第一部 第二章出会い 一話 腰抜けと腑抜け

 ンガイの森の百メートル程上空を、カダス山方面に向かい、移動する混沌の中心、精霊機甲アザトースが飛翔して行く。もちろん操縦しているのは四代目ネオンナイト、キョウこと相沢恭平一尉である。


 アザトースの後を追って、一機の黒い精霊機甲が飛行している。それはキョウが出発したミスカトニックから、ずっと追いかけて来ていた。


「やれやれ、飽きないというか懲りないというか……」


 コクピットのモニターに、ずっと表示されるその存在に、半ば呆れ気味にキョウは独り愚痴る。


「君のせいだよ、マグダラ。」


 例の如く、開いたハッチと胸部装甲の開口部に腰掛けるマグダラに話しかけると、彼女は悪戯っぽく舌を出し、自分の拳で自分の頭をコツンと叩いて見せた。


 その姿を見てキョウは、あの『勘違い裸エプロン事件』の翌日から、マグダラの印象が大きく変わった事を、改めて感じた。


 召喚の時に感じた神秘性を残しつつも、紫色の瞳から感じた深い憂いの色は普段は消え、年齢相応の明るい少女になっている。

 僕の寝ている間に、どんな心境の変化があったのだろう? 何にせよ明るくなった事は良い事だ。


 キョウがルルイエ世界に召喚され、はや半年が過ぎた。


 ディオの親爺の力で、召喚された日付で賞金稼ぎのライセンスを得たキョウは、服装も耐Gスーツから、コルナを擬して組み合わされた五枚の笹の葉を、丸で囲んだ赤い紋を染めた黒いノースリーブの狩衣に、黒いエルダーサインを染めた赤い細目の袴。首にはアザトースのコクピット内の黒いクリスタルと同じ材質、輝くトラペゾヘドロン製の勾玉の首飾り、帯の左側に機械魔導師と精霊騎士が携帯する光剣スパッドをぶら下げ、檜扇を差す。

 という、パンクで婆娑羅バサラな陰陽師といった感じのちに変えている。


 パートナーのマグダラも、キョウの出で立ちに合わせ、ノースリーブの黒い小袖と千早、緋色の袴に黒足袋と雪駄。後ろ髪を檀紙と水引で束ね、さながら黒い巫女さんといった服装に改めた。


 名前を売り、存在感を示す為、個性的な服装を好む賞金稼ぎの中でも、特に奇抜なスタイルのこのコンビは、この半年でミスカトニックでは知らぬ者はいないと言える程、超有名な存在となる。


 その理由は、奇抜な服装だけでは無かった……。


 キョウは召喚されてから三日目、ハスタァと夕食を共にした翌日から今に至るまで、千客万来の状態が続いている。


 客層は主に二つ。


 まず一つは、ネオンナイトを倒し、富と栄誉を得ようと目論む賞金稼ぎの一団


 もう一つは、俺達と一緒にいい目を見ようぜ、という悪党の一団。こちらは更に二つに分類され、「先生、その腕を見込んで、是非」という用心棒スカウト系と、「アニキ、是非オイラを!」という押し掛け子分系の二つに類別された。


 キョウの日常は、この二つの集団の対応に忙殺されていた。


 まず、賞金稼ぎ達への対応は、当初は苛烈を極めた。

 正規の手続きを経て挑戦した者の中から、白騎士教団ゆかりの者で、賞金稼ぎとして名声の高い者を優先的に選んで一騎討ちを受け、そして完膚なきまでに叩き潰した。


 彼等は白騎士教団の密命を受けた刺客であり、搭乗する精霊機甲も『いにしえのもの』が多く、強力な相手であるにもかかわらず、瞬殺で勝負を決めた。

 それも、搭乗者たる挑戦者は全くの無傷の状態で、精霊機甲のみを完全破壊してである。

 その上賠償金をしっかり請求した。


 力の違いをまざまざと見せつけられた賞金稼ぎの多くは、恐れをなして挑戦を取り下げたが、やはり何にでも例外はある。

 キョウの一方的な戦いを見て、臆する者が続出する中、逆に闘志をたぎらせ「次は俺様の番だ! 」と、不敵にアピールする者がいた。


 男の名はノーデンス、所有する精霊機甲はナイトゴーント。


 彼はA級二種一類丙の賞金首を何人も退治した、凄腕の賞金稼ぎとして有名な存在であった。

 また、彼には慈善家としても名の知れた存在で、獲得した賞金の大部分は、孤児院等の慈善施設に寄付をしている。

 その為、多くの子供達の憧れの存在であり


「大きくなったら、ノーデンスみたいな賞金稼ぎになるんだ! 」


 という子供が後を絶たない。


 そんなノーデンスはこれまで、特定の個人や団体に組する事は、自分の信念に反するという理由で、B級賞金首に挑戦する事は控えていたが、世界を敵に回して冒涜し、闇と混沌をもたらすネオンナイトが相手なら話は違った。


