1.沙織
校舎裏の一角で、やはり授業をサボっている少女たちの一群が笑い声を上げながらたむろっている。
中心に位置する少女のスマートフォンのスピーカーから、メールの着信を知らせるコールが鳴り響いた。
「あ、隆志かな?」
「はいはい」
「音で見つかっちゃうよぉ」
「なんかここだけ暑くない?」
「ごちそう様ァ」
「昼飯まだだし」
莉那は嬉々としてディスプレイを覗き込んだ。
画面には無機質な一行の文面が表示されている。
『バイバイ』
「ハァ?どういうこと?」
「何々?」
「どうしたァ?」
「沙織からで、バイバイだってさ」
「なめてんじゃないの?」
「あいつキモいんですけど」
「バッカじゃん」
「つーかマジうぜー」
ドサッ。
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