EpisodeⅥ 太陽(系)の真ん中へ!!
これまで 〈EP5各話〉のあらすじ
これまでのリバース・スラスターズは!!?
▼プロローグ
サートゥルヌス計画へと旅立った〈じんりゅう〉が観測不能となってから約一週間後……。
その日、人類は突如土星圏に超巨大帯状天体【ザ・ウォール】が出現と同時に崩壊するのを目撃すると同時に、地球に向けて接近する無数の減速噴射光【グォイド増援光点群】が内太陽系人類圏に迫っていたことを知る。
人類は【グォイド増援光点群】のその圧倒的な規模に、恐れていた人類滅亡の黙示録の日が、ついに訪れることを覚悟した。
だが恐れていたその日は、その直後、唐突にキャンセルされた。
【グォイド増援光点群】が突如として内太陽系での停止から通過に転じ、太陽系内を素通りしていったからだ。
しかもその際に【グォイド増援光点群】の一部が土星圏タイタンに亜光速で衝突し、同星は崩壊した。
つまり人類は、黙示録の日を回避すると同時に、土星に巣食うグォイドの脅威からも解放されたのであった。
人類はその日を『
第一章『ゴースト・プロトコル』
『
だが、太陽系内には総数不明の野良グォイドが解き放たれることとなり、SSDFは野良グォイド掃討に追われることとなっていた。
そして『
土星からの帰路についていた〈じんりゅう〉は、予想外に伸びた航行期間により、艦内の食料が枯渇しかけるという問題に直面していた。
この問題に対し、近傍で野良グォイド警戒中であったVS‐806〈じんりゅう〉級6番艦〈ウィーウィルメック〉が、食料の補給の為のランデブーを申し出る。
しかしその申し出は、土星での戦いで一度破壊されたにも関わらず、異星遺物【ウォール・メイカー】によって再生された〈じんりゅう〉を、国家間同盟〈ステイツ〉をバックボーンに持つ〈ウィーウィルメック〉が他の勢力に先んじて調査分析することが真の目的であることは明らかであった。
また、それを受け入れるしかない〈じんりゅう〉艦内には、唯一の男性ケイジ三曹が存在していた。
VS艦隊司令テューラは、〈ウィーウィルメック〉の申し出を受け入れつつも、ランデブーした〈ウィーウィルメック〉クルーに、〈じんりゅう〉に男性が乗っていることが露見することを防ぐため、極秘指令『ゴースト・プロトコル』を〈じんりゅう〉クルーに発令する。
それは一時的に〈じんりゅう〉機関長を務めていたキルスティが、【木星事変】後に記した『木星文書』内において、ケイジ三曹の代わりに登場させた架空の臨時〈じんりゅう〉機関長立川アミ一曹を、
ケイジに女装させた上で演じさせようという指示であった。
かくして架空の女子航宙士・立川アミ一曹へと半強制的に扮する羽目になったケイジ。
〈ウィーウィルメック〉とのランデブー当日、接舷した〈ウィーウィルメック〉より艦長のキャスリン中佐と第二副長セヴューラ少佐、それと〈じんりゅう〉補修の為のヒューボが〈じんりゅう〉へと乗艦する最中、ケイジ演ずるアミ一曹は、必要性の生じない限り〈ウィーウィルメック〉クルーとの接触を少しでも避け、男性であることが露見することがないよう〈じんりゅう〉目視観測ウイングで待機していた。
が、そこへいつの間にか乗艦していた〈ウィーウィルメック〉の副長ジェンコ少佐が突然現れると、アミを〈ウィーウィルメック〉へ招待すると言う。
もちろん断るべきだとはアミは思った。
だが真剣なジェンコ少佐の頼みに、その理由も分からぬまま、アミは断ることができずに〈ウィーウィルメック〉へと半ば強引に乗艦させられるのであった。
第二章『バンド・オブ・シスタース』
流されるまま〈ウィーウィルメック〉に乗艦したケイジ演ずるアミに対し、ジェンコ副長は〈ウィーウィルメック〉の各セクションのクルーを紹介すると同時に、自分達の【ANESYS】の
それがジェンコ副長がアミを招待した目的であり、何故他の〈じんりゅう〉クルーではなくアミなのかというと、アミがただ一人、非【ANESYS】適正者として〈じんりゅう〉の【ANESYS】の活躍を間近で見てきた人間であると同時に、〈ウィーウィルメック〉のアヴィティラ《化身》の指名であったからなのだと言う。
アミは〈ウィーウィルメック〉の【ANESYS】がアヴィティラ《化身》を出すことができて、しかも名指しで自分を呼んだということに驚愕しつつも、今さら〈じんりゅう〉に帰ることもできずに彼女に会うことを了承し、彼女達の【ANESYS】を見守ることにするのであった。
その一方〈じんりゅう〉艦内では、刺激の強すぎるサティとの初対面や、糖分不足で乱心するシズの暴走などに対処しつつ、ユリノ達がキャスリン艦長とセヴューラ少佐への艦内の案内を終えていた。
ユリノ達は〈ウィーウィルメック〉とのランデブーが、〈ステイツ〉の野心によるものと知りつつも、〈じんりゅう〉級クルー同士の交流を深めるため、食堂でのお茶会を提案する。