「悪は絶対に栄えない! という事実を子供達に教える。」


 と公言し、早々と一騎討ちを申し込んで来た。


 しかし、キョウはこの挑戦を受けなかった。

 何かと理由をつけてはのらりくらりとかわし、対戦を避け続けた。


 ノーデンスは、後から挑戦した自分より弱い相手を指名しては叩き潰し、賠償金をむしりとるキョウの姿勢に苛立ちを覚えた。

 業を煮やした彼は、キョウが本拠地を構えるミスカトニックに居座り、直接本人に対戦を訴える、という手段に出る。


 夜討ち朝駆けでキョウに対戦を迫るノーデンスの姿は、あっという間にミスカトニックの名物となった。


 それは同時にキョウの駆使する闇の魔法(本来の意味での)にあしらわれ、というかおちょくられ、望み叶う事無く醜態を晒し、歯噛みして悔しがるノーデンスの姿も、彼にとって不本意ながらミスカトニックの名物になるという事でもあった。


 ある時、大通りの向こう側にキョウとマグダラを発見したノーデンスが

「ネオンナイト~! 俺の挑戦を受けろ~! 」

 と大声で叫びながら、猛ダッシュで追いかけるも、キョウの魔法『アキレス対亀』にまんまと引っ掛かり、ただ歩いているだけのキョウとマグダラに対し、全速力で走っているノーデンスは全く追い付く事が出来ず、遂には往来の真ん中で体力を使い果たしてへたり込んでしまったり。


 また、ある時は、やっとの思いでキョウとマグダラを袋小路に追い詰めたノーデンスが

「年貢の納め時だ! ネオンナイト。」

 と勝ち誇ってその袋小路に入った瞬間、今度は『〇〇、後ろ! 』という魔法にしてやられ二人を見失い、後ろにキョウとマグダラがいるにもかかわらず、全くそれに気が付かず、その日は一日キョウとマグダラを後ろに、キョウとマグダラを探し続ける羽目に陥ったりと、散々な結果に終わっていた。


 キョウのノーデンスをあしらう手際に感心したマグダラがそれについて聞くと、キョウはあれには元ネタがあって、それは子供の頃に好きで見ていた『猫と鼠』のアニメと、『五人組』のコント番組なんだよと、茶飲み話として話して聞かせた。

 それを聞いたマグダラは、目を輝かせ


「輝ける夢幻郷ニホンの子供達は、みんな『猫と鼠』の紙芝居と、『五人組』の喜劇が大好きだって言うのは本当なんですねマスター、金枝篇に書いてあった通りです。」


 と、実に楽しげに話した。


 金枝篇という言葉に反応したキョウは、口に含んでいたお茶を盛大に吹き出し、激しくむせて咳き込んだ。


「あらあら大変、すぐに片付けますね、マスター。」


 嬉々として魔法を駆使し、自分の世話を焼くマグダラの姿に、キョウはある種の嫌な予感を感じた。


 その予感は程なくして的中する。


  翌日ギルドの敷地内のオープンカフェで、午後のティータイムを楽しむキョウとマグダラの座るテーブル席に、ノーデンスが乗り込んで来た。


 今日こそは、必ず挑戦を受けさせる!


 固い決意で臨んだノーデンスには秘策があった、いつもは猪突猛進押しの一手で対戦を迫るこの男は、この日に限っては礼服に身を包み、にこやかな笑顔で一礼をした。


 不思議な生き物を目にした様に自分を見る二人に、ノーデンスは不躾に対戦を迫った過去の非礼を詫びた。そして、ささやかながら、お詫びの心尽くしの進物と共に、改めて一騎討ちの申し込みをする、と深々と頭を下げて見せたのだった。


  予期せぬノーデンスの申し出に、思わず顔を見合わせるキョウとマグダラを尻目に、ノーデンスは控えている従者に「おい」と、声をかけた。


 従者はノーデンスに応じて、豪華な化粧箱を運び込み、キョウの席のテーブルに載せた。


 ノーデンスの余りの仰々しさに、カフェ内の他のテーブルの客はおろか、外の通行人までが「一体何事か?」と足を止めて注目し、見る間に大勢の野次馬が彼等を取り囲んだ。その様子に、まずは「作戦の第一段階成功」とノーデンスは内心ほくそ笑む、しかしまだまだ全てが成功した訳ではない、慎重に事を進めねばと気持ちを入れ替え、あくまでも慇懃な態度を崩さす


