訓練

外伝 訓練 01

    ◆




 その後、コンテニューは彼の望み通り、戸籍と幾何いくばくかの金銭、並びに生活拠点を手に入れた。

 と、同時に彼は正式に軍へと配属となった。

 所属はセイレンの所の開発部であるが、彼の存在は当然の如く隠された。こんな幼い少年が軍所属ということ自体が異例であることが主な理由であるが、ジャスティスという二足歩行型ロボットの存在を隠す意図もあった。

 そんな彼の住処と与えられた部屋は非常に質素であり、生活用具以外は何も置いていない。決して大きくはないもののスペースがかなり広く見られる。一方で子供が一人が住んでいるという異様な光景であったが、住んでいる場所は軍人の家族が多くいる地域であったため、周囲の住民は、親が滅多に帰ってこない地位の高い人物の子供なのだな、と気にも留めていなかった。まさか少年自体が軍人だとは誰も思っていなかっただろうが。

 そんな少年は普通の軍人と同じような境遇に置かれていたかといえば、そうではない。

 彼は開発部に所属しているのだが先に述べた通りにその存在を隠されており、ジャスティスの開発に携わる数人にしか存在を知られていなかった。

 彼が主に行う仕事は、開発者とジャスティスの捜査に関しての協議――なのだが。


「僕が戦功をあげるには普通の機体で十分です。これ以上答える必要がありますか?」


 コンテニューは協力を一切拒否した。

 改善とか改良とか、そういうのは不要だと考えているのだ。

 これには開発陣も困惑したのだが、セイレンの、


「んー、別にいいんじゃない? こんな子供に頼る方が恥ずかしいしー」


 という一言で、あっさりと彼に意見を聞くことは止めてしまった。

 では彼がやることとは何か。

 結局できたジャスティスによる試験が主だったモノだが、未だ一体以外完成していない状態ではどうすることも出来なかった。


 そんな中――



「ということでー、コンテニューちゃん、学校に行きなさい」

「嫌です。必要ありません」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る