SecretDays(更新停滞中)

ユキ*

Prologue

「エンゲージ!右前方から<棘茨イタチブライアーウィーゼル>接近!数は6!」

「朝日ヘイト稼いで!智尋は容赦なく撃ちなさい!」

「<アンカーハウル>!」

「<エレメンタルレイ>!」

「姉ちゃん<棘茨イタチブライアーウィーゼル>4左後方から追加ぁ!」

「そっちは青伸が引きつけて!ひろろん!」

「<ヘイスト>!<ソーンバインドホステージ>!って、あぁ!かける方間違えたぁ!」

「っ!」

「ナイスサポートっす福兄ちゃん!」

「5秒踏ん張って下さい!<フラッシュニードル>!」

「<デュアルベット>!」

アキバの隣にある<書庫塔の林>でコロコロと陣形を変形させながらあるギルドが戦闘訓練をしていた。

彼女達の平均レベルは69.9と周囲の敵とそれなりに離れているので本来ならば簡単に殲滅出来るのだが、そう簡単にはいかない訳があった。

「な!れ!な!い!」

「と言いながら何器用に刀振ってんだよ渉」

「イメージ通りに行かねーからヤケクソ」

今、彼等を含めた<冒険者>は何時帰れるか分からない異世界生活を強いられていた。

多くの<冒険者>が戦闘行為禁止区域の街中で虚脱状態の中、彼女達は積極的にゾーンに出て戦闘訓練を行っている。

「周辺警戒!」

「・・・クリアです、えっと、敵影ナシです?」

「じゃあドロップ品回収するかー」

「姉ちゃんコレなにー?」

彼女達が虚脱せず、寧ろ積極的に行動出来てる理由は簡単なものだ。

それは・・・。

「くぅ~!やっぱ楽しい!」

「確かに、まだ慣れてないけど楽しいよね」

「こう、グワァー!ってくる感じが良いっす!」

「そうそう!グワァー!って来てこの辺がキュゥ―!って」

「Shadowも爽も日本語頼む」

「興奮するんだよ、現実じゃ絶対有り得ないしね」

「何をそんなに悲観してるんでしょうか?」

「ねぇ、時間は限られているのだから楽しまなくては損なのに」

全員が今の状況を愉しんでいるからだ。

彼女達は現実では色々と異なるが、根っからのゲーマーであり楽しい事が大好きなのだ。

「はいはい、ドロップ品回収したらアキバに戻るわよー」

『はーい』






後に<大災害>と呼ばれる運命の日を境に全てが変わった。

シビアで何処か殺伐とした、それがパソコンの中ではなく全て自分自身の感覚として<冒険者>達を襲った。

そんな中、彼女を筆頭にしたギルドは現状を受け止め、尚且つ目一杯謳歌し格好良い事をする為に走り出していた。

彼女達は知らない。

彼女達のその行動がアキバで波紋を生み出し、他の波紋と重なり大きな波になる事を・・・。

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