「さあ、どうぞお受け取り下さい。」


 と、うやうやしく頭を下げながら、進物の化粧箱をキョウの前に滑らせた。


 そのノーデンスの行動に、少し困惑気味のキョウとは対照的に、少女らしい素直な好奇心でマグダラが反応した。

 しかしキョウの手前、素直にそれを表すのは憚られ、またノーデンスに対しても癪に障り、わざと悪態をついた。


「あら、前口上と箱だけは立派ね、でも中身はそれに見合った物なのかしら? 」


 このマグダラの発言に、「かかった! 」と、ノーデンスはまたほくそ笑む。が、すぐにその表情を消し、にこやかな笑顔に戻して頭を上げる。


「どうぞここで開けて見て下さい、きっとお気に召すと思います。」


 ノーデンスの言葉にマグダラは、キョウに箱を開けるように目で懇願した。


 マグダラのキラキラした目の要求に、キョウは苦笑いを浮かべて箱に手をかけた。


「そうかい、じゃあ開けてみるか。」


 箱を開けると、中には一目で高級品と分かる、綺麗な女性用の服が入っていた。


「へぇ、綺麗な服だね。マグダラに似合いそうだ。」


 キョウは服を箱から取り出し、マグダラに合わせてみる。


「あら、ステキ。これ、結婚式の花嫁衣装じゃない。ふぅ~ん、ノーデンス、あなた私の魅力にメロメロだったのね、全然気がつかなかったわ。でもお生憎様、私はあなたの気持ちには応えられないわ、だって私はマスターの物ですもの、それに……って、ノーデンス!これブカブカじゃない、人に求愛したいなら、相手のサイズぐらいキチンと調べなさい!」

「サイズなら、ちゃんと合っていますよ、ネオンナイト。」


 ノーデンスはそう言いながら、一騎討ちの挑戦状を、箱の隣に置いた。


 進物の花嫁衣装は、キョウの身体に合わせて、寸分の狂いも無く採寸され、縫製されていた。


 男なら俺の挑戦を受けろ。


 不敵な笑みを浮かべるノーデンスの目はそう語っていた。


 なるほど、僕はさしずめ五丈原の司馬懿仲達って訳だ、考えたね、ノーデンス。さて、どうしてくれよう……


 この場を切り抜ける為の思案を始めたキョウの隣で、マグダラが両手で頭を抱え、これ以上無いという嫌悪感を丸出しで、非難の悲鳴を上げた。


「きぃ~もぉ~ちぃ~わぁ~るぅ~い! 」


 マグダラの悲鳴にキョウは思案を遮られ、思わずギョッとして彼女に目を向けた。


 彼女はそんな事はお構い無しに、まるで汚い物を見る様な視線でノーデンスを見て、非難の言葉を浴びせかけた。


「自分は礼服に身を包み、マスターに花嫁衣装を贈るなんて……、その行為の意味する所は唯一つ! ノーデンス! あんた一騎討ちの挑戦にかこつけて、私のマスターに『びいえる』の申し込みに来たのね! なんていやらしい男なのかしら! 気持ち悪い! 」


 マグダラの言う『びいえる』、多分BLの事であろう言葉を耳にして、キョウは目を剥いてマグダラを見た。


 一方のノーデンスは、初めて聞く言葉ではあるが、全身で嫌悪感を示すマグダラに、恐らくは確実に悪い意味での言葉と察し、呻くように言った。


「『びいえる』……だと……」

「そう、『びいえる』よ! マスターの生まれ故郷、輝ける夢幻郷ニホンには、確かにそういう愛の概念があるわ! それは『イケメン』と呼ばれる超絶美少年ラーメン職人にのみ許される愛の形、彼等が奏でる禁じられた愛のロンド! それが『びいえる』! 師弟愛同志愛が高じ、最後の一線を越えた禁断の愛!それが『びいえる』! 穢れを知らぬ『イケ麺』達の織り成すあんな事やそんな事! そして口には出来ないこんな事! しかし、それは神の摂理に真っ向逆らう叛逆の愛の形、それが『びいえる』! 崇高なる堕天、至高なる背徳、耐えられぬ程に狂おしい苦痛を伴いながら、それでも求めて止まない甘美なる至高の快楽! それが『ぶぅういぃぃぃぃぃぃぃぅえるっ』! 」


 テーブルの上に上がり、時には己れを抱き締めながら、また両手を広げ、クルクル回りながらと、身振り手振りで力説するマグダラ。


「違う……、それは全然違うぞ、マグダラ。」


 と、首を左右に振りながら見上げるキョウを余所に、マグダラの暴走演説は続く。


「『びいえる』それは『イケ麺』達にのみに許された、倫理と道徳を超越した耽美なる愛の世界、『びいえる』それは神が示したもうた道を外れ、穢れ無き背徳という、一線を越える覚悟を決めた者達が、密かに歩む甘美なる茨の道。コラッ! ノーデンス! ラーメンどころか、アーメンもソーメンも打てないアンタが! 隠れてこそこそドーピングを打ってるのがお似合いの、成長抑制のタガが外れた様な気持ち悪いほど醜悪な筋肉をこねくり回して肉体構成したアンタなんかが、一歩でも足を踏み入れる事など許されない、それどころか覗き見る事も、近寄る事すら許されない崇高な愛の世界なのよ! よくもまぁそんな顔で! 身体で! 事もあろうに私のマスターに『びいえる』なんか申し込めたわね! 恥を知りなさい! 恥を! 」


