印刷屋とユマニスト
一、印刷術
ルネッサンスには三大発明と呼ばれているものがある。火薬、
フランスには十五世紀後半にパリに輸入され、一四七〇年に初めてソルボンヌから本が刊行された。
リヨンにもすぐに導入され、パリで初刊が刷られた三年後の一四七三年に、リヨンでも初めて印刷物が発行された。もちろん他都市でも印刷されたが、二大都市のパリとリヨンでフランスの刊行物全体の八〇パーセントを占めたというから、リヨンでも相当な数の本が印刷された。
ただパリとリヨンでは出版物の内容に大きな違いがあった。パリでは学術書など知識人向けの書物が多く出版され、ソルボンヌの教師や学生が主な読者層だった。それに対してリヨンでは商業色が強く、
一五〇〇年代に入ると、逆転の現象が起こり、パリでは大衆向けの書物が、リヨンでは司法文書や医学書、人文主義の本が刊行されるようになったが、この二都市は互いに良きライバル関係を保ってフランスの出版物の発展に貢献した。
リヨンは商取引の町から印刷の町へと発展していくのである。そのリヨンの印刷界で大きな力を持っていたのがセバスチャン・グリフだった。ドイツのヴュルテンベルグの印刷屋の息子だった彼は、ドイツのみならずイタリアのベネチアでも印刷術を学び、一五二三年ごろリヨンにやってきたという。リヨンの印刷組合で働くためだった。
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