第四話番外編

その1 師と弟子となる

 時は遡り、ジニュアの塾でいろいろ学ぶ事にしたタケル達


「では授業を始めます」

 ジニュアは学問の授業を始めた。

 内容はわかりやすく子供でも理解しやすいものだった。


「こんなふうに教えてくれる人、大和国にもいないなあ」

「そうですか。でもわかりやすさってのは人それぞれですよ、たまたま私のがあなたに合ってただけです」

「そうなんですか?」

「そうじゃないかと思うだけです」

「ははは・・・・・・」




 魔法の授業

「いいですか、魔法は集中力ですよ」

「集中力集中力・・・・・・えーい!」

 ユリアの周りに光の壁がでてきた。

「やったー、ウチ防護呪文できたとー」

「ふむ、ユリアさんはかなり才能があるようですね。魔法力もまだまだ伸びそうです」

「そう?」

「そうですよ。あ、もしかして今まであまりきちんとした修行をされてなかったんじゃ?」

「うん。タケちゃんのお姉さんに少し教わったくらいけん」

「そうですか、ならきちんと基礎からお教えしましょうか。そうすればすでに覚えてるものももっと良くなりますよ」



武術の授業

「はあ! てりゃあ!」

 アキがジニュアにパンチやキックは繰り出してくるがジニュアはそれらを難なくかわしていた。

「・・・・・・くそ~、素早い」

「別に私が素早いわけではないですよ」

「え?」

「あなたの動きは無駄があって読みやすいんですよ、だから避けれるだけです」

「それ、前にも別のやつに言われた」

「そうですか。バンジョウ様もいずれはお教えするつもりだったんでしょうけどね」

「え、お師匠様の事知ってるの?」


「ええ、昔お会いしたことがありますよ。幼かったから覚えてないでしょうけど、アキさんともその時に会ってますよ」


「ええー!? なら早く言ってよー!」

「ふふ、すみませんね・・・・・・バンジョウ様の事は」

「ああ、カタキはいつか」

「・・・・・・ところでこの技知ってますか? 昔僭越ながらバンジョウ様にもお教えしたんですが」


「先生ありがとう、こんな技お師匠様に習ってなかった」

「いえいえ、本来ならバンジョウ様が。って先生ですか」

「ああ、あたいにとって先生は先生だ」

「それはウチも同じやけん」

「そうだよな」

 そばで見ていたタケルとユリアも来て

「先生、ありがとうございました」



その2 ガルヴァス

 タケル達に敗れたガルヴァスはこの世界を見て回る旅に出ていた。

「む、あそこに町があるな、よし、見物するとしよう」

 ガルヴァスは町の近くに降り立つと

「この姿では要らぬ騒動となるだろうな・・・・・・テチスイクチスラトンナカナノンラナシイクチミチニ」

 そう言って変身呪文を唱えた、すると

「ふむ、こんなものか」

 結構ダンディな髭の紳士、どこかで執事でもしてそうな人の姿となった。


「ほう、なかなか賑やかではないか」

 そう言って町を眺めていると

「あはっ、おじちゃん、これ食べましゅか?」

 おさげの少女が話しかけてきた。

「うむ、これは何だね?」

「おじちゃんまんじゅう知らないんでしゅか?」

「食べ物だとはわかるが・・・・・・ひとついただこう」

 モグモグ

「うむ、美味い」

「よかったでしゅ」

「あ、そうだ代金を」

「タダでしゅよ、でももっと欲しいならうちのお店で買ってくださいな」

「わかった。もっとたくさん食べたいからお店に案内してくれ」

「は~い」


「あの男、一瞬魔の気を感じたが?」

 少し離れたところで魔法兵団長バロンが様子を見ていた。

「気のせいだな。あの子も怯えてる様子はないし」


 そしてまんじゅう屋というか宿屋に案内されたガルヴァスはまんじゅうや温泉、そして宿屋の家族が気に入ったらしく何泊もしていった。


「ふむ、旅がこんなにいいものだとは。そして」

 宿屋の家族を思い出し

「家族というのもなかなかいいものだな」

 そう言いながらまた旅に出た。

「今度は何が見れるだろうか」



その3 裏ユリア

 ジニュアの家に泊まってなんとか別の部屋で寝る事になったタケル。


「フフフ・・・・・・タケルさん、私が添い寝してあげるわ」

 そう思いながら部屋の中で待ち伏せしている裏ユリア。

 しかしどうやってそこに忍び込んだ?