 マグダラは腰に手を当てて、グイッとノーデンスに向かって身を乗り出した。


 異様な迫力に押され、たじろぐノーデンスに、今度は身を反らせて、片手の甲を口に当て、追い討ちの嘲笑を浴びせかけた。


「おーっほっほっほ、どうやら自分がどれ程身の程知らずの行いをしてるのか、その筋肉で出来た脳細胞にも理解出来た様ね。それに免じて、もう一ついい事を教えてあげるわ。あんたが『まぁ、さかりがついた金太郎』の様にみっともなく発情して、私の素敵なマスターに『びいえる』を申し込んだ気持ちは分からないでもないわ。でも御生憎様、実は『びいえる』とは、『イケ麺』達に群がる熱狂的な女性ファン、その中でも特に過激な、私も具になって『イケ麺』の作るラーメンに浮かびたい!という願望を持つ集団、通称『浮女子ふじょし』の『イケ麺』を他の女に取られたくない! という歪んだ感情が生み出した脳内妄想であって、実際には有り得ない事なのよ! そんな事を現実に行おうものなら、このルルイエ世界同様に、社会から白眼視される事は必定。いいえ、それだけでは済まされないわ! マスターの生まれ故郷、輝ける夢幻郷ニホンでは、更に厳しい掟が有って、それを行った者には薔薇の刻印が捺され、生涯日の目を見る事すら許されなくなるのよ! そして、世間一般からはこう呼ばれて蔑まれる事になるのよ! 心してお聞き! 」


 マグダラは、ノーデンスを蔑む様な憐れむ様な目でテーブルの上から見下ろして続く言葉を発した。


「この変熊! 」


 大上段からズビシィと、ノーデンスに指差し決めたマグダラに、キョウは堪らずツッコミを入れた。


「マグダラ、それ変態。」


 しかし、キョウのツッコミも虚しく、当事者二人の耳には入らなかった。


「へん……くま……」


 呻くように言葉を絞り出したノーデンスに、勝ち誇るマグダラは更なる嘲笑を浴びせる。


「おーっほっほっほ。ようやく自分がどれほど恥ずかしく、愚かで穢らわしい存在なのか気がついた様ね。ノーデンス、己れの行為の気色悪さに後悔して、その情けなさにうち震えるが良いわ! 」


 そして畳み掛ける。


「変熊! 」


 キョウはまたツッコミを入れる。


「変態だって。」

「変熊! 」

「変態だって。」

「変熊! 」

「変態だって。」

「変熊! 」

「変態だって。」

「変熊ぁ~っ! 」

「ダメだこりゃ。」


 マグダラとキョウの、漫才の様な「変熊」「変態」のボケとツッコミが繰り返される度、ノーデンスの頭に血が登って行く。


 しかし、これもネオンナイトに一騎討ちを承諾させる為と怒りを抑え、まず話を元に戻す為には、この娘を黙らせる必要があると判断したノーデンスは、頭から湯気が立ち上る赤ら顔に、どうにか笑顔を貼り付けてマグダラに話しかける。


「お嬢さん、『びいえる』とか『変熊』とか、私にはさっぱり分からないが、なんとなく悪い言葉だという事は理解出来た。女の子がそんな悪い言葉を使ってはいけないよ。ああ、君が悪いんじゃない事は分かっている、きっと悪い友達の影響なんだね。お嬢さんと一緒にいるその男は、ネオンナイトという大悪党なんだ、そんな奴と一緒にいてはいけない、私が君に相応しい友達を紹介してあげるから、こっちに来なさい。」


 ノーデンスは強引に、マグダラの腕を掴んで引こうとするが、マグダラはテーブルの上で、ひらりひらりと器用にその手のをかわしていく。


「やーよ、余計なお世話。ベェ~だ!」

「このぉ、人が下手に出ていれば、いい気になりおって! 」


 遂にキレたノーデンスは、テーブル上のマグダラに突進して捕まえようとしたが、虚しくマグダラの身体をすり抜け、店のテーブルや椅子を薙ぎ倒しなが、どんがらがっしゃんと大音声を上げて倒れ込む。