しかし、その提案はキャスリン艦長のリクエストにより、何故か〈じんりゅう〉名物ショーガヤキ昼食会へと変貌してしまう。
昼食を作るとなると、当然今はアミ一曹となった〈じんりゅう〉
ユリノはアミをキャスリン艦長達に接近させることに危険を感じたが、今さら昼食会を止めると言うこともできずに、アミにショーガヤキランチの調理を頼むことにする。
そのアミがいつのまにか〈ウィーウィルメック〉に移動していたことなど知らぬまま……。
〈ウィーウィルメック〉の【ANESYS】の開始と同時に現れたのは、第四次グォイド大規模侵攻迎撃戦の直前に行われ、失敗に終わった土星圏グォイド本拠地攻撃作戦において、土星圏から撤退するSSDF艦隊の内の一隻、〈アリゾナ〉級戦艦改GN‐XXX‐2027特装実験戦艦〈
【ANESYS】搭載実験艦初代〈じんりゅう〉の活躍に続くため、〈ステイツ〉が極秘裏に改〈アリゾナ〉級として建造していた【ANESYS】搭載実験艦〈
だがそこで思いがけない存在からのコンタクトが、〈
テレパシーに近い意思伝達によって行われたそれは、エンケラドゥスから打ち上げられる自分を、〈
〈
そしてその〈亡命グォイド〉を回収することが、人類の対グォイド戦での救済の鍵になると判断した…………その実行に重い犠牲を伴うことを承知で……。
〈亡命グォイド〉の回収は、〈
ただの巨大な塊としてエンケラドゥスより打ち上げられる〈亡命グォイド〉を受け止めるには、他に手段がなかったのだ。
結果、真正面から〈亡命グォイド〉を受け止めた〈
だがそれこそが、バトル・ブリッジで【ANESYS】を行っていた他のクルーの望みであった。
悲しみに暮れるクラリッサ艦長とキャスリン副長。
しかし、バトル・ブリッジにいたクルー達は、〈亡命グォイド〉の働きにより、その生命活動を辛うじて維持され、バトル・ブリッジと〈亡命グォイド〉の塊と不可分な存在として生存していた。
そして〈
それから六年後…………〈亡命グォイド〉と不可分になった〈
アミの眼前に映された光景は、〈ウィーウィルメック〉クルーの【ANESYS】起動時におきるフラッシュバックであった。
それらの光景が終わると、アミの前に小柄な一人の少女が立っていた。
彼女こそが〈ウィーウィルメック〉の
そして同時にアミは気づいた。
彼女は〈
そしてまた、アミはジェンコ含む先刻紹介された〈ウィーウィルメック〉のクルーが、実は今記憶ホロ映像で見た重症を負ったはずの〈
その頃〈じんりゅう〉の食堂では、いち早く補給された食料にありつこうとしたクィンティルラとフォムフォムと、それに付き合わされたフィニィが、昼食の調理に来たアミ一曹と出くわしていた。
第三章『プロフェシー』
〈ウィーウィルメック〉艦内では、同艦のアヴィティラ《化身》であるアビーが、アミに対しまず〈亡命グォイド〉としての自分の歴史を語り始めていた。
つまりアミを演じるケイジは、グォイドの歴史を知ろうとしているのであった。
それは遥か昔、遠い宇宙のどこかで、一つの文明が寿命を迎えたことから始まった。
その文明は滅びる直前に、種としての己の情報を可能な限り納め、この宇宙のどこかに存在するかもしれない第二の故郷にて、再び自分達の文明を芽吹かせる為の機械任せの無人の箱舟を多数建造し、宇宙に解き放つことにした。
困難な試みではあったが、故郷の恒星系内で〈
無数の箱舟が外宇宙へと解き放たれた中、一隻の箱舟が、恒星間を移動するオリジナルUVDを作った文明の、別の異星遺物に遭遇した。
それは直径だけで1万キロ以上もある、巨大な横倒しになった竜巻状のガス雲であり、長期観察の結果、恒星間を移動する度にそこへオリジナルUVDをバラまいていることが判明した。
その異星遺物に遭遇した一隻の箱舟は、新たなオリジナルUVDを入手できる可能性を求め、その移動性ガス雲の中へと突入し、結果として、その中に存在したオリジナルUVDを生み出す異星遺物【オリジナルUVD
そしてオリジナルUVDを主動力とした新たな箱舟を建造する基地を設け、後に人類が【
そして長い長い旅の果てに、己を生み出した文明の新たな故郷に相応しい惑星を持つ恒星系へと、【
問題は、その恒星系にはすでに別の文明が栄えていたことだった。
その先住文明は、己が星のことを地球と呼んでいた。
一方その頃〈じんりゅう〉食堂では、アミの調理したジンジャーポークランチ・バジルソース掛けが振舞われ、つつがなく昼食会は終わろうとしていた。
アミを演じているケイジの様子のおかしさに気づいたクィンティルラがユリノに何かを訴えようとしていたが、ユリノがそれに気づくことは無かった。
そんなユリノに対し、キャスリン艦長が緊張気味に話てある頼みがあると言い始める。