 コツコツコツコツ

 ガチャ

「来たわ、タケルさん私が」

「おや、あなた誰ですか?」

「げ」

 それはジニュアだった。

「泥棒ですか? いけませんねえ」

「うるさい、はあああー」

「む?」

「なんとこしゅうけ」

「はあっ!」

 ジニュアは咄嗟に剣の鞘で裏ユリアを突き飛ばすと


「きゃあああー!」

 彼女は壁を突き破って遠くへ吹っ飛んでった。


「あ、しまった、やり過ぎました・・・・・・しかしそのくらい恐ろしい殺気でした」



その4 変態野郎と・・・・・・

「オ、オラを待ってる人・・・・・・どこにいるんだろ?」

 今日もそう言いながら旅する変態野郎。


「あれ~あいつ何か面白そう~、遊ぼうっと」


 変態野郎の前に降り立った謎の少年

「ねえ、おじさん、僕と遊ばない?」

 それ違う意味にも聞こえまっせ・・・・・・現に

「うお、短パン生足美少年・・・・・・お、オラ、ハアハア」

 変態野郎はヨダレを垂らして謎の少年を見つめていた。

 その目からはすでに理性が・・・・・・いや、元から飛んでるか。


「げ、こいつ思ったよりヤバそう」

「ハアハア・・・・・・ジュル」

「ま、まあ、こいつも僕の力で」

「も、もうガマンできねえーー!」

 変態野郎は謎の少年に襲いかかった!

「ぎゃあああああー! 来るな寄るなーーー! 僕は「オラはド<ビーーーーーー>って名前だ」だぞーー! って途切れてるーーーーー!?」

「た、短パン脱がせて舐め」

「させるかーーーー! どっか別の次元に吹っ飛べーーーー!」

 少年が叫びながら杖を振ると 


「あ~れ~!?」

 変態野郎は消えた。


「ハアハア・・・・・・振り切れキャラってあんなに怖いんだ・・・・・・嫌なこと思い出したから余計に怖かった・・・・・・オエ」


 果たして変態野郎はどこへ飛ばされたのだろうか?

 それは別の次元の物語で・・・・・・



その5 ジニュアとユカ

 タケルやユカ達を見送った後

「はあ、やはり寂しいものですね。あの子は弟子というか自分の子供みたいに思えてきてましたし」

 ジニュアはユカの部屋に入った。

「しばらく帰ってこないのだし、毛布でも干しておきますか・・・・・・ん?」

 ふと机を見ると本が一冊置かれていた。

「おや? 本は全部よじげんぽけ、いや魔法の袋に入れて持って行ったと思いましたが・・・・・・忘れていったんでしょうか」

 そう思いながら本を手に取るとそれは

(一発やらないか)

 ・・・・・・いわゆるBL本だった。

「見なかった事にしましょう」


「・・・・・・あ」

「どうしたんだユカ?」

「・・・・・・読みかけの本を家に忘れてきた」

「へー、どんな本?」

「・・・・・・秘密」



その6 シオリ

 ここは西の国

 シオリは国から逃げることができない年寄りや病人を介護して周り、重傷者には回復魔法も使っていた。


「ふう、今日も疲れたわ」

 一日の仕事が終わり住んでいる部屋に帰ったシオリ。

「この国から何か黒いものが出てくるのが見えたんだけど・・・・・・魔王じゃないわね、もっと他の何か・・・・・・でももしそれがわかったとしても、私の力でなんとかできるかしら?」

 シオリは考え込んでいた。

「ガイもタケルも心配してるでしょうね・・・・・・あ、こっちに向かって来てたりして」

 正解である。

「いえ、もしかすると私の事なんか忘れて、タケルとガイが愛し合ってるかも!」

 なんでだーーーー!


「って、フフフ・・・・・・次はそういうBL本書きましょ、あ、この前の(一発やらないか)はかなり売れたからまだ蓄えあるけど、お金はいくらあっても困らないし~」

 どうやらBL本を売って生活費を稼いでたらしい・・・・・・他に手があるだろ。


「神力をお金儲けに使ったら力が失われるから、仕方ないわ・・・・・・フフフフフー」



「・・・・・・何だこの寒気は」

 ガイは身震いしていた。


「・・・・・・うわああああ!」

「タ、タケちゃんどったと!?」

「・・・・・・お、思い出せないけど恐ろしい夢を見た気が」


「・・・・・・オートリ先生の次回作まだかな」

 ユカはBL作家オートリ(シオリ)の大ファンだった。




第四話番外編 終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る