俺のスマホが大変なことになってます⁈
karon
第一章 織田信長
第1話 フリーター 糸里新太
只今フリーター。派遣の仕事でなんとか食いつないでいる。
今日はスマホの部品を組み立てる工場に派遣され、目の前に並んだ箱の中の部品を、薄っぺらいスマホの中に入れていく作業をやっている…。だが、なかなか上手くおさまらねぇ。こんなん全部はいるのかよ?入ったはいいが蓋がしまらねぇぞ、ちくしょーーっ!
「まあ、初日だから仕方ないよねぇ。慣れば早く出来るようになるから…。まあ明日も頑張って…。」と工場長に困り果てたような苦笑いをされた。
はぁ、一応電子科出たんだよ。ただちゃんと授業受けなかっただけ…。だって俺バカだから…。
帰って寝よ。そして今日の苦労を忘れよう。
帰りにコンビニで、から揚げ弁当を買ってTVを見ながら食べた。
つまんねー番組。ごろりと横になり自分のスマホを手にとる。
思いたってムクッと起き上がり、メガネのネジ留めなんかに使う小さいドライバーを、工具入れの中から探し出した。
小さなドライバーを手に、目の前のスマホを睨みつけゴクリと唾を飲む。
「いざ覚悟、俺のスマホ!」
今日、工場でやった事をやるだけだ。
機種は違っても中身は同じようなものだろう?
案ずるな俺のスマホ。俺がちゃんと元に戻してやるから、おとなしく俺に分解させやがれ!
…。
…。
…。
よっしゃあ、出来た。ちゃんと蓋も閉まったぞ。なんだかんだ言っても電子科卒なんだぜ。ギリ卒だけど。
スマホの電源を入れてみた。
おぉぉぉっーーー。ちゃんと電源入ったぞ。
スゲーやるじゃん俺。
よっしゃあ、工場長さん明日は一皮向けた俺様にまかせろ!
っ、拳を握り勝利のポーズを決めた瞬間だった。
目の前が真っ暗になり、ぐるぐると目がまわる。違う体ごと回ってる…。
気を失いそうなほど回転しながら闇に堕ちていく。
クッソオォォォッーーー。なんなんだよ。
これは女子が真夏の校庭で、よくぶっ倒れる貧血とかってやつか?
あれはクソ暑くて体育の授業なんかタルくてやってらんねぇ、保健室でお昼寝したいとかって言う演技じゃなかったのか?
こんな気持ち悪い症状を、度々起こしては立ち直る女子恐るべし!
ドサッ!ころころころっと転がって、やっと貧血がおさまった…。
初めての貧血はトラウマになりそうなぐらいの、恐怖体験だった。
コンビニ弁当やカップ麺ばかりの食事は、栄養が偏ってとんでもないことになるのを実感。今後はちゃんと弁当屋さんで弁当買うか、食堂で御飯を食べよう。
もう大丈夫そうかな?
恐る恐るゆっくりとうつ伏せになってから、手をついて上半身を持ち上げる。
まだ少し怠いな。腕の力を抜きまたベタンと畳にうつ伏せに倒れる。
い草の匂いがして、畳がひんやり気持ちいい。
あれ?俺ん
もう一度ゆっくり上半身を起こし、薄っすらと目を開けてみる…。
…っ⁉︎
たっ、タ・タ・ミ?
目玉を左右に動かして、上下にも…。
なんかヤバい事になっている気がした。
俺ん家は6畳一間のワンルーム。部屋はフローリング貼り。
そこにベッドとTV台代わりのチェストと小さいテーブルとハンガーラック。たいして物は置いていない。それは部屋が狭いからだ。
なのに今いる場所は視界を遮るものがない。つまり旅館のだだっ広い宴会でもするような場所だ。
ってここは⁉︎
どこなんだよおぉぉぉっーーー。
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