、ということは察しがついた。恐らくはこの獣型のジャスティスのパイロットを選別する時に停止させた何らかの機構を応用したのだろう、と彼女は察していた。
本当はそんなサポートなんか必要ない――なんてことは思っていない。
実際、苦戦していたのは間違いない。何にも特化していない通常のジャスティスだったのにも関わらず、相手は連携をしているだけなのに有効打を与えられず、気を抜いたら逆にこちらが致命的なダメージを受けそうであった。正直、突破口を見つけられずに力任せで進もうかと思っていた所でこのアシストは非常に助かった。
だがしかし、最初に思った通りに味気なさを感じたのも事実だ。
動かない相手を次々に薙ぎ倒していく。
これほど簡単なことは無い。
「まあ、効率よく、というのは私のやり方であるし、不満はないけれど」
効率よく。
確実に。
堅実に。
元帥に昇り詰めるために無駄を排除して突き進んでいた彼女が好きな言葉であった。
故に現在の状況は喜ばしいモノであって、決して後ろめたいことではなかった。
だから淡々と、彼女は目の前のジャスティスをその爪で破壊していった。中には破壊される前に何やら脱出ポッドのようなモノで逃げた者もいたが、ジャスティスにはジャスティスでしか対応が出来ないのでパイロットをいちいち追うことはせず、残された残骸を真っ二つに引き裂き、戻った所で使えないように処理していった。
結果、彼女と対峙していた九機のジャスティスは、あっという間に鉄の塊となった。
「……これだけじゃないわね。全部で一二機だったはずよ」
彼女は最初に対峙した時に一瞬で状況把握し、機体数を覚えていた。
「十機破壊したから、残りは二機ね。……ん?」
と、そこで彼女は気が付いた。
少し離れた場所にジャスティスの残骸があることに。
それは彼女が破壊した、敵ジャスティスではない。
――味方の、通常のジャスティスだ。
「成程ね。私以外のジャスティスを相手していた奴――きっとそいつが司令塔ね」
彼女の勘がそう告げていた。
だから彼女は行動を開始した。
味方のジャスティスの残骸。
それを辿れば――ここにいない敵に辿り着く、と。
一機。
二機。
三機――と破壊されているジャスティスを眼下に置き、彼女は自分のジャスティスが行動する度に破壊される建造物には目をくれず、最短距離で突っ走って行った。
そして数分後。
彼女は見つけた。
敵国である二機のジャスティスの姿を。
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