 マグダラはテーブル上からふわりとキョウの胸元に移動し、お姫様抱っこの体勢を取る。

 キョウもそれに付き合って、お姫様抱っこするように両手を添えた。


「御生憎様、私に触れられるのはマスターだけなのよ、い~っ。」

「スカスカだけどね。」


 キョウは両手を上下に動かして、マグダラに実体が無いことを示した。


「いやん、恥ずかしい。」


 赤く染まった頬に両手を添え、俯くマグダラにキョウは先程からの懸念を尋ねた。


「所でマグダラ、さっきの演説の出典だけど……?」


 キョウの問いに、マグダラは目をキラキラさせてキッパリと答えた。


「もちろん金枝篇ですわ、マスター。」

「やっぱり……」


 やれやれと顔をしかめるキョウに、マグダラが不思議そうに尋ねる。


「何か間違いが有りまして? 」

「同性愛はマイノリティだという事を除いて全部、特に気になったのは二つ、『まぁ、さかりがついた金太郎』じゃなくて『まさかりかついだ金太郎』。それからノーデンスの奴は、確かに見た目は変な熊っぽいけど……、『変熊』ではなく、『変態』が正しい。」

「まぁ、そうなんですの? 流石は輝ける夢幻境ニホン、想像以上に奥深いですわ、マスター。」


 蒙を啓かれたマグダラは、ため息混じりではあるが丁寧に説明をしてくれたキョウに、キラキラした感動の眼差しを向ける。


「君達は文字という伝達方法を持たないからね、どこかで取り違えたんだろう。」


 ルルイエ世界には、キョウが言った通り『文字』という物が存在しない。

 意思の伝達や記録の方法は、記録者が媒体となる物、羊皮紙や石板、陶片やランプ等に『念』を投射して情報を刻み込む、そうして刻まれた情報を、読者が解読魔法で読み取るのだ。

 内容によってはプロテクトの魔法をかけて、読者を限定する事も可能である。


「まあっ、そうとも知らずに私ったら……テヘッ。」


 キョウの説明を聞いたマグダラは、自分の頭をコツンと叩き、悪戯っぽく舌を出した。

 そんなマグダラに


「こ~いつぅ~。」


 と言って、額を人差し指で突っつくキョウ。


 そんな昭和のラブコメ全開の二人の背後に、もはや頂点に達した怒りを隠そうともせず、幽鬼の様な表情で、ゆらりとノーデンスは立ち上がった。


「きぃ~さぁ~まぁ~らぁ~。」


 キョウはその声に振り返り、声の主の顔を見た。

「あれは!? 」


 ノーデンスの顔に、小さな羽虫が停まっているのを確認したキョウは、自身にふりかかる以外の危険を察知して、気持ちをラブコメモードから真剣モードに切り替える。


「危ない、ノーデンス! 」


 そう叫んでキョウは、ノーデンスの懐に素早く飛び込む。

 この時、実体が無いにもかかわらず、マグダラを床に降ろす動作を入れるのがキョウという男である。


 彼はノーデンスの懐に飛び込むと、彼自慢の美髯を掴んで引き倒し、電光石火の早業でマウントポジションを極めた、そして。


「危ない、ノーデンス! 」


 と言って、渾身の力を込めた拳を、彼の顔面に叩き込んだ。


「動くな、ノーデンス! 」


 更に強力な一撃を、ノーデンスの顔面に叩き込む。


 キョウは「危ない、ノーデンス! 」「動くな、ノーデンス! 」と繰り返し叫びながら、ノーデンスの顔面のいたる所に拳を叩き込み続けた。

 その間、両腕を足でしっかりロックされ、完璧なマウントポジションを極められたノーデンスは、全く抵抗が出来ずに、なすがままにボコられ続けた。あっという間に、顔が腫れ上がり、変形するノーデンス。


 やがて殴り疲れたキョウは、マウントポジションからノーデンスを解放し、大きく肩で息をしながら座り込んだ。そして荒れる息に喘ぎながら、憤るノーデンスの眼前に右の手の平を開いて見せた。

 反射的にノーデンスは、キョウの右手の平を除き込む、そこにマグダラもふわふわやって来て除き込んだ。


「ミ=ゴだ。」


 キョウの言葉に、その場は戦慄した。


 ミ=ゴとは、ある昆虫に似た小さな羽虫である。産卵期となると、雄も雌も食欲旺盛となり、餌を求めて行動が活発化する。

まぁ、ここまでは普通の生物と何ら変わりは無いのだが、問題はミ=ゴの餌である。


ミ=ゴの特徴その一、餌は他の動物の『脳』である。


 鼻や耳から進入し、脳の近くまで行くと、鋭いドリルの様な口で頭蓋骨に小さな穴を開けて、餌である脳を吸うのである。

 この時、吸出し易くするために注入する唾液の成分に、幻覚、幻聴を伴う猛烈な痛みを引き起こす酵素が含まれており、乳幼児や小動物が被害に遭うと、痛みに耐えかねて命を落とす事もある危険な生物である。