その恒星系の先住文明と、【
箱舟が、もしも宇宙のどこかで自分達と同等かそれ以上の科学技術をもつ文明と遭遇した際に、自分達の文明の再興の助力を求めるように定められたプログラムであった。
そのプログラムは数々の戦闘を経て、地球文明が助けを求めるに値すると判断し、直ちに交戦を止め、助け合うことが必要であると箱舟全体の意思決定プログラムに訴えた。
が、そのプログラムは箱舟全体の意思決定機構の中での優先順位は低く、その訴えは却下された上に、地球攻略の際に有害と判断され、【他文明救助要請プロトコル】は他のプログラムから隔離された上で、エンケラドゥスに追放のうえ封印されることとなってしまっていた。
が、そこへ土星グォイド前線基地へと攻撃をしかけてきた先住文明の艦隊が通りかかった…………。
【他文明救助要請プロトコル】はなんとかその通りかかった艦隊の中の一隻〈
そして今、その【他文明救助要請プロトコル】は、元〈
キャスリン艦長の頼みたいこととは、〈ステイツ〉が独自にその存在を察知したグォイドの移動性ガス雲にして真の本拠地【
それは人類最大の危機を、その情報源についてあきらかに虚偽の報告を〈じんりゅう〉にせよ……と言っているのに他ならなかった。
唖然とするアミに対し、アビーは語り続けた。
〈ステイツ〉は【ANESYS】搭載実験艦を作るにあたり、【ANESYS】の思考統合時間の延長と、未来予測能力の向上を目指していた。
そしてその抜きんでた未来予測能力を駆使して、【木星事変】メリクリウス作戦時に、〈ウィーウィルメック〉は〈じんりゅう〉がグォイド・スフィア弾破壊の為に放ったオリジナルUVDを回収した。
そしてオリジナルUVD搭載艦となった〈ウィーウィルメック〉の【ANESYS】は、結果としてオリジナルUVDに内蔵されている異星AIの思考をも含まれることになったという。
その結果、〈ウィーウィルメック〉の【ANESYS】の未来予測能力は、予測から予知の域に達し、【
そして……ここまで長々と語り続けてきたアビーは、ようやくアミにこの艦へと呼び寄せた本題を話し出した。
〈ウィーウィルメック〉は【
アヴィティラ《化身》のアビーは、何故アミの名前が出て以降の未来が見えなくなったのかについて、人類あるいは〈ウィーウィルメック〉の未来がそこで途切れるからではないか? と推理し、アミと実際に会うことで、その意味を少しでも推し量ろうとしていたのであった。
第四章『極大射程』
あまりにも唐突かつ重大な問題に、当然もっと詳しく話を訊きたくなるアミ。
だがその時、ランデブー中の〈ウィーウィルメック〉と〈じんりゅう〉の前方で、メインベルト通過中のSSDF輸送艦が野良グォイドの襲撃を受けたとの報が入った。
そして〈ウィーウィルメック〉はただちにSSDF輸送艦救援行動に移るという。
本来であれば、現在位置から輸送艦の位置までは距離がありすぎて出来ることは無いはずであった。
だが、〈ウィーウィルメック〉はこの事態をすでに予測済みであり、オプション装備の実体弾投射砲〈サジタリウス〉を、ステルス膜で隠しながら牽引してきており、それを直ちに接合すると、発射態勢に入ろうとしていた。
アミは大急ぎで〈じんりゅう〉へと戻ろうとするが、〈じんりゅう〉から〈ウィーウィルメック〉に戻るキャスリン艦長らに鉢合わせしそうになり、〈じんりゅう〉への帰還に失敗してしまう。
アミを乗せたまま、実体弾の発射を行う〈ウィーウィルメック〉。
放たれた実体弾は、通常では考えられない程の遠距離を飛翔し、輸送艦の後方でステルス航行中であった野良グォイドを破壊する。
その野良グォイドとはシードピラーであった。
〈ウィーウィルメック〉のその未来予測を駆使した実体弾射撃の精度の凄まじさと、シードピラーのような巨大グォイド艦が、人知れず内太陽系へと侵入しかけていたことに驚く〈じんりゅう〉クルーとアミ。
さらにアミは、そのシードピラーが地球ではなく、太陽に向かっていたという事実をアビーから聞き、驚愕する。
太陽というワードが、【
▼エピローグ 『脳みそオーバーフロウ』
アミは自分の名前が含まれた予言や、グォイドの創生や、〈ウィーウィルメック〉の実体弾射撃の凄まじさに驚くしかなかった。
が、事態はそれどころではなかった。
アミはユリノ艦長らに黙ったまま〈ウィーウィルメック〉に乗り、そのまま野良グォイドへの実体弾射撃の為に〈ウィーウィルメック〉は〈じんりゅう〉から離れてしまった。
アミは、〈じんりゅう〉補修用に乗り込んでいたヒューボが、〈ウィーウィルメック〉に船外移動で帰還するタイミングを狙って、船外出て宇宙空間から〈じんりゅう〉に乗り移ろうと試みる。
がしかし…………。
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