番外編 飲会 04
◆
「……はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
ジェラスは走っていた。
飲み会当日、急遽処理をしなくてはいけない仕事が出来てしまい、一時間ほど開始予定時刻よりも遅くなってしまったのだ。キングスレイ総帥直々に「遅れても仕方ないから処理してくれ」と言われた内容だったので御咎めはないだろうが、しかしだからといって急がないで良い訳がない。
何よりも――友人の様子が心配だった。
なんだかんだ言ってジェラスはブラッドとは親友であり、彼が余計な心労を抱えることに対しても何とかしてあげたいと思っていた。
その気持ちにより何とか予約していた店に辿り着いた彼は、大きく深呼吸をして息を整える。
「ブラッド……死んでなければいいが……」
そんな物騒なセリフを口にして、店へと入っていく。
少々広めの個室、かつVIP相手でも問題ない店を選んでいるので、良質な店員がすぐさま予約していた部屋へと案内してくれた。
「……ふぅ」
ジェラスはもう一度息を整える。
年齢が下の者もいるとはいえ、相手は全て上官。
遅れてきたことの非礼を詫びる言葉を考えながらも、ブラッドをどのように助けるかまで思考した後、腹を括って扉を開く。
「失礼します。ジェラス、ただいま到着いたしました。遅れまして大変申し訳……」
ジェラスの言葉は途中で途切れた。
あまりにも目の前の光景が信じられなかったからだ。
総帥キングスレイ。
海軍元帥ブラッド。
空軍元帥ヨモツ。
陸軍元帥アリエッタ。
科学局局長セイレン。
そうそうたるメンバーがそこに存在していながらも――
「……まだ一時間しか経過していないのに……」
彼らは全員、泥酔していた。
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