 そのため、発見した場合は速やかにギルドに届けなければならない、届けがあった場合はその一帯を封鎖して、大勢の術者を動員して、大規模な駆除の魔術を執り行う。

 届けた者には、薄謝というには余りにも高額な謝礼がギルドから支払われる。


「危なかった~、間一髪だったぜ。」

「すまん、感謝する。」


 安堵して脱力するキョウに、こればかりはノーデンスも腫れ上がった顔をさすりつつ、怒りを収めて素直に感謝の意を表した。


 キョウとノーデンスが安堵している横で、マグダラだけが目を凝らし、キョウの手の平の上の、潰れた羽虫を観察している。そして、何かに気がついた彼女は、素っ頓狂な声をあげた。


「あーっ!」


 キョウとノーデンスはその声に反応してマグダラを見た。

 彼女はキョウに向き直り、こう言った。


「マスター、これはミ=ゴでは有りません。」


 マグダラの言葉に身を乗り出す二人。


ミ=ゴの特徴その二、蚊によく似ている事である。


「まさか……」

「はい、マスター、ただの蚊です。」

「マジかよ、ノーデンスの顔にとまって、鼻の穴に一直線だったから、てっきり……」

「んもう、マスターの慌てんぼさん。」

「あははははははは。」

「うふふふふふふふ。」

「悪かったな、ノーデンス。じゃあ俺達はこれで。」


 二人は別れの挨拶をしようと振り返ると、そこにはノーデンスの形をした、最上級の怒りの集合体が存在した。


「むぅぁあ~とぅうぇえ~」


 悪鬼も泣いて逃げ出す様な形相で、ノーデンスは二人を見下ろす。


「だよねぇ~。」

「ですわねぇ~。」


 苦笑いして顔を見合わせる二人を影が覆った。

 勿論影の主はノーデンスである、彼の目には一片の理性も残っていなかった。


「待て、ノーデンス、話せば分かる!」

「問答無用!」


 今すぐ此処で討ち果たさん、ノーデンスは怒りに任せてキョウとマグダラに突進して襲い掛かった。

 狭い店内を、華麗なステップで、キョウはひらりひらりと逃げ回る。

 止せばいいのにマグダラは、逃げ回るキョウの後ろに背中合わせで浮かびながら


「や~い、ウスノロ、ベェ~だ。」


 と、ノーデンスを挑発している。


 今まで何度もあしらい続け、煙に巻いてきたキョウだったが、今回はノーデンスの怒りと執念が勝ったのか、遂に店内の隅に追い詰められてしまった。


「ネオンナイト、一騎討ちを受けるか、それとも此処で叩きのめされる、好きな方を選べ!」


 額に青筋を浮かべ、詰め寄るノーデンスに対し、キョウはあくまでも余裕の態度を崩さない。


「だってさ、どうする? マグダラ。」

「まぁ、野蛮ですわね、マスター。」

「おのれ、貴様ら! 」


 この期に及んで、どこまでも人を喰った不真面目な態度で対応する二人に、堪忍袋の緒が切れ、掴み掛かろうとするノーデンス。

 その鼻先に、キョウは懐から取り出した藁人形を突き付けた。


「これはお前だ、ノーデンス。」

「何を馬鹿な! 」


 キョウは先程ノーデンスを引き倒した時に抜いた彼の髯を、素早く藁人形の中に仕込んだ。

 そして、手の平に立たせ、指先で足払いをして転ばせた。


「どわわわわわっ! 」


 ノーデンスは、いきなり見えない力に足を払われ、藁人形と同じように転倒した。

 次にキョウは、藁人形を手近なテーブルの上に寝かせて滑らた。


「うおおおおおおっ! 」


 またしてもノーデンスは見えない力に弄ばれ、猛烈な勢いで床の上を滑って行く。


 最後にキョウは、藁人形をノーデンスがギリギリ手の届かない場所にある、椅子の脚の下敷きにした。


「ぐえええええええ! 」


 ノーデンスは見えない力に押さえつけられ、身体の自由を失い、手足をばたつかせながらキョウに怒鳴った。


「おい! ネオンナイト! 貴様一体何をした! 」


 それには答えず、キョウはノーデンスに言った。


「すまないな、ノーデンス。まだ君とは戦ってやれないんだ。」

「おのれ、卑怯者、腰抜け! 」

「いいよ、腰抜けで。じゃあ怖いから逃げる、またな、ノーデンス。」

「ネオンナイト! 俺と戦え! 」


 立ち去るキョウの背中を、ノーデンスは歯噛みをしながら見送った。


  キョウが立ち去った後、しばらくしてハスタァが店を訪れた。


「失礼、こちらにキョウ殿が来ていると聞いたのだが……、一体これは何の騒ぎですか?」


 店内の大勢の人だかりに、思わず何事かと尋ねたハスタァだったが、店主は首をすくめながら両手を広げ、「はあっ」とため息をつくだけだった。


