EpisodeⅢ  木星より永久に

これまで(EPⅡ各話)のあらすじ


▼第一章  『ハロー・ジュピター』

 メインべルト内【テルモピュレー集団クラスター】を舞台に、準惑星ケレスを狙うグォイドと〈じんりゅう〉とが繰り広げた激戦――【ケレス沖会戦】と命名された戦いから約半年後――木星近傍……

 ケレスを狙ったグォイドのように、慣性ステルス航法を用いて内太陽系に進攻してくるグォイドがいないかを警戒していたアイシュワリア艦長率いるVS‐805〈ナガラジャ〉は、〈じんりゅう〉クルーのシズとルジーナが組み上げたグォイド発見用プログラム【シズィーナ・スペシャル】を用いることで、木星へ向け隠密裏に進中攻だったグォイド艦隊を発見、直ちに迎撃戦闘に突入する。

 しかし、発見したのはまるでナマコのような姿をした新型のグォイド艦であった。

 はたして、木星へと向かったグォイドの目的とは?



▼第二章  『太陽系の優しいヒト達』

 ――その五カ月前――第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦から約一カ月後。

 VS艦隊司令テューラ・ヒューラは、〈じんりゅう〉が【テルモピュレー集団クラスター】を内で回収したエクスプリカを伴い、SSDF月面総司令部にて行われる【SSDF第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦総括会議】へと出席していた。

 〈ステイツ〉〈アライアンス〉〈ユニオン〉〈ASIO〉そして〈日本〉からなる宇宙進出に成功した地球上の五つの国家間同盟勢力が、互いに権謀術数を巡らせる総括会議の最中、突如アメリカ合衆国を中心とした国家間同盟〈ステイツ〉が、VS艦隊に対し先のケレス沖会戦において〈じんりゅう〉が回収したオリジナルUVDの提供を要請してきた。

 現在〈ステイツ〉が建造中の人造UVDプラントのコアにオリジナルUVDを用いることで、人造UVDを大量生産し、グォイドに対し人造UVDの数において優勢に立つことこそが、グォイドとの戦いに人類が勝利する唯一の術だという主張からだ。

 この要請に対し、テューラが下した結論とは?



▼第三章  『彼女達の休息』  

 ――第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦・ケレス沖会戦から約四カ月と二週間後――。

 ――〈じんりゅう〉帰還から約三カ月半後、地球ラグランジュⅢ点・〈日本〉領宇宙ステーション〈斗南となみ〉では、〈じんりゅう〉開発整備責任者チーフノォバ・ジュウシローの指揮の元、傷ついた〈じんりゅう〉の修理と改修作業が行われていた。

 そしてその後の発進式が迫る中、新たな機関長としてキルスティ・オテルマ少尉を迎えた〈じんりゅう〉クルー達は、連日【ANESYS】のシミュレーション訓練を行いつつも、一応の平和な日々を送っていた。

 しかし、ケレス沖会戦で見せたような【ANESYS】の統合ができないどころか、どうしても統合時間が維持できずに、新任機関長のキルスティは責任を感じて落ち込んでしまっていた。

 この事態に対し、引きつ続き〈じんりゅう〉での使用が決まったエクスプリカは、【ANESYS】のシミュレーション結果を分析した結果ある結論に達し、その打開策の提案をする。

 生まれ変わった〈じんりゅう〉の、新たなる旅立ちの時が来ようとしていた。



▼第四章  『宇宙(病棟)大作戦』 

 SSDF汎用航宙士支援艦〈ワンダービート〉、それは平時は新人航宙士の訓練艦として使われ、現在は第五次迎撃戦で負傷した航宙士達のリハビリ圏病院船としてしようされている古い客船を改造した航宙艦であった。

 今やケレス沖会戦の英雄となていたユリノ艦長たち〈じんりゅう〉クルーは、この艦にて慰問イベントを行う為に生まれ変わった〈じんりゅう〉で訪れていた。

 しかしそれは表向きの理由であった。

 彼女らの真の目的は、エクスプリカの提案に従い、ケレス沖会戦直後に〈じんりゅう〉によって救助され、重症を負ったものの今は回復に向けてリハビリ中の一人の少年に、一目会う為であったのだ。



▼第五章  『雲の惑星』 

 テューラ司令により急遽木星圏へと呼びだされた〈じんりゅう〉は、そこで〈ナガラジャ〉とナマコ・グォイドその戦闘に遭遇、これに参戦したものの、殲滅はならず、数隻のナマコ・グォイドの大赤斑への潜航を許してしまう。

 不本意な戦闘結果に終わったものの、半年ぶりの再会を果たした〈じんりゅう〉と〈ナガラジャ〉のクルーは、束の間の交流を深めるのであった。

 そして改めてテューラ司令らと合流した〈じんりゅう〉とそのクルーは、大赤斑の下へと潜航していったナマコ・グォイドの追跡を命じられる。



▼第六章  『紅き潮流』

 ノォバ・チーフの指揮により、技術支援艦〈ヘファイストス〉にて、木星のガス雲への潜航が可能なようUVシールドコンバーターを装備された〈じんりゅう〉は、無人艦〈ラパナス改〉を通信中継の為に従えつつ、人類初の木星雲海内深深度潜航へと出発する。

 木星ガス大気の凄まじい速度の潮流に苦労しながらも、木星上空のSSDF作戦指揮所MCと連絡をとりつつ、なんとか大赤斑の直下へと辿り着く〈じんりゅう〉。

 そこで待っていたのは、稼働状態で際限なくUVエネルギーを振り撒きながら回転し続けるオリジナルUVDと、それを巡って争うナマコ・グォイドと謎の巨大ヘビ状生物スネークイド〈仮称〉であった。

 一方その頃、〈ヘファイストス〉で待つノォバ・チーフの元に、地球のSSDF後方支援部・情報調査室・別室よりクロヴチ中佐なる人物が情報提供の為に尋ねて来る。

 彼によれば、〈じんりゅう〉が遭遇したスネークイドは、ドクター・スィンなる人物が木星の底にあったオリジナルUVDから採取した細胞を元に、人工的に生み出したグォイドの親戚筋にあたる人造生命体なのだという。

 さらに、木星の観測結果から、グォイドの目的が、オリジナルUVDの無限のUVエネルギー出力を用いて木星を圧縮し、木星を恒星へと変えることではないかという疑いが出て来る。

 仮に木星が限界を越えて圧縮され、恒星となった場合、木星圏に住む全人類に命は無い。

 だがこの事態を阻止することが可能な艦が一隻だけ存在した。まさに今、そのオリジナルUVDの近傍にいる〈じんりゅう〉だ。



▼終章   『Good luck jupiter』

 ただちに決行されることとなった〈じんりゅう〉によるオリジナルUVD回収作戦。

 〈じんりゅう〉は〈ヘファイストス〉より発射された大型耐圧特殊UV弾頭ミサイルを【ANESYS】を用いて誘導、稼働中のオリジナルUVDの上下で起爆させることで強制停止させると、【ANESYS】でのみ可能な機動力で停止したオリジナルUVDを〈じんりゅう〉艦尾メインスラスター先端に接続することで回収に成功した。

 しかし、大型ミサイルの大爆発を生き延びたナマコ・グォイドが〈じんりゅう〉を追跡し始める。

 しかも、オリジナルUVDによる圧縮を急停止させたことで、その反動による超高速のダウンバーストが〈じんりゅう〉に襲いかかろうとしていた。

 すでに【ANESYS】を終えてしまっていた〈じんりゅう〉に絶体絶命の危機が襲いかかる。

 がその時、意外な救いの手が差し伸べられたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る