 要領を得ないハスタァは、「すみません、通して下さい。」「失礼」と言いながら人だかりをかき分けて進んで行くと、大の字になってもがくノーデンスの姿を認めた。


「何をやっているんだ、ノーデンス? 」

「何もクソもあるか! おのれ、ネオンナイト! 次に会ったらタダでは済まさんぞ! 」

「またキョウ殿にしてやられたのか?本当に懲りない奴だな。で、今回はどんな風にやり込めれたんだ? 」

「やり込められてなどおらん! おい! 馬鹿、それに座るな! 」

「え? 何で? 」


 ノーデンスは、手近な椅子に腰掛けようとしたハスタァを制止したが、間に合わなかった。


「ぐえええええええ! 」


 椅子の脚の下には、例の藁人形があった。

 椅子にハスタァの体重が加わり、悶絶するノーデンス。


「おい! どうした、いきなり! 」


 慌てて駆け寄ったハスタァに、ノーデンスは椅子の下にある藁人形を指差した。


 ◆◆◆


「あははははははは。」


 一通りの経緯をノーデンスから聞いたハスタァは、思わず大声で笑い出した。


「笑い事ではない! 散々な目に遭ったわ! 」


 騒動が一段落し、落ち着きを取り戻したオープンカフェの一角で、ハスタァはノーデンスと事情聴取という名の雑談をしながら、お茶を楽しむ事にした。


「いや、悪かった。しかし、こんな人形にそんな力が有るとは……、捕縛したA級賞金首の確保に役立つかも知れない、導術部に研究させてみるか。」


 ハスタァは藁人形を手に取り、腕や脚を動かしながら感心している。


「おい! 止めんか、ハスタァ! 」


 ハスタァが動かす通り、藁人形の動きをトレースするノーデンスは、大声をあげてハスタァを制止した。


「いや、すまない。しかし、ふふふふっ、流石キョウ殿だな。」


 この頃になると、ハスタァには既に、キョウへのわだかまりは無い、敗北は教訓へと昇華していた。

 白騎士教団の戦闘僧伽として、ネオンナイトは敵である事に変わりは無いが、私人としてのハスタァにとって、キョウは学ぶべき所多い、目指すべき目標として、今では敬愛の対象となっている。


「何が流石だ! あんな奴、ただの腰抜けではないか! 」

「そういきり立つな、ノーデンス。キョウ殿が腰抜けなら、一番最初に負けた私はどうなる? 」

「何だって! ハスタァ、お前それは本当か? 」

「ああ、教団の上層部は隠したがっているが、事実だよ。」


 爽やかな笑みを浮かべ、ハスタァは答えた。


 なにを隠そうハスタァとノーデンスは同郷の幼馴染みだ。精霊騎士、機械魔導師としての実力もほぼ伯仲しており、良き友、良きライバルとして腕を磨き合う仲である。


 ハスタァを通してキョウの実力を探ろうと、ノーデンスは身を乗り出す。


「で、どうだった? 」

「何が? 」

「決まっているだろう、奴の実力だ! お前の事だから、むざむざ負けたとは思えん。何か、次に繋がる、奴の弱点とか、攻略のポイントとか掴んでるんだろ、教えろよ。」

「何だ、そんな事か。」

「勿体つけるな、教えろよ。」


 やや自嘲気味の笑顔を薄く浮かべ、ハスタァは答えた。


「いや、参考になる事は何一つ無いだろう、何しろ全く手も足も出なかったんだから。あそこまで一方的にやられたら悔しくも無いな、逆に清々しいよ。」

「何だって!? 」


 ノーデンスは戦慄した、白騎士教団の戦闘僧伽といえば、一騎当千の強者である。ハスタァはその中でも、若手最強との呼び声も高い。自分もそれに伍する実力を持つと自負していたノーデンスは、ハスタァの言葉に大きな衝撃を受けた。


「実は今日ここに来たのは、その時の賠償金の一部を支払う為だったのだが……無駄足だったな。」

「そんなに強いのか? 」

「強いなんて生易しいものではない、あれは、根本的な何かが我々とは違う。」


 ハスタァは遠い目をして答えた。


 先日ディオの親爺から聞いた話だが、キョウが今まで戦った相手の中で、最強の相手が誰かと言うと、他でもないハスタァだったとの事。しかし、その事実はハスタァにとって、励みにも慰めにもならなかった。キョウは初めてのアザトースに戸惑い、後の先を取るのも冷や汗物で、実は見た目程の完勝ではなかったという。ならば、アザトースの全てを掌握し、手足の様に自在に操る今、実力の差は一層広がった事になる。もう一つ聞いた話だと、キョウはアザトース操縦の完熟訓練の一環として、一騎討ちを行っていたとの事。とてもではないが、自分にはそんなリスクを犯す事は出来ない。


 今は何もかも敵わない、だが、いつか必ずあの高みに登って見せる。


  ハスタァがそんな事を考えていると、ふとキョウの視線を感じた。視線はテーブルの上の藁人形から感じる。何だろうと、再びハスタァは藁人形を手にしたその瞬間、頭の中に直接キョウのメッセージが流れ込んだ。


「この人形を調べてくれ、後は任せる、ハスタァ。」


 言われるままに、藁人形をくまなく調べるハスタァ。ノーデンスの身体は再び外力に弄ばれる。


「おい! ハスタァ! いきなり何をする、止めろ、止めてくれ! 」


 ハスタァは人形の背面に、小さく折り畳まれた懐紙が仕込まれているのを発見した。注意深く撫でて藁を退かし、懐紙を取り出す。


「わひゃひゃひゃ、くすぐったい、あいたたたた、止めんか、ハスタァ! 」


 くすぐったがりながら痛がるという、珍妙な反応を示すノーデンスを無視し、ハスタァは懐紙を開いて中を確認すると、そこには先ほどキョウがノーデンスの顔をボコって叩き潰した、例の羽虫の死骸が有った。


「こ、これは……!? 」


 その死骸の姿を認めたハスタァは、青ざめた表情で叫んだ。


「ビヤーキー隊、緊急召集! 」


 ハスタァの号令の下、例の「いあ! いあ! ハスタァ! 」の掛け声と共に、これだけの人数が何処に潜んでいたのか? という位の大人数のビヤーキー隊が、カフェの中を埋め尽くし、ハスタァの前に集合した。


 ハスタァは集合したビヤーキー隊に指示を下す。


「只今より、緊急ミ=ゴ警報を発令する、諸君らは速やかに所定の行動を取るべし! なお、これは訓練に非ず、これは訓練に非ず、諸君らの献身に期待する。」

「いあ! いあ! ハスタァ! 」


 ハスタァの指示の下、ビヤーキー隊は蜘蛛の子を散らす様に、己の使命を果たす為に駆け出した。


 呆気にとられたノーデンスは、恐る恐るハスタァに聞いた。


「それ、蚊じゃ無いのか?」

「いや、ミ=ゴだ、間違いない。」

「連れの女は蚊だって言ってたぞ。」


 ハスタァはノーデンスのその言葉で、キョウから手柄を譲られた事を確信した。同時に普段は愛すべき資質と思っているノーデンスの単細胞さをうっとおしく感じた。少しは深く考えろよ。と、苛立ちを覚える。


「からかわれたんだよ、お前。」

「何だと! あれだけ人をコケにしておいて、その上からかっただと、許せん、ネオンナイト! 」


 ノーデンスはハスタァから藁人形を引ったくる。


「こんな物、こうしてくれる! 」


 怒りに任せて、藁人形を引きむしり、バラバラにした。


「ぐわぁあああああああああ! 」


 ノーデンスの身体を、それまで感じた事の無い、引きむしられバラバラにされる様な激痛が襲った。


「ネオンナイトの腰抜け……、俺と……戦え……」


 そう力なく呟くと、ノーデンスは余りの痛みに気を失い、しばらく寝込む事となる。復活後は、以前にも増してキョウをストーカーの様につけ狙い、執拗に一騎討ちを迫った。


 この日以来、ネオンナイトは腰抜けである、ノーデンスの一騎討ちの申し込みから逃げた。という噂がミスカトニック中心に広がった。


 そしてもう一つ、白騎士教団の若手最強の誉高いハスタァは、既に、ネオンナイトに破れて腑抜けになっている。


 この噂により、キョウに対する『押し掛け子分』の申し込みは激減する事となる。

 変わりに、ノーデンスとの一騎討ちを避ける理由を『自分より強い相手とは決して戦わない』と、勝手に解釈した一部の野盗達は、これぞ真の悪党の姿と的外れな評価を下し、スカウト活動を活発化させた。

 更にこの地域の治安維持を行うハスタァも、実は弱い腑抜けである。ならば、根城はミスカトニック周辺に構えよう。


 こうしてミスカトニック周辺には、大挙してA級賞金首が押し寄せた。


 彼等は半年も経たない内に、軽はずみに噂に乗った自分の不明を後悔することになる。


 彼等の内の半数は、決してネオンナイトもハスタァも腰抜けや腑抜けではない事を、自分自身の身体で、嫌という程思い知る事になる。


 残りの者は、全て一人の賞金稼ぎを鍛える為の贄となった。


 その賞金稼ぎの名前は、マージョリー・リュミエール・アイオミ


 ミスカトニックから程近い、ダンウィッチにて孤児院を運営する美少女賞金稼ぎである。

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